http://www.seiwa-pb.co.jp/htmlmail/88.html
星和書店
今月の新刊 next

職場のうつ

職場のうつ

―対策実践マニュアル―

松原六郎、五十川早苗、齊藤忍 著
四六判 並製 220頁  ISBN978-4-7911-0740-7〔2010〕
定価 1,890円(本体1,800円)

「うつ病とは心の風邪であり、簡単に治せる」という言葉はすでに過去のものとなりました。いまや、自殺者が増え、休職者が相次ぎ、復職してもすぐに再発するケースが多いという現状から、職場におけるメンタルヘルス対策が急務となっています。
本書では、適切な関わりをするポイント、連携体制づくり、復職トレーニング、うつ病予防などについて、図表や文書の作成例を多用して、わかりやすく解説しました。

オトコのうつ

オトコのうつ

イライラし、キレやすく、黙り込む男性の
うつを支える女性のためのガイド

デヴィッド・B・ウェクスラー 著
山藤奈穂子 監訳、山藤奈穂子、荒井まゆみ 訳
四六判 並製 372頁  
ISBN978-4-7911-0739-1〔2010〕
定価 2,310 円(本体2,200円)

ギャンブル、酒、仕事中毒……、女性とは少し違った症状を現す男性のうつ。決してうつ病を認めようとせず、いつも不機嫌で、まわりを責める、黙り込む……。あなたのパートナーがこのような男性特有のうつになったらどうしますか? 本書は、うつ状態の男性のそばにいる女性パートナーに向け、男性のうつの症状や言動の特徴について詳しく解説し、本人にうつに気づかせるコツ、心の通った会話をするコツ、援助を得られるようサポートするコツ、男性を支えすぎずに自分を大切にするコツなどを、エクササイズを通して具体的に身につけられる実用的ガイドブック。
新型うつ病、自己愛型うつ病、男性のうつ病の治療に悩む治療者、精神保健関係者にも自信を持っておすすめします。

  雑誌の最新号 next

精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第25巻6号

特集: ADHD臨床の新展開 I

この10年間に急速に関心が高まったADHDの最新の治療を2号にわたり特集。今号では,ADHD概念の変遷と今後の展望,DSM-5に向けた診断分類の課題,疫学と長期予後,神経生物学,成人ADHDの診断,評価尺度と心理学的検査,過剰診断など,ADHDの診断・アセスメントを取り上げる。続いて,学校精神保健,素行障害・二次障害・気分障害・子ども虐待との関わりに触れ,ADHDの実像に迫る。精神科医療のみならず,教育現場や産業精神保健分野においても役立つ特集。

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第13巻7号

特集:緩和医療における精神科薬物療法

2006年にはがん対策基本法が成立し、緩和ケアに対する関心やニーズが高まっている。本特集では、緩和医療におけるチームワークの中で、精神科薬物療法の果たす意味を考える。

こころのりんしょう à·la·carte
定価 1,680
季刊 こころのりんしょう à·la·carte 第29巻2号

特集:統合失調症

脳科学、画像研究の進歩にともない、統合失調症の研究においても新たな知見、新たな仮説が生まれている。また、薬物療法もさまざまに工夫がなされ、治療も入院中心から地域へと移ってきている。本特集では、大きな転換点を迎えている統合失調症の最近の動きに焦点をあわせ、症状や早期治療、再発予防、薬の副作用などに関する基本的知識および最新の研究について、一般の方や当事者も視野に入れた50のQ&Aと論説の2部構成でわかりやすく紹介。

