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星和書店
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脳をみる心、心をみる脳:マインドサイトによる新しいサイコセラピー

脳をみる心、心をみる脳:マインドサイトによる新しいサイコセラピー

自分を変える脳と心のサイエンス

ダニエル・J・シーゲル 著
山藤奈穂子、小島美夏 訳

四六判 並製 480頁
ISBN978-4-7911-0863-3〔2013〕
本体価格 2,800 円 + 税

マインドサイトは、脳と心のナビゲーター

「マインドサイト」は、自分を変えるための道具。マインドサイトを身につけると、柔軟なシステムである脳と心に変化が生じ、幸せを妨げる脳と心の働きのパターンが変化し、人生を楽しみ幸せに生きることができる。

関係フレーム理論(RFT)をまなぶ

関係フレーム理論(RFT)をまなぶ

言語行動理論・ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)入門

ニコラス・トールネケ 著 
山本淳一 監修 武藤 崇、熊野宏昭 監訳

A5判 並製 396頁
ISBN978-4-7911-0862-6〔2013〕
本体価格 2,800 円 + 税

認知行動療法やACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)を基礎理論から学ぶのに本書ほどすぐれている本はない。豊富な臨床例を用いて簡潔にRFTの概念を説明する。

ACTの基礎となるRFTについて、その概略と臨床適用のポイント、前提となる機能的文脈主義やオペラント学習の理論、スキナーによる言語行動やルール支配行動について分かりやすく解説する。

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精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第28巻12号

特集: 認知症に対する薬物療法の課題

認知症の最適な治療とは何か!適切な薬物療法、心理社会的治療、そして福祉的支援が欠かせない。今回はそのなかでも特に適切な薬物療法とは何かを特集。国際的に使用されている4つの抗認知症薬が、すべてわが国でもアルツハイマー型認知症に保険適応となり、2年が経ち、臨床経験が蓄積されてきている。しかしこれらはあくまで認知症の中心的な症状である認知機能障害の進行を遅らせる症状改善薬であり、どの段階から使用するべきか、いつまで使用したらよいのか、また適切な用量や薬剤選択などを重点的に解説。さらに幻覚、妄想、焦燥、興奮などの周辺症状に対する適切な薬物療法、血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症に対する薬物療法、今後の薬物開発の展望も解説。明日からの認知症臨床に役立つ。 JANコード:4910156071235

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第17巻1号

特集: 向精神薬の副作用モニタリング

向精神薬の副作用モニタリングで重篤な副作用を防止する。
向精神薬は様々な重篤な副作用を惹起する可能性があり、患者の治療アドヒアランスや生命予後に影響を与えるため、日常臨床の中で問診だけでなく様々な検査も行ってモニタリングしていく必要がある。本特集は、向精神薬の副作用モニタリングについて、国際的なコンセンサスやガイドラインを参考にしながら、わが国の医療事情に即したモニタリング項目やその頻度を検討する。
ISBN:978-4-7911-5195-0

今月のコラム
今月のコラム
強迫性障害(OCD)とうつ病
  田村浩二 

私は、これまでに、強迫性障害(OCD)とうつ病という精神的な病を経験し、今ではどちらともおさらばした生活を送っています。
 強迫性障害については、もうかれこれ十年以上前に完治し、うつ病については、ほんの二年前くらいに完治しました。
 この両方の病気が重なっていた時期はなく、初めに強迫性障害があり、それが治ってからうつ病が出現しました。

強迫性障害の方は、20代の約10年間(発症はもっと早く、子供の時からそれらしい症状はありましたが、本格的に苦しんでいたのはこの時期です)、うつ病の方は、30代から40代前半にかけて約8年間苦しみました。
 強迫性障害については、医者へ行くこともなく、薬も飲まずに克服しましたが、うつ病の方は、長年通院をし、その間も薬はずっと飲み続けていたにもかかわらず、一向に治るどころか症状は悪化の一途をたどり、毎日、死ぬことばかりを考えるようになっていたので、最終的には思い切って転職をすることにしました。
 すると、ウソのようにうつ病は消えてなくなりました。
 今まで散々、多くの薬を飲んできたのは一体何だったのだろう、多くの時間と労力とお金を費やしてきたのは何だったのだろうと今では正直悔しい思いをしています。

