季刊
精神科臨床サービス 第07巻02号
2007年04月
《今回の特集:〈失敗学〉から学ぶ精神科臨床サービス》
本特集では、失敗から学ぶために治療的失敗あるいは治療的膠着状態に焦点を当てた。まず精神科臨床サービスにおける失敗学とは何かといったことを概説し、様々な治療場面で遭遇した失敗事例を挙げながら、失敗の経験から導き出した課題、失敗による損失を最小限にするための注意点、精神科臨床サービスの進歩と向上を図るために必要な工夫などについて紹介した。
ISBN:978-4-7911-7126-2
第1章 総論
- 精神科臨床における失敗の特質と意義―失敗が支える臨床サービス―
福田正人 大舘太郎 熊野大志ほか
- 失敗学から見てスーパービジョン、カンファレンスは何故必要か?
―失敗学で失敗しないために―
丸田俊彦
- 統合失調症の薬物療法と病名告知に関する失敗学
八木剛平
第2章 失敗事例から学ぶ――臨床技法別
- 失敗学から学ぶ薬物療法
犬塚敦志 今村弥生 吾妻ゆみ 他
- Fluvoxamineからparoxetineへの切り替え中に有害事象が出現したうつ病の1例
堀輝 吉村玲児 堀広子ほか
- 精神療法における「失敗」の対象関係
奥寺崇
- 失敗という精神療法過程―失敗を精神力動的に考える―
白波瀬丈一郎
- 患者の両親関係を見立て介入する
中村伸一
- 集団精神療法,集団力動と「失敗学」―治療的膠着状態と集団のマネージメント―
権成鉉
- 作業療法士が陥りやすい落とし穴
香山明美
- 失敗事例から学ぶ「SST 」
皿田洋子
- ソーシャルワーク実践における利用者からの学び
寺谷隆子
- 訪問看護の失敗
萱間真美
- リジリアンスを育むケースマネジメント
三品桂子
- 就労援助場面での失敗から学ぶ
倉知延章
第3章 失敗事例から学ぶ――プログラム別
- 精神科デイケアの経験から学ぶ
原敬造
- 「3カ月」がひとり歩きした時
内野俊郎 近間浩史
- 生活訓練施設が提供する社会復帰援助プログラム
小田潤 伊勢田堯
- 失敗から学ぶ隔離室での治療
森隆夫
- アルコール・薬物依存症治療過程における治療中断の危機および膠着状態を打破するための視点と工夫
堀達
- グループホームの実践から
田尾有樹子 那須由香 尾川優子ほか
- 君はひとりぼっちじゃない
松浦幸子
- チャレンジを成功の糧にする就労支援のコツ―IPS モデルの活用―
香田真希子
第4章 私が学んだ失敗事例
第5章当事者・家族の声
連載
- 老いゆく精神科医
第2回 存在の本質の美―ジャコメッティの場合(続)
安永浩