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星和書店

紀伊国屋書店新宿本店5F人文書・心理学売場にて「輝く!星和書店フェア」開催中です。
輝く!星和書店フェア 【第1弾】 季刊こころのりんしょう a・la・carteバックナンバー特集 第1弾は「こころのりんしょうアラカルトバックナンバー特集」、ぜひお越し下さい!

今月の新刊 next

アディクションとしての自傷

アディクションとしての自傷

「故意に自分の健康を害する」行動の精神病理

松本俊彦 著
四六判 上製 340頁  ISBN978-4-7911-0758-2〔2011〕
定価 2,600円(本体2,730円)

自傷は、苛酷な状況を生き延びるための行動であるが、皮肉にも、繰り返されるたびに少しずつ死をたぐり寄せてしまう。著者は、自傷に関する豊富な臨床経験と研究知見にもとづいて、従来、演技的・操作的行動とされてきた自傷概念を否定し、「アディクションとしての自傷」という新しい作業仮説を提唱し、自傷に対して積極的に介入することの重要性を主張してきた。本書は、多くの援助者に自傷と向き合う勇気を与えてくれるであろう。

短期精神療法の理論と実際

短期精神療法の理論と実際

臨床にすぐに役立つ6つの短期療法の真髄を学ぶ

Mantosh J. Dewan, Brett N. Steenbarger, Roger P. Greenberg 編著
鹿島晴雄、白波瀬丈一郎 監訳
藤澤大介、嶋田博之 訳
A5判 並製 416頁  ISBN978-4-7911-0757-5〔2011〕
定価 3,675円(本体3,500円)

短期精神療法の重要な概念を理解し、実践に必要な技法を学ぶ1冊。
短期療法の「短期」のポイントは、期間の短さではなく、「目標を明確化する」ことにある。主要な6短期療法(認知療法、行動療法、解決志向療法、対人関係療法、期間限定力動的精神療法、カップルセラピー)の概要と適応を症例とともに解説し、さらに各精神療法に共通する因子や能力などについても考察する。極めて実践的な内容にしぼられ、明日からの臨床にすぐに活かせる。精神療法を実践する臨床家にとって必読の書であり、自らは実践しない臨床家にとっても極めて役立つ書である。

  雑誌の最新号 next
精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第26巻1号

特集: 職場における「うつ」―臨床現場における留意点― I

うつ病概念の拡大や景気の低迷により、職場のうつ病が増え続けている。復職支援だけに目を向けるのではなく、簡単には職場に戻れない、あるいは職を失っている「本当のうつ」が数多くいる。本特集では、発症予防(一次予防)、早期発見、早期対応(二次予防)、治療と復帰の支援(三次予防)の全域に光を当てる。臨床現場あるいは職場の支援現場でどのような困難が生じているか、その詳細を問題点を含めてダイナミックに把握した精神科医必読の特集。

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第14巻2号

特集:添付文書に警告される向精神薬の副作用

薬剤には様々な効能・効果がある半面、副作用や有害事象が発現することもある。本特集では、向精神薬の添付文書に警告されている重篤な副作用・有害事象として、薬疹・睡眠薬による夜間異常行動・糖尿病・無顆粒球症・抗うつ薬による自殺のリスク増加・抗精神病薬による遅発性錐体外路症状について取り上げた。
ISBN:978-4-7911-5160-8

精神科臨床サービス
定価 2,310
季刊 精神科臨床サービス 第11巻1号

特集:アウトリーチで変わる精神科臨床サービス

診察室や相談窓口に「来てもらうサービス」から,支援を必要としているところへ「出向くサービス」へ――。「必要としている人ほどサービスが届かない」というわが国の精神保健医療福祉のあり方を転換させる方法論として,今,アウトリーチ型の支援が切望されている。本特集では理想論に陥ることなく,さまざまな現場で実現可能なあるべきアウトリーチの姿を浮き彫りにする。
ISBN:978-4-7911-7141-5

