http://www.seiwa-pb.co.jp/htmlmail/102.html
星和書店
今月の新刊 next
抗精神病薬受容体の発見ものがたり

抗精神病薬受容体の発見ものがたり

─精神病の究明を目指して─

ニール・シーマン、フィリップ・シーマン 著
渡辺雅幸 著・訳
四六 上製 292頁 ISBN978-4-7911-0783-4〔2011〕
定価2,940円(本体2,800円)

ジャック・ヴァン・ロッスムによって初めて提唱された統合失調症のドーパミン仮説は、時の試練に耐え続け、この疾患の最も確立された理論的根拠であり続けている。1975年のトロント大学における脳内の抗精神病薬の標的(当初は抗精神病薬/ドーパミン受容体と命名され、後にドーパミンD2受容体と再命名された)の発見は、ドーパミン仮説の最初の確認であった。この本は、その発見についての物語である。

慢性疼痛の治療:患者さん用ワークブック

認知行動療法家のための
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)ガイドブック

ジョセフ・V・チャロッキ、アン・ベイリー 著
武藤崇、嶋田洋徳 訳・監訳
黒澤麻美、佐藤美奈子 訳
A5 並製 300頁 ISBN978-4-7911-0782-7〔2011〕
定価3,360円(本体3,200円)

認知行動療法家は、すでにACTの技法を知っているし、その技法を使ってさえいる。本書は、新世代のCBTのための完全利用ガイドである。認知行動療法家がすでに身につけてきた技法を新しい“臨床のOS”上で実際に“動かして”みる。そうすれば、ACTの哲学や理論がスルスルと理解できるようになるだろう。まずは体験してみませんか? その新しい“臨床のOS”を。

暴力のリスクアセスメント

暴力のリスクアセスメント

精神障害と暴力に関するマッカーサー研究から

J・モナハン、 H・J・ステッドマン、E・シルヴァー、P・S・アッペルバウム、 P・C・ロビンス、E・P・マルヴェイ、L・H・ロス、T・グリッソ、S・バンクス 著
安藤久美子、中澤佳奈子 訳
A5判 上製 220頁  ISBN978-4-7911-0781-0〔2011〕
定価 2,940円(本体2,800円)

この数十年間で、精神障害の診断と治療は大きな進歩を遂げてきたが、精神病患者は暴力的であるという考えは根強く残っている。本書は、マッカーサー暴力リスクアセスメント研究を中心に、暴力リスクファクターに関する最新研究をレビューし、予防の第一歩である暴力の予測について検討。リスクアセスメントの正確さ・効率の向上を図る臨床ツールを提示する。

うつ病快復のエッセンス

うつ病快復のエッセンス

−うつ病から幸せな人生を見つける方法−

赤穂依鈴子
四六判 並製 168頁  ISBN978-4-7911-0780-3〔2011〕
定価 1,680円(本体1,600円)

うつ病を乗り越え、富山でNPO法人を立ち上げ、ピア・カウンセラーとして活動する著者は、「うつ病の経験は人生の宝物」と語る。
うつ病患者として9年間治療を続け、寛解(症状がほぼ消失して、安定してよい状態を保っていること)に至った著者が、自らの体験を振り返りながら、うつ病から快復して生き生きと自分らしく幸せな人生を送るための道標を示す。

  雑誌の最新号 next
精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第26巻8号

特集:サイコオンコロジーの現場から II
―心理・精神医学的問題―

がん患者の増加に伴いサイコオンコロジーの重要性が増し、さらに緩和ケアの診療報酬が加算され、一般精神科医もこの分野への参加、協力、助言などを求められる機会が増えている。前号と今号では、現在のサイコオンコロジーの臨床における重要な問題をできるだけ網羅的に特集。今号は特に心理・精神医学的問題(せん妄、抑うつと不安、自殺と希死念慮、病名告知、抗がん剤の副作用として生じる精神症状、放射線治療を受ける患者の心理、小児・思春期のがん患者など)を取り上げた。前号と今号をあわせると、サイコオンコロジーの今日的問題の理解に役立つ。

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第14巻9号

特集:ムードスタビライザー再考

ムードスタビライザー(気分安定薬)の概念は双極性障害概念の拡大とともに広く浸透している。本特集では、双極性障害の臨床場面で用いられるムードスタビライザーの現状を概観し、新たにlamotrigine、quetiapine、olanzapine、その他の第2世代抗精神病薬のムードスタビライザーとしての可能性を紹介する。
ISBN:978-4-7911-5167-7

