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星和書店
今月の新刊 next

SWNS-J手引き

フィッシュ臨床精神病理学

精神医学における症状と徴候 第3版

パトリシア・ケージー、ブレンダン・ケリー 著
針間博彦、中安信夫 監訳
A5判 並製 260頁  ISBN978-4-7911-0731-5〔2010〕
定価 3,990円 円(本体3,800円)

DSM、ICDの登場以前より精神科研修と臨床実践を牽引してきた『フィッシュ臨床精神病理学』は、精神疾患の症状を簡潔に記述し心理機能の障害が示す多様な表現を明敏に説明する、記述的精神病理学の古典的名著である。本書は、改訂第3版としてパーソナリティ障害ほか多数の項目を新規追加し、フィッシュの臨床記述と精神病理学的洞察を新たな世代に示す。医学生や精神科医をはじめ、精神科臨床に携わるスタッフのための必須テキスト。

SWNS-J手引き

続 統合失調症症候学

精神症候学の復権を求めて

中安信夫 著
A5判 上製函入 652頁  ISBN978-4-7911-0730-8〔2010〕
定価 10,290円 円(本体9,800円)

増補改訂 分裂病症候学―記述現象学的記載から神経心理学的理解へ』(星和書店,2001)の続編。統合失調症の辺縁症状論、初期統合失調症論、操作的診断基準批判の3つのテーマを柱とし、26編から成る。現今のマニュアル精神医学を危惧し、精神症候学の復権を求めて奮闘したこの10年の成果がこの一冊に! 症候学に基づく精神科臨床の真髄!

命令幻聴の認知行動療法

命令幻聴の認知行動療法

サラ・バーン、マックス・バーチウッド、ピーター・トローワー、アラン・ミーデン 著
菊池安希子 監訳
朝波千尋,岩さきさやか,菊池安希子,古村健,山本哲裕 訳
A5判 並製 232頁  ISBN978-4-7911-0732-2〔2010〕
定価 2,940円 円(本体2,800円)

本書は,統合失調症の命令幻聴に対する治療マニュアルである。苦痛で危険性を伴いながらも有効な治療法が存在しなかった命令幻聴に対し,著者らはその理論モデルを構築し,認知行動的アプローチを開発した。8つの適用例を中心に,治療プロトコルを実践的に提示し,このアプローチの有効性と課題を探っている。精神医療関係者にとっては革新的かつ興味深い内容である。

命令幻聴の認知行動療法

統合失調症からの回復を支える

―心理教育・地域生活支援・パートナーシップ―

白石弘巳 著
A5判 並製 228頁  ISBN978-4-7911-0733-9〔2010〕
定価 2,940円 円(本体2,800円)

統合失調症の真の「回復」とは何か?そのために何ができるのか?
精神科医として,支援者として,隣人として,自らの立ち位置を模索し続けるひたむきな姿勢と,当事者・ご家族に寄り添いつつ学んだ実践の工夫を,「心理教育」「地域生活支援」「パートナーシップ」をキーワードに編纂。エンパワーメントのための実地の技術を学ぶとともに,支援の本質について考えるための1冊。

  雑誌の最新号 next

精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第25巻3号

特集: 精神科医が薬を処方する前に考えるべきこと

薬物は精神科医にとって最も有効な治療手段である。本特集では薬物や処方という行為をどう考えるべきか、基本とすべき問題点を浮き彫りにする。製薬企業の思惑に踊らされない冷静な判断の必要性、精神療法の重要性、治療アルゴリズム使用の注意点、マスメディアの情報や飲み心地という患者の主観的体験への対応などについて、精神科医のとるべき立場を論じた。また乱用のリスク、過量服薬について救急医からの提言を掲載。普段何気なく行っている自らの処方を振り返る、精神科医必読の特集!

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第13巻4号

特集:社交不安障害(SAD)を再考する

学会では社会不安障害から社交不安障害へ呼称が変更され、fluvoxamineやparoxetineといった抗うつ薬が新たにSADの適応を取るなど、SADに関する状況は様変わりしている。そこで本特集では、SADについて診断上の問題点、生物学的な背景、うつ病との関連、薬物療法と認知行動療法の位置づけ、paroxetineの位置づけなど紹介し、SADを再考した。

こころのりんしょう à·la·carte
定価 1,680
季刊 こころのりんしょう à·la·carte 第29巻1号

特集:薬物依存の現在

薬物依存はれっきとした精神障害であり、医療モデルとしての対応が求められている。これを踏まえ、本特集では、薬物依存問題の第一線で活躍中の著者らによる病院や地域でのさまざまな取り組みや、薬物乱用とその対策の試みなどについて詳しく紹介。Q&Aでは、薬物の種類、依存・中毒の本質、関連法規や対応法など、医療従事者も必ずとまどいがちな依存関連の問題について分かりやすく解説した。