治療の聲
定価 2,940
年一回刊 治療の聲 第11巻1号

特集:サリヴァンの未来

わが国の精神病理学に多大な影響を与えたサリヴァン。しかし中井久夫氏らによる訳業がなければこの影響も考えられない。本特集では、中井氏らによって紹介されてきた日本におけるサリヴァン像を見直し検討する。新進気鋭の若手精神科医らによるサリヴァンの著作の解説、中井氏がサリヴァンの仕事を振り返りながら大いに語る座談会、エッセイ集「サリヴァンと私」、ユニークな視点からサリヴァンの仕事を捉えなおす「サリヴァン論考」の4部構成で、現代に蘇る新たなサリヴァン像を提示する。中井久夫氏の未発表論文「サリヴァンの『セルフ』概念について」を収載。
ISBN:978-4-7911-7715-8

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こころのマガジン
臨床心理士 あや先生のコラム 
Vol.3 チームまさか企画
「生まれた意味ってなんだろう?〜生まれる・笑う・亡くす・許す〜」

 チームまさか企画 「生まれた意味ってなんだろう?〜生まれる・笑う・亡くす・許す〜」
 ……というタイトルのイベントに、母と行って来ました。一緒にこのイベントに参加できたってなんて幸せなことなんだろう……と泣けてしまうようなイベントでした。

 上記のテーマに沿って、自然分娩を推奨する吉村医院の元婦長である岡野眞規代先生の講演、元吉本興業の芸人さんで今は路上詩人&映画監督のてんつくマンさんのお話、母への感謝・命の不思議を歌ってくれたかわいい双子デュオの〈Hi-Fu〉の演奏、胎内記憶の研究をしている産科医の池川明先生の講演、そしてこの企画をしてくれたチーム「まさか」会長の名前詩人山本英利さんのお話、フィナーレは一期一会のライブを続ける関西の人気バンド〈おかん〉の直球ストレートの演奏……が4時間にわたって行われました。

 それも、入場料は495円。え? お医者さんとか元吉本の芸人さんとか呼んでこの価格?と驚きました。「+感動募金制(感動しただけお志を)」というシステムだったのです。

 ボランティアスタッフは当日参加した方々だけで140人、赤字スタートで始めることによってみんなが本気で取り組めて、本気で幸せになれるから、という会長山本さんのもとにたくさんの人が賛同して集まり、実現したイベントだったようです。  さて、実際どんなお話が聞けたのか、いくつか紹介したいと思います。

 まずスタートは、吉村医院の元婦長さん、岡野眞規代さんの「生まれる」をテーマにした講演でした。吉村医院の様子は、河瀬直美さんが撮った「玄牝(げんぴん)」という映画がこれから公開されるので今まで以上に有名になるかもしれません。この医院は敷地内に茅葺き屋根の古民家があることで有名です。妊婦さんたちは、希望者だけですが、そこで薪割りなど昔ながらの家事をしながら出産に向けて体作りをしていきます。出産も完全に自然分娩です。岡野さんによると、5年間で危険なことは一回もなかったそうです。でも吉村先生は、出産は死ぬ可能性もある行為なんだということも前もって説明するそうです。その上で、ここのやり方に賛同し、ここで自然に産みたいという方々が集まっています。

 そのような医院なので、他の病院では受け容れてもらえなかったケースもありました。無脳児がお腹にいるケースです。重症の奇形なので中絶を勧めます、とどの病院でも言われたそうです。それでもこの方は、たとえ少ししか生きられなくても生みたいと、吉村医院で出産しました。その赤ちゃんは自分で呼吸ができないので、12時間この世にいて還って行ったそうです。出来事だけを聞くと悲しいことのような気がしますが、その脳のない赤ちゃんを胸に抱いた出産直後のお母さんはとても穏やかな幸せそうな顔をされていました。そのスライドを見て、命をお腹に預かって、産む、ということを通してお母さんと赤ちゃんの間でなされる交流を思うと、宇宙のような広大な何かを感じました。

