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こころの臨床 à·la·carte 第20巻増刊号

ほんとうに困った症例集:精神科編

2001年9月

ほんとうに困った症例集:精神科編精神科医師が出会う困難な事例。「ほんとうに困った」という経験をとおして、これらの事例は広く治療向上のための共有の財産になるだろう。このような趣旨で全国の医師より多くの症例報告が寄せられた。医師たちは困難をどのように切り抜けたのか、あるいはそれに失敗したのか。試行錯誤の治療過程を忌憚なく伝える貴重な事例集である。

編集 樋口輝彦(国立精神・神経センター国府台病院) B5判 234頁

ISBN:978-4-7911-6017-4




品切れ

序 文

1.<治療をめぐって>

・激しい緊張の後で原因不明の高熱が続いた精神分裂病の一例
山本育代、平井浩

・妄想に逃げ込んで手術の同意を頑固に拒否した一例
山本育代、中岡健太郎、平井浩

・自殺企図が続く単身の精神分裂病の一例
鈴木明

・身体合併症を有する精神障害患者 ―腎透析を必要とした症例における精神科医療の問題点―
包括的医療としてのリエゾン精神医療
小森薫、小森実穂、志水康子、他

・抗パーキンソン薬により幻覚妄想状態を呈し、無けいれん電気療法が有効であった若年性パーキンソン病の一例
伊藤耕一、金井貴夫、笠原敏彦

・「引き込まれゆく死」を防ぐことは可能か
深山良

・borderline stateに陥り自殺企図を繰り返した症例
山下達久、中村佳永子、前林尚絵、他

・うつ病性コタール症候群に対して電気けいれん療法が著効した一例
高橋淳、柏 淳、大川匡子

・終末期肝癌患者のコンサルテーション
織田裕行、木下利彦

・抗パーキンソン病薬が奏効したうつ病性仮性痴呆の一症例
藤井勉

・躁うつ病から痴呆への病像変化を呈した一例 ―その診断、治療をめぐって―
杉山通

・「治療者のとらわれ」により入院治療に行き詰まった事例
高田治

・行き詰まったら、あなたが手を放しなさい
米沢宏

・患者のなかの「掟」をほどく―体の心地よさを求めて―
深山良

・内科入院中に精神神経科に紹介され、ミュンヒハウゼン症候群と診断されたが死に至った24歳・女性例
國澤正寛、河瀬雅紀、福居顯二

・入院すること自体が目的化した虚偽性障害の一例
生田孝

2.<診断をめぐって>

・電気けいれん療法が有効であった遅発緊張病の一例
古茶大樹

・SLE精神病とステロイド精神病の鑑別―内科医との診断過程の違いをめぐって―
深山良

・境界例としての対応を迫られ診断に苦慮した 一症例
塚本壇、石川博基、中野倫仁

・思春期よりカタトニア状態が出現した自閉症の一例
田中伸一郎、渡辺慶一郎、黒木規臣、他

・長期外来療養患者のピットフォール―うつ病に重畳した多系統神経変性疾患
小森薫、小森実穂、神部佳子、他

・初めに「破瓜病」と診断された強迫性障害
鈴木明

・当初器質性の解離性同一性障害と診断したが、現在虚偽性障害の可能性を検討しつつある症例
内藤宏、尾崎紀夫

・細菌性脳炎の1成人例
福嶋隆一、白濱靖幸、千葉茂

・広範な鑑別診断を要し、暫定診断のまま診療を続けている症例
桑原達郎

・転換性障害と誤診した進行麻痺の一症例
藤井勉

・前医にてうつ病と診断されていた身体表現性障害の女性
三田のりこ、伊藤耕一、笠原敏彦

3.<薬をめぐって>

・精神科医療におけるインフォームドコンセントの問題点――非告知投与を継続中に生じた諸問題
小森薫、中西伸介、小森実穂、他

・ジストニアなどの急性副作用を繰り返す精神分裂病患者
藤原豊

・せん妄の一例―医療介入のタイミングをどう決めるか?―
