省略言葉は、コミュニケーションも省略
知らない人には暗号のような言葉が流行しています。KYといわれて、分かりますか。「空気読めない」ということだそうです。カタカナ言葉ですが、セクシャル・ハラスメントがセクハラ、モラル・ハラスメントがモラハラ、と新聞にも堂々と使われています。先日、モラハラでの裁判の判決がでて、テレビなどでも報道されましたが、かなりひどい罵詈雑言を被害者は浴びせられていたそうです。
先日、臨床心理の先生がたの集まりがあり、そこでも話題になりました。次のような例もモラハラになるようです。
ある臨床心理士「明日から、4日間、お休みして、旅行に行ってきます。」
その先輩「うらやましいね。こちらは、忙しくて休みなんかとれないね」
このような対応は、よく見られることで、心理の専門家でも、ついつい口にだしてしまうかもしれない、と皆さんうなっていました。
何を言ってもモラハラになるので、言葉を発しないようにしようとか、モラハラのリストでも作って覚えようとか、というのは、無理があるように思われます。
その人のコミュニケーションスタイルというか、相手に対する気持ちの持ち方が、相手の気持ちを害することになるようです。嫌味を言うのが得意技、という人もたくさんいます。テレビでも相手をさんざん傷つけて人気を博しているタレントも多々います。視聴者は、自分が傷つくわけではないので、この場面をみて拍手喝さいしています。人が傷つくのを見るのは、面白いと感じる人が多いのでしょうか。相手の頭をやたらたたくタレントも、とても人気があるようです。
他人を嫌な気持ちにさせる得意技を持つ人は、気持ちのベクトルが自分のみに向いているのでしょうか。モラハラ的な言動をする人たちを変化させるというのは、かなり難しいかもしれません。被害者というか苦しむ側がそれに対処する、というのが現実的でしょうか。精神療法やカウンセリングも効果的だと思いますが、現在の日本の医療状況では、絶対的に精神科の医師や心理療法家の数が不足しています。治療機関を訪れても、十分な時間を心の悩みの相談に割いてもらう事は、なかなか難しいと思われます。そこで、当社の本の存在意義が出てきます。
いやな気分が生じているときに、なぜ、とか、あれこれ悪者探しをしても、堂々巡りをしているようになって、悩みは消えてくれないようです。数学のように答えがあるわけではないので、悩みを頭で考えずに、悩みを風呂敷にでも包んで、箪笥にでもしまってしまうか、ゴミ箱に捨ててしまったらどうでしょうか。心の悩みの上手な対処法が、増井先生にお書きいただいた「こころの整理学」に分かりやすく書かれています。あれこれ悩む前に、一読をお勧めします。読もうか読むまいか悩む前に、まず一読を。何しろ、悩まないための本なのですから。
|