 その他、岡野さんのお話の中で印象に残ったことは、吉村先生の言葉だそうですが「検査結果などのデータは表面的なこと、見えない生命力が大切なんだ」、「動物とは動く物と書く、安静にするんじゃなくて、どんどん動くことで生命力が高まる」などです。私たちが本来持っていた体力や生命力が、現代的な生活の中で弱ってしまっているんだな、鍛えればそんなに変わるんだな、と驚きました。

 講演の順番とは違いますが、「亡くす」をテーマにした池川明先生のお話を先に紹介します。先に書いた無脳児の赤ちゃんは、多くの方が中絶を選ぶ中、そのお母さんなら産んでくれると知っていてやってきたのではないか、そんな気がする、と岡野さんはおっしゃっていたのですが、池川先生のお話の中でも、赤ちゃんはお母さんを選んで生まれてくるらしいという、たくさんの子どもにアンケート調査した結果が紹介されました。

 2〜4歳の子どもの30%が、胎内にいた時のこと、あるいはお腹に宿る前に雲の上のような所にいた時のこと、を覚えているそうです。その内容について『ママのおなかをえらんだわけは』など多数の著作で紹介されています。 この日に聞いたことの中で印象的だったのは……
・学ぶこと、人の役に立つこと、この2つを人生の目的としてみんな生まれてくる
・家族を幸せにするため、気づきを持ってもらうためにその親を選ぶ
ということです。 そんな立派な決意でみんな生まれて来たはずなのに、すっかり忘れてしまっています。そして、おもしろかったのが、お母さん選びの人気ランキングの話です。

一番人気は「やさしそうなお母さん」。これは誰もが納得します。ただ池川先生によるとやさし「そう」という所がポイントで、「私まちがえちゃった!お母さんやさしそうだったから選んだのに、そんなに怒るなら還っちゃうからね!」と泣いた小4の女の子もいたとか(笑)。

 そして驚いたのが二番人気で、なんと「悲しそうな不幸そうなお母さん」だそうです。自分が行ってお母さんを幸せにしてあげると意気込んで、辛そうなお母さんを選ぶ魂がたくさんいるとか。でもお腹に宿ったとたんに、お腹の外で繰り広げられるケンカや虐待の音を聞いて後悔し、自分には荷が重すぎると必死に還ろうとする子もいるそうです。なんと自分で臍の緒を握って血流を弱めたりしたケースもあったそうです。 お腹の中からどのくらい外の様子がわかるんだろう?という疑問に対して、福岡の産科医が録音したという音声を聴かせてもらいました。

 子宮口がなかなか開かない方にバルーンを入れますが、その際にバルーンの中に音声マイクを仕込み、外からの声が子宮の中でどのくらいの大きさに聞こえるか実験したのだそうです。すると、お父さんの「早く出てきてください。お願いします」という声が、はっきり録音されていました。そんなに大きな声ではなく、普通に呼びかける感じでしたが、それでも充分に聞こえました。ちなみにお母さんの声は、かすかなハミングでもしっかり伝わっていました。こんなに聞こえるんじゃ、お腹の外のこと全部わかっちゃうな、とびっくりしました。 ところでこの世に生まれるということは、旅に出るような感覚だそうで、特に刺激のない平和なあの世から、非日常的なハラハラドキドキワクワクを求めてこの世にやってくるそうです。だから仲のいい平和な夫婦のもとには、なかなか子どもが生まれないこともあるとか。それでは今いるあの世? 天国? と大差ないからつまんない、ということらしいのですが……。