西浦信博、西浦啓之

・向精神薬療法により容易に高CK血症を呈した精神遅滞の一例
垣内千尋、黒木規臣、橋本大彦、他

4.<家族をめぐって>

・精神科および産婦人科の両科を翻弄した保護者
山田康一郎、赤崎安昭、長友医継、他

・35年間も隔離状態で家族から放置されていた精神分裂病患者の一例
三澤仁、関由賀子、伊藤耕一、他

・二世帯住宅への改築を契機に発症した老夫婦の感応精神病
鷲見すみ江、秋山剛

・精神障害をもつ家族との対応に苦慮した一例
齋藤章二

・両家の不和に巻き込まれて治療が難航したケース
森本修三、鈴木茂

・目に見えない責任放棄:
「私達はどうすればいいですか? 言ってくだされば、何でも致します」という親
満岡義敬

・癒しのイニシアティヴ―PTSD治療と家族の問題―
深山良

・同胞からの暴力を受け続けた、被虐待事例―家族内力動をめぐる治療の困難さ―
栗林理人、武田哲

・被虐待児の入院治療において治療構造を揺さぶる家族への対応―法律の扱いを中心に―
木村義則

5.<処遇をめぐって>

・緊急性を要する身体合併症治療と精神科治療の双方を患者・家族とも拒否する場合の対応
西尾雅明

・他害が強く懸念される患者の、総合病院精神科での処遇について
深山良

・酩酊状態で頻回の救急受診・入退院を繰り返した男性患者への対応
佐藤茂樹

・他科との関係において治療構造が混乱し行動化を招いた一例
堀雅博

・AIDSを発症した不法就労外国人の精神身体合併症例
桑原達郎

・治療スタッフ間に内部分裂の危機をもたらした「巻き込み型」強迫の一症例
赤崎安昭、長友医継、森岡洋史、他

・ストーカー行為が問題となったアルコール依存症の一症例
芦沢健

・長期抑制の後、退院に至った摂食障害の一例
元木洋介

・初老期痴呆男性、家族指導の難しさ
古茶大樹

・どっちの処遇が困難だ?!「困った患者」と「怒鳴った看護婦」
山田秀世

6.<リスクの高いケース>

・暴力行為で隔離室を長期間使用していた症例の受け入れとその後の治療をめぐって
見野耕一

・診療中断により再発をくり返した触法精神障害者
浅井邦彦

・妄想に基づく行動化に対処をしきれなかった外来症例
中島勝秀

・精神病患者の妊娠に関する4症例―精神分裂病を中心として―
川上宏人、上村秀樹

・職場、家庭、通院先でトラブルを多発させた分裂病型障害の一例
生田孝、堀雅博

・医療と司法の谷間にあり、地域社会での対応が遅れたため息子を殺害したケース
高柳功

・行動化が遷延し治療に困難をきわめた人格障害の一例
末次麻里子、朝倉孝二、高橋彰久、他

・子供をつくることに関する夫婦間の意見対立が自殺の誘因となった境界型人格障害の症例
吉村玲児、堀広子

・生命に関わる自傷行為を繰り返すケース
森本修三、鈴木茂

・リチウム中断後に生じた全身性ジストニア
渡邉博幸、伊豫雅臣

・気分安定薬が有用ではなかった急速交代型双極性障害の一女性例
宇佐美政英、塩江邦彦、神庭重信

・最初に精神療法が著効した難治性うつ病の予後について
北西憲二

・対応が極めて困難だった神経性無食欲症の一例
杉山暢宏、碓氷章、神庭重信

7.<アフターケアをめぐって>

・入退院をくり返し、ケースマネージメントを必要とした症例
浅井邦彦

・自傷行為後のアフターケアに困った症例
大坪天平

・地域の住民の受け入れが困難な例
川室優

・再入院を繰り返してきた躁うつ病の事例
川副泰成

・父親による性的虐待などの外傷体験の後に繰り返される衝動的な自殺企図があり治療に困難であった青年期の一女性例
備瀬哲弘、小椋力
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