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星和書店
今月の新刊 next
PTSDの持続エクスポージャー療法ワークブック

PTSDの持続エクスポージャー療法ワークブック

トラウマ体験からあなたの人生を取り戻すために

バーバラ・O・ロスバウム、エドナ・B・フォア、 エリザベス・A・ヘンブリー 著
小西聖子、金 吉晴 監訳
本田りえ、石丸径一郎、寺島 瞳 訳


A5判 並製 128頁
ISBN978-4-7911-0811-4〔2012〕
定価1,365円(本体1,300円)

本書は、PTSD治療法の中で最良とされているPEを実際の治療場面で用いる際の必携ワークブックである。前著『PTSDの持続エクスポージャー療法』を患者さん向けに書き改めたものである。

イギリス こころの臨床ツアー

イギリス こころの臨床ツアー

大学と精神医学・心理学臨床施設を歩く

丹野義彦 著

四六判 並製 296頁
ISBN978-4-7911-0812-1〔2012〕
定価1,890円(本体1,800円)

臨床心理学者である著者が、イギリスの10の都市をめぐり精神医学や心理学の施設、大学や病院を紹介する。心理学や精神医学の最先端の動きを紹介する。

トラウマと身体

トラウマと身体

センサリーモーター・サイコセラピー(SP)の理論と実践
─マインドフルネスにもとづくトラウマセラピー─

パット・オグデン、ケクニ・ミントン、クレア・ペイン 著
日本ハコミ研究所 訳


A5判 並製 528頁
ISBN978-4-7911-0810-7〔2012〕
定価5,880円(本体5,600円)

心身の相関を重視し、身体感覚や身体の動きにはたらきかけるマインドフルネスを活用した最新のトラウマセラピーの理論的基礎から、臨床の技法まで、事例も盛り込みながら包括的に描きだす。

  雑誌の最新号 next
精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第27巻7号

特集:精神疾患の典型例を学ぶ

なぜ典型例を学ばなければならないのか?今日、双極II型など非定型的な病像が注目を集め、従来診断による精神疾患の典型的病像が曖昧になりつつある。非定型的な病像を認識するためにも典型的病像を確実にイメージしておくことは重要である。そこで今回の特集では、典型例を精神疾患ごとに症例提示し、今日の精神科臨床にどう活かせるかを示した。

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第15巻8号

特集:精神疾患の薬理学的理解を薬物治療や心理教育にどう生かすか

薬物治療の根拠と理論について、事実として確かなことと、仮説的に推定されているにすぎないことを区別して整理した特集。それらを実際のせん妄、認知症、統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害、ADHDの薬物療法や心理教育にどう生かすかまとめた。
ISBN:978-4-7911-5178-3

精神科臨床サービス
定価 2,310
季刊 精神科臨床サービス 第12巻3号

特集: 孤独と死に向き合う:臨床における受け止め方,伝え方,支え方

支援者は当事者の回復に寄り添う一方で,死に至るさまざまなプロセスや「無縁社会」といわれる孤立・孤独に日頃から向き合い,適切に対処できる心構えと技術を持たなければなりません。本特集では,病棟や訪問,地域生活支援などの現場で遭遇する死や孤独をどう受け止め,支えればよいかを,ご遺族や支援者の貴重な実体験から学びます。あまり語られてこなかった,しかし誰もが避けては通れない「もうひとつの精神科臨床サービス」。
ISBN:978-4-7911-7147-7

今月のコラム
今月のコラム
心のうちに (Gさんへ)
太田茂行  (生活心理相談室 ナヌーク)

お元気ですか。

《 あぁ、おまへはなにをして来たのだと…
        吹き来る風が私に言ふ 》     中原中也 「帰郷」より

わたしは気がつけば還暦を過ぎてしまいました。夭折した天才詩人の言葉を、自分の思いと重ねるのは気が引けますが、まさに光陰矢の如し、驚くばかりです。来し方の歩みは、自分が誰よりも知っています。中味を考えれば、茫々とした思いがわいてきます。
 残りの時間をどのように充実させていけば良いのか。現在をすこしでもましな時間とするには、毎日をいかに過ごしていくべきか。自己実現と称して、結局はエゴ的欲求に突き動かされることが関の山…そんなトリックからいい加減に抜け出したい。しかし、自分に甘い生き方をそう簡単に変えられるだろうか、忸怩たる思いです。

 若い頃に棟方志功の講演をどこかの大学で聴いたことがあります。黒板に《仕事》と板書して、「事に仕えるというのですなぁ。これがどういう意味だか、まだよく分からんのですよ…」とニコニコしながら語っていました。ころころと育った子どものような表情でした。あの笑顔は、今から思えば仕事と本気で格闘している人がもつ充実感から生まれるものだったのでしょう。仕事への愛情が伝わってきたのを覚えています。自分はあんな風に笑えるだろうか…後に、彼が亡くなってから、墓碑銘として「驚異(おどろき)モ、歓喜(よろこび)モ、マシテ悲愛ヲ、尽シ得ス」という言葉が刻まれているのを知りました。カタカナの味わいが何とも良いでしょう。  

ちょうど、この版画家の名前に一字ありますが、志す、と言う言葉、最近おりおり考えさせられています。自分がやりたい事は何だろうか…そんな風に思った事は度々ですが、自分が志す事は何か、などとはほとんど考えた事がありませんでした。還暦は、暦が一回りする時です。いわば、振り出しに戻る時ですね。これからは持ち時間がそれほど多くなくても、仕切り直しをして、しっかりとやりたいです。すこしましな仕事ができるようになったならば、またあなたも喜んでくださるでしょうか。

「自分が欲するところではなく、神があなたに命ずるところを行え」というような聖書の言葉があるようです。自我の殻を破ることは、とうてい難しいことですが、少しは頑張ってみたいです。神の言葉は耳を澄まさなければ聴こえないと言われます。まず、その練習から必要ですね。神様は、いま、わたしに何を命じているのだろうか、それをまた、教条的でなく、活きた教えとして実行できるようになること…そんなことを望んでいます。

私よりずっと厳しく歩んできたあなたは、心の深いところで、私以上に、私が言わんとするところを汲み取ってくれているでしょう。どうもありがとうございます。あなたから、学んだことは数え知れません。これからも、私の中でそれらは大きくなっていくに違いありません。

先日、『トラウマと身体』という本をハコミ研究所の仲間と訳しました。とても良い本です。ソマティック心理学の実践の書であり、今後のトラウマセラピーの標準的教科書の一つにもなり得る本だと思います。しかし、こうした仕事で慢心しないように、月並みな言葉ですが、今後とも、ご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします。
 また、折にふれ、お便りさせて頂きます。ではどうぞ、お元気で。  

太田茂行 臨床心理士。日本EMDR学会(理事)および日本ハコミ研究所所属。東京目黒にて私設相談室主宰。専門はソマティック心理学とトラウマセラピー。
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