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こころのマガジン

単なる袋、されど袋

 今年は、冬がなかなか通り過ぎてくれません。その分、花粉との過酷な戦いも始まりません。突然春が来て、花粉の季節を飛び越えてくれればいいのですが。春物の衣類を売っているデパートの販売員たちが、朝、冬のコートで出勤しているのを目にします。
 何かちぐはぐなことって、結構あるんですね。

 最新式のコピー機にすると経費も削減でき効率的になります、と売り込むコピー屋さんのコピーが、年代ものだったり
 最新のパソコンを売り込む会社のパソコンが、いまだウィンドウズ2000だったり
 健康診断や人間ドックを毎年受けましょうと言われているお医者様が、何の検査もしていないとか
 生活にゆとりを持ち、ストレスをためないように、と講演されている精神科医が、日々の仕事に追われて過大なストレスをため込んでいるとか
 企業の従業員の心のケアーを担当するEAP会社のカウンセラーが、自分たちのノルマに追われてブレイクダウン寸前だったり
 裁判官が性犯罪を犯したり、麻薬取締官が違法薬物を使用していたり、みんなが本を読まなくなって困った困ったと言っている出版人が全く本を読まなかったり、

というようなことは、よくあることです。みなさん、結構、自己矛盾を抱えているんですね。というか、建て前と本音とが一致していないんですね。  

 「お客様第一」「お客様のために」というような言葉が、伝家の宝刀のように使われています。これは何を意味しているんでしょうか。お客様に沢山お金を自分たちのために使ってもらう、ということなんでしょうか。お客様に喜んでいただくと言うことなんでしょうか。
 先日、コンビニで冷たいコーヒーゼリーとアイスコーヒーと熱々の肉まんと温かいお茶をレジに持って行きました。いきなり「一つの袋に入れていいですか」と聞かれました。答えに窮する場面です。いやだと言えばエコに反対しているみたいだし、だからと言って冷たいものが温まってもおいしくないし。 おいしく食べてもらいたい、と言うのが本来販売する側が持っている感情だと思います。てんぷらを揚げている職人さんは、揚げたてをすぐに食べてもらいたい、でしょうし、気のきいたビアホールでは、グラスを冷やしてビールを注ぐし、温めたカップでコーヒーを入れてくれるお店もあります。売上とか経費削減も大変重要なことかもしれませんが、作る側がおいしく食べてもらいたいという気持ちを持つかどうか、がとても重要でしょう。
 当社の所在地は、決して都会と言えるようなところではなく、東京の田舎ともいえる場所なのですが、そのようなところに、有名なパティシェのアトリエができたんです。六本木のミッドタウンにお店があるのですが、そのアトリエができたんですね。六本木と八幡山に。六本木と代官山ではないですよ。ついに、同じ山がつく八幡山が代官山にならんだんです。丁寧に作られたケーキが並んでいます。ここでケーキを買うと、持ち歩き時間はどれくらいかと聞かれ、少し長い時間持ち歩くと言うと、特製の手提げ袋を進められます。おいしく食べてもらうために、ものすごく気を使っているんですね。
 で、コンビニの袋の件ですが、まあ単なる袋の件ですから、それほど考えなくてもいいのかもしれませんが、これこそ、利益追求だけを考えている経営姿勢から、その理念が全く説明されないまま店頭の販売員に袋を倹約するようにという命令が伝えられ、袋問題につながるんですね。エコ推進のために袋を節約しています、と説明されれば、なるほど、ということになるでしょう。エコ推進のためには、温かいものが冷たくなっても我慢できます。売る立場のほうが本来、客が袋を一つでいいよと言っても、おいしく食べていただくために袋は別々に、と考えるのが筋かなと思います。
 今回のコラムは、単なる袋問題に終始してしまいました。今月は、精神医学の出版をしている当社も忙しく、ストレスがたまってしまっているようで、単なる袋問題を、何時までも引きずっています。単なる袋問題、されど袋問題。これは、コンビニの販売員の自動思考の問題でもスキーマの問題でもないかもしれません。認知行動療法では、・・・・
あれまだ袋問題を引きずってますね。この辺で、袋問題には、幕を。

 木々は緑の木の葉でおおわれ、町は大地の快い匂いの中で息づく春。魂「富ゆる」冬が終わり、それが開花する春。暗く寒々とした季節にすっぽりと包まれたような日本が、春の訪れとともに春めいてくれるのでしょうか。そうならない時は、さらに暗く過酷な日々が待っているのでしょうか。いえいえ、ポジティブに、すっかり春めいてくる日々を楽しみに想像したいものです。

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