●LGBT の医療と法
山下 敏雅
LGBT と医療に関して法的問題が生じる場面として,第一に,救急搬送され意思能力を喪失した場合,面会,情報開示,医療同意において同性パートナーが親族として扱われないこと,第二に,性同一性障害特例法が性別適合手術を要求しているために性別の取扱いを変更できない当事者の学校・職場において生じるトラブルや,ホルモン療法・性別適合手術に保険適用のないことによるトラブル,第三に,生殖補助医療で子をもうける場合に,FtM が父と認められた最高裁決定があるものの,その他,代理懐胎や,凍結保存した精子・卵子による人工生殖,レズビアンカップルの精子提供による出産等には立法が十分でない問題がある。本稿では上記3 点について述べているが,LGBT と法に関するテーマは多岐にわたっており,また法的テーマ自体は一般的なものであってもその背景事情としてLGBT が関連している場合も多く,この点は医療も同様であろう。
Key words:same─sex partner, visitation, medical consent, Law Concerning Special Rules Regarding Sex Status of a Person with Gender Identity Disorder, assisted reproductive technology(ART)