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星和書店
今月の新刊 next
青年期PTSDの持続エクスポージャー療法─治療者マニュアル─

青年期PTSDの持続エクスポージャー療法
─治療者マニュアル─

トラウマによる苦しみからの回復。

エドナ・B・フォア、ケリー・R・クレストマン、エヴァ・ギルボア=シェヒトマン 著
金 吉晴、中島聡美、小林由季、大滝涼子 訳

A5判 並製 288頁
ISBN978-4-7911-0873-2〔2014〕
本体価格 3,500 円 + 税

持続エクスポージャー療法(PE)は、 PTSD治療法の中でも効果が高いことで知られる。青年期ならではの成長過程の困難にも注意しつつ、10代のPTSD患者にPEを用いる際の必読治療マニュアル。

境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ

青年期PTSDの持続エクスポージャー療法
―10代のためのワークブック―

10代のための画期的なトラウマ治療を練習する。

ケリー・R・クレストマン、エヴァ・ギルボア=シェヒトマン、エドナ・B・フォア 著
金 吉晴、小林由季、大滝涼子、大塚佳代 訳

B5判 並製 132頁
ISBN978-4-7911-0874-9〔2014〕
本体価格 1,500 円 + 税

持続エクスポージャー療法(PE)では、適切な実践を重ねることでPTSD患者をトラウマ体験の苦痛から解放することを目指す。本書は特に思春期・青年期の患者を対象としたPE実践ワークブックである。

精神病理学の歴史

精神病理学の歴史

―精神医学の大いなる流れ―

エルヴェ・ボーシェーヌ 著 大原一幸、高内茂 訳

A5判 上製 332頁
ISBN978-4-7911-0872-5〔2014〕
本体価格 4,500 円 + 税

フランス学派の独自性を保ちつつ、20世紀後半までの精神病理学の流れを大きな偏りのない客観的な立場から俯瞰した良書。現代精神医学の源流への探訪は、精神障害の理解に大いに役立つだろう。

  雑誌の最新号 next
精神科治療学
本体価格  
2,880
円+税
月刊 精神科治療学 第29巻5号

特集:トラウマという視点から見た精神科臨床

トラウマという視点で患者を捉えると治療の糸口が見えてくる!
ともすれば訴訟や免責を連想させるこの言葉だが、従来の治療が奏効しない場合、トラウマという視点で見立て直すと有用なことがある。今回の特集は、統合失調症や気分障害、あるいは発達障害といった、精神科臨床で日常的に遭遇する病態を、トラウマという視点から取り上げた。さらに、トラウマ関連問題を取り扱う際、臨床家が心得ておくべき事項も取り上げた。精神科臨床に役立つ特集。
JANコード:4910156070542

臨床精神薬理
本体価格   
2,900
円+税
月刊 臨床精神薬理 第17巻6号

特集: 向精神薬の治験再考―なぜこのメカニズムの向精神薬の治験は失敗したか?―

向精神薬に関する過去の失敗した治験に焦点を当て、精神科疾患の病態や治療メカニズムの仮説とそれに基づく新薬開発の難しさや限界を概説。そして今後の創薬の期待や可能性を検討した特集。精神科領域の臨床試験の特徴と課題について展望し、HPA axisに働く抗うつ薬の可能性、トリプルモノアミン再取り込み阻害薬、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)2/3アゴニスト、アルツハイマー病におけるアミロイドワクチン、アルツハイマー病におけるγ-セクレターゼ阻害薬、そして今後期待される新しいメカニズムの向精神薬について取り上げた。
ISBN:978-4-7911-5200-1

精神科臨床サービス
本体価格   
2,200 +税
季刊 精神科臨床サービス 第14巻2号

特集:相談支援とケアマネジメント

2012年から障害者の地域相談支援事業が個別給付化され、サービス利用手続きや施設基準が大きく変わった。2015年度中には市町村は全対象者に対して計画相談を実施しなければならず、精神障害者の地域生活を直接支援する関係者にとって、相談支援は必須のサービスとなる。従来の生活支援・ケアマネジマントの方法とどう違うのか? 生活困難を支えるための工夫はどうするか? 当事者ニーズを支援に反映できているか? 関係機関の連携は当事者主体になっているか? 本特集では、新制度下における相談支援事業の現状を紹介しながら、その意義や期待されること、今後の課題を探る。
ISBN:978-4-7911-7154-5