↑トップへ
こころのマガジン

カタカナ英語が闊歩する

先日の夜、帰り道の歩道に沿って長い人の列ができていました。この歩道の端には、低い鉄の柵があり、そこに腰をかけている人、鉄柵の前の歩道に座り込んでいる人、組み立て式の椅子を持ちこんで座っている人、座り込んでゲームをしている人、と、どこまで続いているのだろうと驚くほど長い列ができていました。この鉄の柵は、道端に植えてある草花を保護するためにある低い鉄柵で、普段は、スケボーをするひとたちがその上にとびのったり、犬がそこにおしっこをしたり、なにしろ汚いと言えば汚い鉄柵です。掃除する人もいないでしょうし、毎日、そういう状況を見ていると、え、そこには座らないほうがいいよ、と言ってあげたいのですが、時すでに遅く、みなさんのお尻できれいに掃除された状態になっていたようです。これが夜10時ごろです。
次の朝、駅に向かう途中にここを通ると、何とその列は、道路を渡ってはるかかなたまで、列の最後が見えないほどの先まで続いていました。道路を渡るところで列が切れるので、そこに割り込みが入らないように、ガードマンやおそろいのTシャツを着た人たちがその場に立っていました。その数、20人ほどはいたでしょうか。
テレビ局の車やカメラマンがたくさん来ていました。さて、いったい何事が起ったのでしょうか。
 そう、iPhone4の売り出しを待っている人たちでした。先日のiPadの時もかなり並んでいましたが、その差は歴然、iPhone4のほうが、はるかに多くの人を引き付けているようです。
iPhoneに比べると、iPadのほうが数は売れていないのでしょうが、iPadがもたらす出版界への影響は、かなり強烈です。今まで、ソニーやアマゾンなどで電子書籍を読む機械が出ていましたが、出版社側もかなり冷やかな目で見ていました。それが、iPadが発表されてから、状況が一変しました。印刷会社、ソフトウェア会社、それに紀伊国屋書店などが、一気にiPad配信に向けて準備し始めました。今までは、当社に電子書籍を販売しないかと言う売込は、一件もなかったのですが、iPadが出てからは、毎日と言っていいほど、いろいろな会社からコンテンツをiPadに配信しないか、という連絡があります。
たった一つの機械がこれほどの影響を及ぼすのですから、本当に驚きです。
アメリカの会社の独創性は、IT関連に限らないようです。出版業界も、特に専門書の出版社は、自社出版物を売ることでかなり独走しています。自社出版物の翻訳権を外国の出版社に売ることに一生懸命です。各出版社には、翻訳権を売るための係がいますし、大手出版社になると、かなりの人が翻訳権の販売にかかわっています。しかし、買うことは考えていないようです。漫画などは例外でしょうが、翻訳権を買うということは論外のことのようです。毎年、秋に、フランクフルトでブックフェアがあるのですが、アメリカの出版社のブースでは、翻訳権を売るスタッフが沢山いて、他社の出版社の係と顔を合わせると、How much did you sell? と言うような会話ばかりです。アメリカの出版社は、ブースを魅力的にレイアウトし、他国の出版社の人たちがアメリカの出版社のブースに来るのを待っています。自分たちが他国の出版社のブースに出かけていくことは、ほとんどないようです。これからみても、アメリカの企業は、他国のものを取り入れると言うよりも自分たちのものを他国に売っていく、という姿勢がつよいように思います。
イギリスの出版社は、同じ英語圏でも、このような特徴はないようです。イギリスは、自分からものを作らず植民地からものをもってきたという歴史もあるのでしょうか。
さて、こうして翻訳権を買う側が、日本と言うことになります。翻訳書が多く出版されると、多くのカタカナ言葉が使われます。私はサッカーのことは、ほとんど知らないのですが、アウェーで行われる試合、というのを聞いて、アウェーってどこかの地名かと思いました。どうも英語のgo away(あっちへ行け)のawayのことのようです。医療や福祉の分野でも英語をカタカナにした文字が大変多くあります。ルー大柴も負けてしまうように、カタカナだらけの文章も目にします。「ここのランチは、超リーズナブルなので、リピーターが多いんです」なんて聞くと、これ、日本語って思ってしまいます。でも、こうカタカナが多いと、文章が軽くなります。あまり意味を持たないと言うか、感激しないと言うか。「今日の仕事は、成功とは言えない」と言うのを、今日のワークは、サクセスフルでなかった、と言うと、言葉が重い意味を持たない感じで、落ち込まないで済みそうです。言葉が心に強い意味づけを与えないと言えるかもしれません。
それにしても、このカタカナの多さは、編集者には困りものです。困る割に、編集者がそのことで落ち込むことはなさそうです。きっと、カタカナ言葉が記号のような印象だからなのでしょうか。記号は記号、心がそれに囚われないと言うことなのでしょう。
精神医学や精神療法の分野でも、とてもカタカナが多くなります。私どもでは、何とか日本語にできないか、苦心しています。バーンズ先生の本の中に「メリット・デメリット」という言葉が出てきます。日本語では、損が先で得が後で損得、得損とはあまり言いません。そうすると、表の左と右を変えなければならなくなります。ケアーとかヘルプ、パートナー、セッション、エンゲイジメント、ニーズ、などもなかなか日本語にしづらい言葉です。最近はやりのマインドフルも、元はと言えば東洋の言葉がアメリカに伝わったものですが、「気づき」という日本語が当てはまるのかどうか。それこそ、iPhoneのアプリ、これに日本語を当てはめるとすると、何という言葉になるのでしょうか。

配信停止希望