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■特集 鑑別しにくい精神症状を診分ける
●覚せい剤精神病と統合失調症との比較
船田 大輔 松本 俊彦
日本ではmethamphetamine(以下MAP)による覚せい剤精神病が精神科において戦後数多く報告された。第三次乱用期に覚せい剤の販売は社会的な変化とともに変化し,インターネットを通じて人々が覚せい剤を手にする機会が増え,より身近となった。反社会的でない「一般の」人々も覚せい剤を使用することになり,その中で一部の人々が幻覚と妄想の症状を呈し,さらには慢性的な症状に繋がる。覚せい剤精神病を発症した人々への対応として,これまでの司法的な側面が重視されてきた対応から,今後は治療を重視した対応へと世の中が変化しており,筆者は統合失調症との鑑別点を整理しつつ,適切な医療・福祉サービスに繋げることへの重要性を指摘した。
Key words:methamphetamine psychosis, schizophrenia, substance use disorder, community support, forensic psychiatry
●昏迷と非けいれん性てんかん発作重積状態“non-convulsive status epilepticus”
兼本 浩祐
昏迷の鑑別診断の1 つとして非けいれん性てんかん発作重積状態“non-convulsive status epilepticus” を解説した。最新のてんかん重積状態の分類において,「非けいれん性」という表現が改められ,「運動症状が前景に出ない」となったことの意味を解説し,さらに,運動症状が前景に出ないてんかん発作重積においては,新分類では全般性と焦点性に大きく種類が分割されているものの,特に精神科の実臨床では,脳波上は棘徐波に対応するが臨床的には二次性全般化の可能性が高く,しばしばそれまでてんかん発作の既往歴のない人に初発する特異な昏迷状態が最も重要性が高いことを指摘し,これとその他の「運動症状が前景に出ない」てんかん発作重積を比較した。こうした昏迷状態を従来診断の“ictal stupor” あるいは“spike-wave stupor” と呼びならわして別途区別しておくことは,臨床上の有用性が高いことをさらに指摘した。“Ictal stupor” を誘発する主だった薬剤にも言及した。
Key words:NCSE(non-convulsive status epilepticus), ictal stupor, antidepressant, convulsion
●統合失調症と自閉スペクトラム症
江間 彩子 本田 秀夫
「自閉」は,統合失調症の基本症状の1 つとして捉えられていたが今では自閉スペクトラム症として独立した概念であると考えられている。非典型的な統合失調症の経過の中には,一見自閉スペクトラム症との鑑別に迷う場合がある。なぜなら,自閉スペクトラム症の場合には思春期頃に「視線が気になる」「目が合うと馬鹿にされているように感じる」など統合失調症の注察妄想と思われるような症状を呈する症例が存在するからだ。統合失調症と自閉スペクトラム症との鑑別点としては,幼少期からの症状の連続性の有無が最も大切なポイントとなる。思春期,青年期になって受診した症例で統合失調症か自閉スペクトラム症か判断に迷う場合には,幼少期の病歴を保護者からしっかり聴取することが大切である。
Key words:schizophrenia, autism spectrum disorder, delusion of persecution, delusion of observation
●統合失調症初期の神経症症状と神経症性障害
広沢 正孝
統合失調症の初期では,幻覚・妄想などの,いわゆる精神病性の症状が不明瞭なことが多く,とりわけ神経症性障害との鑑別に迷うことが少なくない。臨床場面では,この時期の神経症症状の中に統合失調症の予兆を見抜くことが要求される。そこで本稿では,統合失調症と神経症の病態を,それぞれ「自己の成立と維持」をめぐる障害とした上で,統合失調症初期の神経症症状の特徴を述べた。すなわち自己の成立(統合)をめぐるエネルギーポテンシャルが低下し始めている初期の統合失調症では,とくに特定の神経症症状がみられにくいこと,しばしば汎不安とともにいくつかの症状が浮動的にみられること,性急さが目につきやすいこと,またいずれの神経症症状においても,その内容が作為性を帯びたものに変わりやすいことが特徴と言えた。