今月のコラム
今月のコラム
生体臓器移植ドナーと精神医学
東京女子医科大学精神医学教室  西村勝治

東日本大震災が発生した当時、血液透析を受けている方々が被害の大きかった地域から、東北や関東の医療機関に次々と搬送されるというニュースがあったことを覚えておられますか? 当時、首都圏でも計画停電や交通機関の混乱、生活物資の不足などさまざまな変化が起こり、私自身も含めてそうした状況で生活することに一生懸命でしたが、慢性疾患を抱える人たちはまた別の大きな不安に出会っていたのです。

そして、それから1年以上たち、東日本大震災が人々のこころにもたらした影響をいつもの診察室で改めて気づかされました。私は、精神科医として、家族からの提供を受けて腎臓や肝臓を移植する生体臓器移植に関わっています。私が担っているおもな役割は、臓器を提供しようとする人(ドナー)が、他からのプレッシャーではなく、本当に自分の意思で提供しようと思っているかを確認する、というものです。

「透析中に震災が起こり、『大きな揺れの最中、逃げることも隠れることもできず、本当に怖かった』と訴えた家族に、二度とそんな恐怖を味わわせたくない」という人、「また震災が起こったら、自分の家族は透析を受けられなくなってしまうかもしれない」という心配から提供を決意した人。当たり前の生活が当たり前でなくなったことで生じた、腎臓提供の意思です。

家族から家族へ。提供の動機はさまざまです。「透析の苦痛や束縛から解放してあげたい」「少しでも元気に長生きしてほしい」「老後を一緒に自由に過ごしたい」。一番多い理由はこのあたりでしょうか。家族同士の思いやり、繋がりが感じられる一幕でもあります。

もちろん、かならずしも純粋なGIFT OF LIFE(命の贈りもの)ではないこともあります。「透析から離れて、私たち家族のためにもっと働いてほしい」。合理的に見えますが、生活共同体としての家族の方向性に沿った提供理由だとも思えます。「本当はあの人にこそ提供してほしいけれど、あの人がしないのなら自分がするしかない」というようなことも。家族の中でさまざまな思惑が渦巻くこともままあることです。

「自分はどんなリスクを負ってもいい、とにかく家族を助けたい!」。悲痛とも感じる熱意を込めて提供理由を話される方もいます。「親として子どもを助けるのは当たり前、自分は死んでもいい……」。特にお母さんから子どもへの提供理由では「健康な体に産んであげられなかった」「(病気に)早く気付いてあげられなかった」という自責の念が語られることもあります。

生体臓器移植のドナーに求められることは提供意思の自発性と、その前提となる意思決定能力です。意思決定能力に疑いがあれば、ドナーにはなることはできません。しかしこの意思決定能力の評価は実はとても難しいのです。たとえば統合失調症の方や軽度の知的障害がある方でも、もちろん家族を想い、力になりたいと思い、自分の腎臓を提供する権利があるはずです。彼らが、誰かのプレッシャーで断れないというような事態や、必要な情報(たとえば移植を行うことで生じる危険性や有益性、透析などの他の代わりとなりうる治療の存在など)を十分理解しないまま提供を促されるというような事態を避け、心身共に安定した状態の中から生じた自発的な意思ならぜひ尊重したい。

臓器提供希望者の権利と擁護。高度医療のなかで精神医学はどんな役割を果たすことができるのか、医療倫理として新たに課された課題です。医療者だけでなく社会の中でもさまざまな考えが議論されることが、この命題の答えにつながるかもしれません。そんなことを考えながら、また新しい移植を希望する方の面接に臨む日々です。

西村勝治先生の本、好評発売中

生体臓器移植ドナーの意思確認に関する指針
(日本総合病院精神医学会治療戦略検討委員会・臓器移植関連委員会〔主担当:西村勝治〕企画・編集)

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