↑トップへ
こころのマガジン

第21回地域精神保健講座
臨床心理士 あや先生のコラム 
Vol.10 APA体験記 
〜American Psychological Associationに行って来ました〜 (前編)

英語が苦手で英検さえ受ける勇気がなかった私ですが、星和書店の方に誘われてAPAに行ってきました。行くまでに英語をもうちょっとなんとか……と思っているうちに、よくあるパターンで出発の日が来てしまい……英語がちんぷんかんぷんな人がアメリカで学会に参加するとどうなるか? 実験的試みのレポートです(笑)

8月3日 晴れ 夕方スコール(ワシントンではこの季節、ほとんど毎日、夕方になるとすごい土砂降りになるらしい)

成田からワシントンDCへ出発。
 飛行機の中では「水曜日のエミリア」というステップファミリーにまつわる映画と「アジャストメント」を鑑賞。「アジャストメント」よかったです。私はマット・デイモンが最近主演している映画が、テーマ的に好みなのかも。「ヒアアフター」も良かったし。
 少しでも英語に馴染もうと、他にもハリウッド映画をいくつか観ているうちにワシントンに到着。
 そういえば、飛行機のお隣の席は体の大きなブラックのご夫妻で、男性はお医者さんのようでした。International Medical University Malaysiaと書かれた冊子を持っていて、学会発表するのでしょうか、資料の準備に忙しそうでした。
 入国審査では両手の10本の指を機械にあててチェックされるのですが、目的は?「サイッシーン」何泊?「ワンウィーク」東京から?「イエス」ふだんの仕事は?「サイコセラピスト」メディカル?「イエス」Oh?!(何か意外だったようなリアクション)とやりとりしていたら、右手の4本指だけで済んでしまいました。よかったのかな?
 空港を出て、タクシーでホテルへ。お昼過ぎに到着。一息して13時頃から周辺を散歩しました。
 24時間営業のドラッグストアがコンビニ感覚であちこちにあるので、どんな物売ってるのかな?と寄り道しつつ、デュポン広場周辺をてくてく。ちょっと小腹がすいて、初めて見るサラダ屋さんに入ってみました。サブウェイのような方式で、基本の組み合わせにトッピングやドレッシングを伝えて作ってもらうのですが、とにかくビッグサイズでびっくり。大きめのどんぶり位のボールにサラダてんこ盛りでした。お値段はたしか8ドル前後。美味しかったです。日本にもあったらいいのにな。
 その後はナショナル・ジオグラフィック・ミュージアムへ。着いたら入口の近くに、ナショナル・ジオグラフィックの表紙に自分の顔が入れられる面白いプリクラがあったので、月面着陸の背景で撮ってみました。なかなか面白い仕上がりで、もし行かれる方がいたらおすすめです。
 展示の方は、100年前にマチュピチュが発見された当時の写真展、北極南極への挑戦、エトルリア(紀元前8〜1世紀頃のイタリア)の紹介など。入場料8ドルがかなりお得に感じられる、充実した内容でした。こんな頼りない装備で北極を目指したのね〜とか、紀元前にすでにこんなに立派な文化が!とか、どれも興味深かったです。……のですが、この頃急激に睡魔が……日本時間では明け方なので、ほとんど徹夜したような状態。そりゃ眠いわな……。この辺で切り上げて、明日の朝食用のサンドイッチなどを買って帰り、早々に寝ました。
 明日はいよいよAPAへ。今日の印象では、予想通り私のヒアリング力はかなり低いです。半分もわかりません(笑)。買い物とかは身振り手振りで何とかなりますが、はたしてどうなることやら……。