Key words:schizophrenia neurosis, early stage, onset, anxiety
●解離症と間違いやすい疾患,症状
先崎 章 伊藤ますみ
被虐待の過去,PTSD の発症,過剰同調性,離人症状,転換性障害の合併は,解離症であろうとの予断を生じさせる。しかし意識減損や意識消失が明らかな場合には,失神,てんかん,一過性脳虚血発作,一過性全健忘,詐病を鑑別することが必要である。記憶について解離症では,検査上,記銘力障害は目立たず,虫食い状に記憶が抜け,想起不能期間が比較的明瞭に同定できる。一方,脳器質性障害(高次脳機能障害)では,前向性健忘があり,想起不能期間は連続しているが,想起不能期間の始まりが不明瞭であることが多い。詐病では記憶検査各下位項目に不自然なばらつきがあり,難易度に関係なく誤答と正解とが混じる傾向がみられる。全般性注意について解離症では,検査上ほぼ正常で同時処理能力も保たれている。一方,脳器質性障害では複雑な注意検査ほど低下する。また易疲労性により成績が次第に低下してくる。詐病では単純反応時間のばらつきが最初から大きく,難易度に関係なく成績が低下する傾向がある。
Key words:dissociative disorder, psychogenic non-epileptic seizure(PNES), retrograde amnesia, factitious disorder, diagnosis
●転換症状と神経症状を診分ける
角田 智哉 吉野 相英
さまざまな症状を呈しうる転換症状の診断には神経学的に矛盾する所見を証拠として積み上げていくことになる。とはいえ,必ずしも明確な結果が得られないこともあり,鑑別に苦慮することも少なくない。また,ヒステリーという多少とも否定的なニュアンスを帯びた術語が永らく用いられてきた歴史もあり,治療の優先度が下げられてしまう傾向があるが,患者の苦悩は大きい。本稿ではヒステリー概念の変遷,転換症状の病因,疫学,診断,治療,予後について述べる。また,機能的神経画像によって得られた知見についても触れる。転換症状と神経症状を診分けるには,適切な診察態度と丁寧な問診に本稿で取り上げた神経診察を組み合わせる必要があり,器質疾患の鑑別のためにいたずらに検査を繰り返さないことも重要である。
Key words:conversion, hysteria, neurological symptoms
●思春期の行動の問題と発達障害
村上 伸治 北村 直也 和迩 健太 高橋 優 鷲田 健二 澤原 光彦 宮崎 哲治 末光 俊介 石原 武士 青木 省三
発達障害が疑われる思春期の行動の問題の例としては以下がある。①患者なりの理屈が明確でなく,状況に応じてコロコロ変わる強迫症状(勝手強迫),②治療による積み上げが生じず,不安に反応して症状が振り出しに戻る場合,③主客の逆転(自分と他者,殺意と希死念慮などが入れ替わる),④細部に囚われて全体が見えず,自己を経時的に捉えられず「今の自分」についてしか述べられない,⑤他人の気持ちだけでなく,自分の気持ちも察知しにくく,人から尋ねられて初めてその時の自分の気持ちを考えたり,他者の気持ちを推察するような手法で自分の気持ちを推察して述べたりする,などが挙げられる。だがこれらの行動の特徴で発達障害の白黒をつける「全か無か」発想には無理があり,グレーゾーンを中心に状況に反応して白黒間を移動する例が少なくないので,患者の発達障害特性を細やかに把握する手段として上記特徴を利用したい。
Key words:behavioral problem, adolescent, developmental disorder, gray zone
●ひきこもりと病い
古橋 忠晃
「ひきこもり」は「疾患」なのかあるいは「症状」なのか,という問いは正しい問いではなく,重要なのは,どのような臨床場面で,あるいは臨床場面を離れたところで,どちらのニュアンスで語られるのかということであると思われる。さらに,「ひきこもり」は「疾患(disease)」ではなくても「病い(illness)」であると言える臨床場面が存在するのはたしかである。そして,「ひきこもり」を社会現象のまとまりとしてある種の人々の集団を示す広義の症候群として考えるのも妥当であり,その際に重要なのは,それぞれの症候群がいかなる点で「ひきこもり」に類似しているのかという問いであると考えられた。