うつがひどいときは医者から入院を勧められたことも何度かあります。
 私は、その医者が紹介してくれると言ってくださった病院を見に行ったことがあるのですが、とてもここには入院できないというのが第一印象でした。お世辞にも綺麗とは言い難い病棟に、ほとんど「自覚」とか「自意識」といった感情がまったく感じられないような人たちが病院の内外に徘徊している姿を見て、正直「アカン、ここに入ったら、俺は余計におかしくなってしまう、止めとこ」と思いました。表現が不適切だったらすみません。

元々私のうつ病の原因は職場とそれを受け止める自分の関係性にありましたから、職場から離れてさえいれば、別に入院の必要性などまったく感じていませんでしたし、自宅療養で十分だと思っていたので入院は断っていました。
 あのときの医師の対応は決して間違っていたとは思いませんが、本質までは見抜けていなかったと思います。私が余りにも希死念慮があるなど毎回言っていたので、医師としては入院を勧められたのだと思いますが、今でも本当に入院しなくて良かったと思っています。

薬も色々と試して、一時期異常な体重の増加(通常の体重よりも約20キロ太りました)やひどい吐き気をもよおしたこともあり、結論を言いますと、私の場合は、薬はまったく効果がなかったということです。
 あくまでも私個人の場合ですので、薬の効果を否定するつもりはありませんが、長年にわたり飲み続け、休職までしたにもかかわらず、職場に戻るとまた直ぐに再発してしまっていました。
 職場自体が嫌で、そこへ行けばおかしくなってしまうのは当たり前なのに、それを薬で何とかしのごうと必死に耐えていましたがやはり限界がきてしまい、結局辞めざるを得ませんでした。でも、前職を辞めたことによって、私のうつ病は2年以上経った今でも再発することはなく、薬とも完全におさらばし、うつ病とは無縁の生活を送っています。

うつ病の治療方針としての基本的なマニュアルは、休養と薬物療法、そして、大事な決断はしないことなどが挙げられますが、私はその点については決して間違ってはいないと思います。
 うつ病になった、だから直ぐに会社を辞めるという決断はいささか焦り過ぎで、やはり大事な決断は、ゆっくり時間をかけて考えて下すべきだと思いますし、私の場合も8年間という長い時間をかけて仕事を辞める決心にたどり着いたので、今でも辞めたことはまったく後悔はしていませんし、これで良かったのだと思えています。
 ただ、できることならもう少し早く決断をしていればあんなに長く苦しまなくても済んだのにという悔しさもあります。

うつ病については、私の場合はこうして完治しましたが、一方、強迫性障害の方はといいますと、こちらは先述のとおり、医者に行くことも薬を飲むこともなく、ただひたすら本を読み返し、病気についての認識を深め、自分なりに色々な工夫を重ねながら治しました。
 その点については、これまでに出版させていただいた本『強迫性障害聞きたいこと・知りたいこと』(星和書店)の中に詳しく書いていますし、現在新たな本も執筆中です(星和書店より刊行予定)。良いものができるように現在、精一杯、全身全霊で原稿作成に取り組んでいますので、興味や関心がある方は期待していてください。

私がこの二つの精神的な病を経験して思ったことは、心の痛みとは、もしかしたら肉体的な痛みよりも辛いのではないかということです。
 確かに頭痛や腰痛など、身体の痛みもひどくなると、とても耐えがたいものなりますが、心の病のやっかいなところは、その影響が全身に及ぶ点ではないかと思います。「病は気から」と言いますが、気分がダメだと身体全体的にダメになってしまうことが多く、何もやる気にならなくなってしまいがちです。

人生生きていれば、嫌なこともたくさんありますし、大なり小なり心労は絶えないとは思いますが、このような精神的な病はもう懲り懲りだというのが現在の正直な心境です。
 そして、このような病気で苦しんでおられる方々の少しでもお力になれたらという思いから、本を書かせてもらったり、また今度、新たに強迫性障害(OCD)相談室のようなものも立ち上げようと計画しているところです。

田村浩二さんの本、好評発売中

強迫性障害・聞きたいこと知りたいこと』(田村浩二 著)
実体験に基づく うつ病対処マニュアル50か条』(田村浩二 著)

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