8月4日 晴れ 外は結構暑いけど室内は冷蔵庫のように寒い

APA会場9時過ぎにホテルを出て、サーキュレーターという循環バスで学会会場のコンベンションセンターへ。会場が大きい、すごく広い。規模的にはお台場のビッグサイトくらいでしょうか? でも空間に余裕があるので、もっと広く感じます。すでに多くの人が来ていて、日本人もちらほら見かけました。
 受付でネームプレートを貰う時、初参加シールをくれたので、こんなのもあるんだ〜と感心しつつ、初心者マークのつもりでしっかりペタッ。(真っ赤なスポンサーの広告がドドーンと書いてあるバッグもくれたのですが、これどうしよう……と使い道に困りつつ持ち帰り、今も使い道検討中です……)
 受付のそばの書籍販売コーナーを少し見て回り、11時からのPaper Sessionへ。発表形式はPaper SessionとPoster Sessionの2種類あって、他にSymposiumやWorkshop、変わった所ではConversation Hourという懇親会のようなのも朝からあったりします。ワークショップはとても試す勇気がなく、また来る機会があったら……ということに。
 さて、そのペーパーセッションは、ペーパーというくらいだからハンドアウトをくれるのかな?と思ったらそれはなく、パワーポイントを使った発表でした。タイトルはConsciousness-Expanding Practices, Near-Death Experiences, and the Phenomenon of Afterlife Communicationで、日頃からスピリチュアルな領域にとても関心がある私は、興味津々。でも案の定、聞きとるのはほとんど無理で、必死にパワーポイントを追って内容を推理しました。
 1人目の発表者は、科学的な研究の歴史を、フロイトやエリスを皮肉りつつ?説明し、スピリチュアリティが軽視されてきたという話、そして宗教のイメージや偏見、カルト問題などについても話していたようです。そしてスピリチュアルエマージェンシーが文化によっては精神病の症状として扱われてしまうが、それが起こった前後の状況を見れば、それがスピリチュアルエマージェンシーかそうでないかがわかる、とか。(ちなみにスピリチュアルエマージェンシーとは、座禅や瞑想などスピリチュアルな訓練によって一時的に精神が危機的な状態になってしまうことで、人間成長のプロセスの一部と見られています)
 2人目の方は、自分の中へ深く入って行くと、自分を外から見ているような感じになるとか、仏教のマインドフルネスが基本テーマにしている内的経験は……(以下理解できず)とか、ユングも書いているように内的経験は様々あって、などのお話でした。危険なカルト的体験と、至高体験や、有益な洞察や、自分を成長させるような固定観念の崩壊との違いについての話もありました。
講義 そして全体を通して、この研究は怪しくないとアピールしていたような……?
 なにせ少しの手掛かりから全体を想像するので、すべてが、たぶんこんな話だろう、という感じになってしまうのですが、それでもここまで推理できたことに逆に驚きました。というのは、私は英語が本当に苦手で、たとえば洋画を字幕なしで観ようとすると、あれだけ視覚情報があるにもかかわらずさっぱりストーリーがわからないからです。内容についてある程度の知識が前もってあれば、少しの情報からこれ位は推理できるという、おもしろい経験でした。
 その後はポスター発表のコーナーを横目に見つつ、お昼ごはん。ポスター発表をしているのは修論生かな?という若い人が多かったです。内容はよくわからない(……近づくと話しかけられちゃうので遠目にしか見れず 涙)けど、とにかくポスターのデザインがかっこいいことにびっくりしました。
 お昼は屋台がいくつも出ていて、めずらしいのでジャマイカ料理の屋台で知らない名前の料理を注文したら、つまりはカレーでした。熱い地方の料理は似てるのかも? 味はおいしかったです。
 15時からは、Traumatic Dissociation-Neurobiological, Assessment, and Clinical Implications-Iというシンポジウムを聞きに行きました。私は『わかりやすい解離性障害入門』という本を出した研究会に入っているので、これは聞いておかねばということで。トラウマとか解離は、やはりホットなテーマらしく、150人くらいの会場に200人くらい入って盛況でした。
 まず1人目の方はDESという解離の度合いを測る尺度について、DES-B、DESR-T、DESR、Taxon Dissociation Scaleなど色々あって……と話しているところまでしか私にはわからなかったのですが、終わった後星和書店の方に聞くと、研究と普段の臨床でどの尺度を使うのがいいか、という話をしていたそうです。
 2人目の方は、DIDの場合の他の人格とのコンタクトがどうとか、他の人格について主人格が気づいてる場合と気づいてない場合があって、とか話していたようですが、この人がパワーポイントなくしちゃって、口頭のみの発表だったので、さっぱりわからなかったのが残念でした(涙)。
 3人目の方は、DIDの各人格が違うトラウマと関連していたら? トラウマごとに人格が生まれる? トラウマの性質によって解離のタイプが予測できるか? など話していたような。結論としては、性的トラウマが一番暴力的で解離が起きやすい、解離は人間関係のトラウマが原因で起きやすい、と言っていたようです。
Wileyあぁ英語力さえあれば……と惜しまれる、しっかり内容を理解したかった発表でした。とはいえ、もっときれいさっぱりわからないことも覚悟してきたので、少しでもこんな話かな?と思えるだけ自分的には救いだったのですが……。
 頭が疲れてきたので、この日はこの辺りで切り上げて、コンベンションセンター周辺を観光しに出かけました。
 チャイナタウンを抜けて、ユニオンステーションへ向かうと……立派な建物で駅というより博物館や美術館みたいです。コンコース中央に軽く飲んで食べられるお店があったので、そこの2階でビールを飲みながら、天井の装飾や彫刻を鑑賞。駅の中にはショッピングモールもあったので、食事の後はお買い物しました。歩きやすそうでデザインも素敵な靴を見つけて購入。気に入った物が見つかるとうれしいです♪