Key words:Hikikomori, social withdrawal, symptom, disease, sickness, illness
●うつ病と神経症圏における身体症状の鑑別─生気的悲哀感の再評価─
田中 容子 大前 晋
うつ病と神経症圏における身体症状の鑑別について考察した。古代において,メランコリーとヒポコンドリーはいずれも狂気の形態をあらわすものであり,これらは密接な関係にあるどころか,交換可能な述語として扱われることすらあった。しかし,現代の精神医学において,治療方針の決定および予後予測のために,うつ病の身体症状と神経症圏あるいは心気症の身体症状との鑑別は必須である。Schneider は,生気的悲哀感vitaleTraurigkeit を,うつ病をあらわす最も重要な指標のひとつとして,すなわちうつ病における精神療法の限界と電気けいれん療法や三環系抗うつ薬などの身体的治療の適応を示唆する指標として理論づけた。近年,注目されることはきわめて少ないが,生気的悲哀感が内因性うつ病と神経症を鑑別する際に,予後予測と,治療のための指標としてもっている臨床的価値はいまでも有用である。
Key words:endogenous depression, neurotic depression, vital depression, vitale Traurigkeit, hypochondria
●認知症とうつ病
水上 勝義
アルツハイマー病(AD)やレビー小体型認知症(DLB)のうつ状態の特徴を概観し,老年期うつ病との鑑別ポイントについて述べた。AD のうつ状態は抑制症状が比較的目立ち身体症状が少ない。DLB のうつ状態は,心気,不安,焦燥,妄想などがしばしば併存し,老年期うつ病の特徴に類似している。AD やDLB の前駆状態としてうつ状態がみられることがある。とくにDLB は半数がうつ病と初期診断されている。DLB に移行するうつ状態は,メランコリー型と精神病性の特徴を併せ持つことが多い。うつ状態を呈するADとうつ病の鑑別には進行性の近時記憶障害が重要であり,一方DLB の診断には,自律神経障害,嗅覚障害,パーキンソン症状などの身体症状の存在や,レム睡眠行動障害,薬剤過敏性の既往などが重要である。またAD とうつ病の鑑別にはMRI やSPECT が,DLBとうつ病との鑑別にはSPECT やMIBG などの検査所見が有用である。
Key words:Alzheimer’s disease, dementia with Lewy bodies, depression
●うつ病を横断面から鑑別できるか─単極性か双極性か─
仙波 純一
単極性うつ病(unipolar depression:UD)と双極性うつ病(bipolar depression:BD)を,目の前の症状の特徴だけをもとに診断することは可能であろうか。現在うつ病の症状を示している患者を,過去の病歴からUD とBD に分類して症状の特徴を比較するという方法や,一定期間後に双極性障害と診断が変更になった群とUD にとどまった群とに分け,さかのぼって症状の特徴を比較するという方法がある。これらの方法によった多くの研究からは,おおむね混合性の特徴,精神病症状,双極性障害の家族歴などは双極性障害に関連していると予想される。しかし,もっとも有力な鑑別要因は,過去のエピソード数や早期発症という縦断的な所見であった。したがって,現在の症状だけからはUD とBDの鑑別は現実にはむずかしく,診断のためには十分な既往歴の聴取が必要である。
Key words:bipolar depression, unipolar depression, differential diagnosis
●大人のADHD と双極性障害,神経症性障害
齊藤 卓弥
