季刊
精神科臨床サービス 第10巻02号
2010年4月
《今月の特集:治療が生きる環境とは:精神と環境のインタラクション》
心の病をもつ人が訪れる病院や施設では、建築、室内の設備や雰囲気、職員の接遇や服装に至るまでの「環境」が、利用者の精神活動にさまざまに作用し、治療効果にも影響を及ぼしている。本特集では、精神科病棟をはじめ保護室、ストレスケア病棟、デイケア、地域生活支援施設など19の場面をとりあげ、リラックスできる空間づくり、安全のための行動制限と人権擁護との折り合い、職員の働きやすさと利用者の満足度,支援の質などについて、「環境」という切り口から検証する。
ISBN:978-4-7911-7138-5
【特集】 治療が生きる環境とは:精神と環境のインタラクション
|
|
第1章 総論:精神と環境のインタラクション
- 治療的努力の生きる建築,治療環境が持つ力:地域ケアへの展開の中での工夫
窪田 彰
- 建築構造が治療システムや運営方法や精神衛生にもたらすもの
河口 豊
- 環境が精神疾患の発症や経過にどのような影響を及ぼすか:遺伝・生物学的な視点から
古橋功一、岩田仲生
第2章 スタッフがつくりだす環境/環境としてのスタッフ
- スタッフができる環境づくりの工夫
三浦 研
- 精神科病院における「接遇」を考える
佐藤幸江
- さまざまな行動制限について
三谷梨絵子
- スタッフの服装や職場環境
河岸光子
第3章 施設のハード面がもたらすもの:環境と構造で変わる支援と治療
〈(1)入院施設〉
- 地域の精神科病院と連携した総合病院精神科としての大学病院
岸本年史
- 閉鎖病棟
佐藤るみ子
- リハビリテーション病棟
永田晶子
- ストレスケア病棟
矢崎直人
- 認知症入所・入院施設
片山成仁
- 児童・思春期病棟
田中 哲
〈(2)外来・デイケア〉
- 精神科病棟
堀 有伸
- 精神科クリニックの空間デザイン:現代都市における最適な診療環境
茅野 分、藤井千代、村上雅昭、水野雅文
- 「心」のケアに与える建物の役割:クリニック(戸建て)
神谷憲
- デイケアにおけるリワークプログラム
吉田健一、吉田麻衣子
〈(3)急性期治療施設〉
- 救急施設
五味渕隆志
- スーパー救急病棟
澤 温
- 急性期治療病棟の環境と構造について考える
大江美佐里、内野俊郎
- 保護室
三宅 薫
〈(4)地域生活を支援する事業所〉
- 制度としての精神科診療所と訪問看護
上ノ山一寛
- 障がい者支援施設の環境づくり
木津英昭
- 就労継続支援A型事業における職場環境づくりについて
西 裕子
- 地域の中の小さなパン屋:スワンベーカリーを開店して11年,パン屋での出会いの中で
小島靖子
- 相談支援事業所:旧小学校を利用した複合施設でのとりくみ
伊藤善尚
連載
- 学説と現実との隙間/〈第2回〉治ればそれでいいのか
蟻塚亮二