8月5日 晴れ 時々 曇り 

この日はちょっと学会をお休みしてスミソニアン博物館を観光。途中で同じく学会を抜けて来ているお仲間に時々会いました。なぜわかったかというと、私が使い道に困っている派手な赤いバックを持っていらしたから……。その他、日本の海上自衛隊に入隊したての若者にも会いました。私たちが日本語で話していたので話しかけてくれたんです。たまたま近くに寄港していて、今日はお休みだとか。お休みの日も、あの白い制服なんですね。礼儀正しくて、頼もしい雰囲気の方々でした。
 さて、まず有名な航空宇宙博物館へ。夏休みでちびっこがいっぱい。お決まりの月の石(イメージに反してすごくちっちゃかったです)に触り、アポロやソユーズの歴史、ライト兄弟の展示を見て回りました。
 次はガイドブックで興味をひかれたアメリカンインディアン博物館。ここのカフェでは部族ごとの伝統料理が食べられるのですが、適当に選んだら食事じゃなくておやつみたいになってしまいました。メロン味のシェイクみたいな冷製スープ(トウガラシのトッピングって書いてあったので、まさか甘いスープとは思わなかったのです 苦笑)、甘いプディング(水分多すぎる蒸しパンみたいな……)、ワイルドライスサラダ、フライドチーズパン。サラダも結構独特な味で、素直においしいと思えるのはチーズパンだけでした。こういうのもいい思い出ということで……。
 展示の方は素晴らしくて、ネイティブアメリカンの各部族の紹介や、現在活躍している画家の作品なども見ることができました。興味をひかれる部族と、そうでもない部族とあったのが、自分の中で興味深かったです。過去世でここに居たのかな?と想像してみたりしました。
 その後はすごく大きな国会議事堂を外から見て、Library of Congress、図書館を見学。この建物も立派でした。どれもすごいので、どの建物が何だったっけ?と実は記憶が混ざっています……。
 ところでこれらの建物から建物へと移動中、リスを時々見かけました。ふと思いついて、近くにいたリスに、声には出さず心の中で語りかけてみると……「はじめまして、こんにちは。かわいいね。私はあやです。どうぞよろしく」そしたら「ん?」という感じで止まってくれたんです。続いて「かわいいね、いい子だね、あ、子どもじゃないかもしれない、失礼しました、素敵ですね」とか語りかけていると、そばに来て、私の周りをトコトコッと2周してくれます。おおっと思って「あの〜写真撮っていいですか?」と聞くと、ピタッと止まってくれました。これはもう偶然じゃなくて通じてるのかも〜♪とうれしくなり、「どうもありがとう!」と伝えつつ、パシャッと撮影。「ありがとう!」ともう一度お礼を言って、リスにさよならしました。
 さて、その後は国立美術館。見てみたい絵がたくさんあったのですが、そろそろ足が痛くなってきました。このナショナルギャラリーの絵は、今日本にも相当数来ていて、六本木で9月5日まで展示されています。足が痛くてちゃんと見られなかったから、六本木に行って来ようかな……。そういえば、この国立美術館のお土産コーナーはとっても素敵で、それを見て回っているうちに少し元気が回復してきました。
 そして最後は自然史博物館。恐竜コーナーや、鉱物コーナーが素晴らしかったです。ここだけを一日かけて見てもいいくらい。ああ、もうちょっと足が疲れていなければ……。
盛りだくさん見て回って、大満足。しっかり寝て、また明日は学会へ……。
(次号へつづく)

(尾方 文)

配信停止希望