 また魂は学ぶために生まれてくるという点で上昇志向があるらしく、私たちが受験校を選ぶときにちょっと難しいかな? と思うチャレンジ校も受験して、受かったらすごい! と喜ぶような感覚で、少しチャレンジ要素のある人生を予定して生まれてくるそうです。そして、学校生活が始まってから周りが優秀すぎてついて行くのが大変だということに気づくように、生まれて育つうちに「なんでこんな大変な目に遭わなきゃいけないんだろう?」という展開になる……。

 いずれにしても、いろんな経験ができる波乱万丈な人生を送った魂こそ、あの世に還って行く時は大満足だそうです。 ところで、少し話が変わりますが、流産と中絶は似ているというお話がありました。アメリカの鍼灸師の方によると、望まない妊娠をした方が、自然の中で本気で瞑想すると100%自然に流産するそうです。流産も、中絶も、途中であの世に還るという点では一緒で、大切なのは還り方ではなく、魂がちゃんとあの世に辿り着くかどうかだそうです。そして流産や中絶によってお母さんが自分を責める必要は全くなく、それも見越して宿った魂がほとんどだそうです。『ママさようなら、ありがとう』という本に、流産、中絶、そして死産のケースがたくさん載っています。この本を読むと、そのような経験をされた方々が救われるだろうなと思いました。 池川先生は「怪しげな話ですからね、信じなくてもいいんですよ」と笑いながらおっしゃっていましたが、1000人以上の子どもたちが同じような内容を語っているのも事実なわけで……とてもとても興味深かったです。

 てんつくマンさんの講演は以前に聞いたことがありましたが、この日のお話もとっても面白かったです。さすが元吉本芸人、話し方がジェスチャーなど交えて絶妙で、YouTubeでもいくつか見ることができるので、ぜひそちらでライブの面白さを実感していただければと思います。こうして書くと半分くらいしか伝わらないかもしれませんが、この日は主に大変な時はそれをネタにするなど、どれだけ自分を立て直す言葉や方法を知っているかが大事という内容でした。

 てんつくマンさんは、映画を作ろうと吉本興業を辞めたものの、資金不足で困っていたそうです。その資金集めの途中で、ものすごくいろんなことが起きるのですが、その中の1つを紹介します。

 ある時から「あなたを見てインスピレーションで詩を書きます」と路上詩人として活動を始め、人気が出て来たので全国のデパートで展示会をしながら資金集めをしようということになったそうです。お金がないので自転車で全国を回ったそうですが、坂道や悪天候など想像以上につらいので、スタッフみんなで合言葉を決めたそうです。それは「よくあること よくあること」。なにか大変なことが起こったら「よくあること よくあること」と関西弁のイントネーションで言うと、たしかに少し気が楽になります。そのようにして目標額の6000万円に対し、2000万円集まったところで、なんと事務所が火事で焼けてしまったそうです。黒焦げになったパソコンを前にして呆然としつつ、てんつくマンさんが「よくあること よくあること」とつぶやくと、「よくあることあるかぁ!」とすぐに突っ込まれたそうですが……。それでもその言葉でみんな笑いだし、黒焦げの事務所の前で記念写真を撮ったということでした。ちなみにこの言葉じゃ楽にならない時は「修行 修行」、それでもつらい時は「幻 幻」とつぶやくそうです。そういえば以前の講演会では、ピッチピッチ、チャップチャップ、ランランラン♪という歌になぞらえて、「ピンチピンチ、チャンスチャンス、ランランラン♪」と歌うという話も教えてくれました。

 また、目の前の出来事に囚われない方がいい、「それで? 自分はどうしたいの? そこに向かうために自分は何ができるの?」と考えると、難しそうに見える状況を越えていけるとも話してくれました。それだけ聞くと、それができれば苦労しないけどさーとぼやきたくもなってしまいますが、てんつくマンさんは、二日連続交通事故に遭うなど「ありえへんやろ」という経験をいくつもされ、起きている出来事にはすべて意味があると実感したうえで話してくれるので、とても説得力があります。その日に買って帰った『あんたの神様』という著書を読んで、より理解が深まりました。

(尾方 文)
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