世界的に成人期のADHD の有病率は3.4% と報告され,DSM-5では新たに大人のADHD の診断も定義されるようになった。従来適切な診断を受ける機会がなかった成人期のADHD の診断に関して指針が明確にされたことは非常に有意義なことと考えられる。一方で,大人のADHD には,双極性障害,うつ病など気分障害,神経症性障害,アルコール・薬物関連障害などが高率で併存することが報告され,またこれら併存障害は大人のADHD の鑑別すべき疾患でもあり,併存障害と鑑別すべき疾患が類似していることは適切で正確な診断をしばしば困難にする。本稿では,ADHD の適切な診断と鑑別すべき疾患の原則について述べ,さらにしばしば鑑別が困難な双極性障害と神経症性障害の鑑別について述べる。
Key words:adult ADHD, differential diagnosis, bipolar disorder, anxiety disorders
●興奮の鑑別─脳炎,緊張型統合失調症,躁病,神経症性障害─
船山 道隆
興奮時の鑑別を述べた。鑑別の際に精神科医が最も重要視しなくてはならないのは,身体疾患や精神作用物質による興奮の鑑別である。見逃しやすい身体疾患の代表疾患は脳炎であり,特に抗NMDA 受容体脳炎の例が多い。精神疾患では,緊張型統合失調症,躁病,さらに解離性障害を中心とする神経性障害が鑑別に挙がることが多い。緊張型統合失調症の興奮は突発的で予測がつかず,話の内容も意味がわかりにくい。緊張病性昏迷,筋強剛,カタレプシー,一点凝視,しかめ面などの他の緊張病症候群を伴いやすい。躁病の興奮時は不眠,易怒性,行為心迫,人への干渉,逸脱行為,注意の転導性亢進などを伴う。談話の内容は多弁で誇大的であり,ひとつひとつは理解可能だが,連想が次々と進む観念奔逸のために話がまとまらない。解離性障害に伴う興奮は,明確な心因の直後に出現し,長続きしない。解離性健忘,遁走,トランス状態,交代人格,退行など解離性障害の症状を伴う。
Key words:excitement, encephalitis, catatonic schizophrenia, mania, neurotic disorders
●境界性パーソナリティ障害と双極Ⅱ型障害との鑑別
日野 哲耶 大前 晋
近年における境界性パーソナリティ障害とは著しく偏ったパーソナリティ構造を背景とした体験や行動の持続的様式における異常であり,旧来のいわゆる境界例とは意味するところが変わっている。双極性障害は1850年代の循環性精神病と二重型精神病を先駆けとする病型であるが,双極スペクトラム概念などに見られるように,その裾野は広がる一方であり,やがては境界性パーソナリティ障害すべてを呑みこんでしまおうとする勢いである。境界性パーソナリティ障害と双極Ⅱ型障害とは本来独立した別個の障害であるが,衝動制御障害や感情不安定性などのいくつかのオーバーラップする特徴によって,その鑑別が困難となるケースがしばしば認められる。境界性パーソナリティ障害と双極Ⅱ型障害との鑑別が難しいケースでは,横断的な状態像に加えて,生育歴・家族歴・現病歴・気分変動の性質を踏まえ,縦断的経過像からの情報も吟味検討することで適切な診断につなげたい。
Key words:borderline personality disorder, bipolarⅡ disorder, bipolar disorder, bipolar spectrum, Akiskal
●(臨床経験)軽い意識混濁を診分ける─100 countdown と注意力障害─
田宗 秀隆 安来 大輔 成島 健二
軽い意識混濁を診分けることは,症候を安易に内因・心因に帰着させず,背景に存在する器質因・中毒の存在を考慮する上で重要であり,また,せん妄の早期発見・早期治療の観点からもニーズが大きい。我々は,100から70まで1 ずつ数え下げる方法“100 countdown”を以前より臨床で用いており,代表的なケースを2 例提示しその有用性について考察する。症例1 は双極性障害に意識混濁が重畳したケースで,症例2 は認知症にせん妄が重畳したケースである。100 countdown は既存の指標よりも鋭敏かつ簡便な注意力障害の指標であり,脳波や改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)と異なり,縦断面での検討を必要とせず,横断面での評価が可能と考えられる。100 countdown は,精神医学的見立てに精通していなくても使いやすく,背景に精神疾患を有する患者や認知機能が低下した患者にも有用である可能性がある。
