デジタルは、砂上の楼閣。魔法のように変化させることができる。
  ということは、信頼性がないということ。悪の餌食にもなるのですね〜。

星和書店 こころのマガジン
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《営業部からのお知らせ》

「認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ」がテキスト・DVDともに売行き好調で、各方面より「わかりやすい!」とご好評いただいております。一時、品切れのため、お客様にはご迷惑をおかけいたしましたが、増刷出来ました。続編の「認知療法・認知行動療法 面接の実際〈DVD版〉」発売となり、2月下旬より紀伊國屋書店新宿本店さん、ジュンク堂書店池袋本店さんにてDVDのデモを流しますので、ぜひお立ち寄り下さい。また、「自分自身をみる能力の喪失について」もこちらの予想を上回る売行きで、ほぼ完売、こちらも増刷できました。

星和書店


デジタルは、砂上の楼閣

インターネットは、以前には想像すら出来なかった情報基盤を提供しています。革命的な新しいシステムなのですから、全く今までになかった新しい内容をあつかってもらいたいものです。ですが、往々にして、新しい業態は、既存のマーケットを横取りしようとします。
昔主婦の店ダイエーが創業したころ、新しい流通システムとしてマスコミは大きく取り上げ? もてはやしました。その後、スーパーマーケットは、時代の寵児のごとく、全国にどんどん増えていきました。資本力に負けて、小さな個人店、魚屋さんや八百屋さんなど、消えていきました。現在では、帰りがけに魚屋さんによって焼きたてのサンマを買いたいと思っても、そんな贅沢は出来なくなりました。パックにつめられたさめたサンマ。でも、まだスーパーが残っているところはいいのでしょうか。商店街がなくなり、そしてスーパーも消えてしまった地域住民。お帰りといって笑顔で迎えてくれた地元の八百屋のおやじも、もう戻ってきてはくれないでしょう。
出版社の本作りは、文字などの組版のみではありません。この内容なら、紙はどうしようか。クリーム系の色のほうがいいんじゃないか。紙のやわらかさはどうだろう。つるつるの方がいいか、ちょっと、ざらっとした調子がいいか。表紙は、ハードカバーのほうがいいかどうか。そうすると、表紙に入れる堅さを出すボール紙は何にするか。カバーのデザインは。このカバーのデザインだと、印刷方式はどうするか。刷ったあとはるPPは、つやがいいかマット調がいいか。など、一つ一つ素材を考えながら作ります。こういうこと全てが、出版社の楽しみです。本ができ、書店さんの店頭に並べられ、読者が手にとって見ている。それを買ってくれるかどうか、ひやひやしながら見ている出版社の営業。わくわくするような瞬間ですね。 書店さんもいろいろ展示方法に知恵を絞っています。
本作りを無視して、売上数字だけを考える経営者が出てきたとします。売れればいいのですから、素材など関係ありません。データをネットで売れればいいとなります。電子出版といわれる新しい分野が、もし発展するとしたら?
スーパーにしても、インターネットにしても、この新しいシステムは、どうも新しい分野を創作するのではなく、既存のものを扱おうとするようです。なんら新しいことをしているわけではなく、ただ単に既存のものを横取りしようとしているとしか思えません。利益率は低いながら、文化の担い手と自負する書店様の努力から、ちっとも儲からないけど使命感にみちみちた本作りが好きな出版人たちにささえられてきた日本の書籍マーケット。 駅前にも家のそばにも、あちこちにある書店さん。電子出版がふえ、ネット書店がふえ、既存の町の書店さんが閉店すると言う、またまたスーパーの時の前例が繰り返されたら。書店さんが消え、いい出版物が消えていってしまったら?
新しいシステムは、魔法の小槌に見えるものです。何でもこれで解決できると。魔法使いのように、世界を変えてしまえると。夢の世界があらわれるのだと。この幻想が消えたとき、何が待っているのでしょうか。