Key words:clouding of consciousness, attention deficit, delirium, dementia
■研究報告
●ベゲタミン過量服用の危険性について─向精神薬中毒患者に関する自験例271例の比較検討─
北元 健 上條 吉人 加藤 正樹
ベゲタミンの過量服用は,しばしば重篤な身体合併症を起こす。そこでベゲタミンの過量服用の危険性を評価するために,本研究を行った。対象は2010年4 月1 日〜2014年12月31日の期間に,筆者が経験した向精神薬中毒患271例である。これらのうち,ベゲタミン過量服用群は41例,ベゲタミン非服用群は230例だった。この2 群に対し,①搬入時の意識レベル,②身体合併症の有無・内容,③ ICU 入室期間,④入院期間を後方視的に比較検討した。ベゲタミン過量服用群は非服用群と比べて,搬入時の意識レベルが重篤で,身体合併症の発症率が有意に高かった。またICU 入室期間,入院期間はともに長い傾向にあった。ベゲタミンの過量服用は他の向精神薬の過量服用に比べて有意に身体重症度が高くなることから,医療従事者は過量服用の可能性を考えた上で,慎重に処方を行う必要があると考えた。
Key words:Vegetamin, psychotropic drug poisoning, physical complication, phenobarbitar
■臨床経験
●思春期に挿話性昏迷を突然発症した橋本脳症の一例
出渕 弦一 奥野 薫 安来 大輔 成島 健二
橋本脳症とは,意識障害や幻覚妄想,昏迷,認知症など多彩な精神症状をきたし精神科の受診となることがままある疾患である。採血や髄液検査,頭部MRI でも明らかな異常を示す頻度は低く,統合失調症や認知症と誤診されることがままある疾患の1 つとして考えられていた。今回我々は,亜昏迷で当科を初診したが,橋本脳症を疑って抗精神病薬の投与を保留にしたところ,各種検査結果が出揃うまでの間に自然軽快を始め,寛解に至り後に抗NAE 抗体陽性と判明した一例を経験したため報告する。
Key words:hashimoto’s encephalopathy, spontaneous remission, substupor
●腸管気腫症を合併した神経性食思不振症の1 例
荒木 基亮 志々田一宏 山脇 成人 馬場 麻子 馬場 広
腸管気腫症を合併した神経性食思不振症の1 例を経験したので報告する。症例は34歳女性。中学生時に神経性食思不振症を発症し,低栄養・低体重による入院を繰り返していた。低体重のためふらつきを訴え近医入院したが,腹痛を生じ腹部CT 施行したところ腸管気腫症を認め,当院救命センターへ搬送された。保存的加療にて気腫は消失し,再燃もなく退院となった。神経性食思不振症では低栄養状態による間質の弾性低下に加えて,慢性の便秘・自己誘発嘔吐などによる腸管内圧上昇により,腸管気腫症を合併しやすい可能性がある。しかしこれまでに報告されたものは我々の知る限り2 例しかない。腸管気腫症は無治療で改善する報告もある一方で,虚血や壊死が疑われる場合には緊急手術も必要となることもある。神経性食思不振症の患者において難治性の腹痛を見た場合には腹部CTを検討する必要があると考えられた。
Key words:anorexia nervosa, pneumatosis cystoides intestinalis, hyperbaric oxygen therapy
●精神病性うつ病の自殺念慮と企図
田中 恒孝 宮坂 義男
内因性うつ病に自殺が多いことは知られている。しかし幻覚や妄想を示す重度うつ病(精神病性うつ病)の自殺念慮や自殺企図に関する詳細な研究は乏しい。筆者らは自殺念慮の1 例と自殺企図の3 症例を検討し,精神病性うつ病における自殺の背景心理を微小妄想による心理的視野狭窄と病識欠如に基づく「病的な現実逃避行動」と考えた。
Key words:psychotic depression, suicidal ideation and attempt, mental state, delusion
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