季刊
精神科臨床サービス 第12巻01号
2012年1月
《今月の特集:生活の視点から薬物療法をとらえなおす:薬にできること・できないこと》
薬物療法のめざましい進歩は精神科臨床サービスに大きな可能性をもたらしていますが,本特集では当事者の「生活」という視点から大胆に切り込み,薬によって実際の生活がどう変わり何が期待できるか,薬では達成が難しい治療目標は何かを明らかにします。その上で,剤型の活用や服薬教室などアドヒアランスを高める工夫,「治療抵抗性」の見極めと対策,心理社会的アプローチとの統合など,さまざまな実効ある技術を伝えます。医療者のみならず,地域生活を支える支援者にも,ぜひ読んでいただきたい薬物療法特集です。
ISBN:978-4-7911-7145-3
【特集】 生活の視点から薬物療法をとらえなおす:薬にできること・できないこと
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第1章 総論:日常生活をよりよくしていくことを目指すときに,薬物療法はどのような役割を果たすのか
- 治療構造全体の中での薬物療法の役割
西園昌久
- 薬で「治る」とはどういうことか?:脳科学への期待
小出隆義,岩本邦弘,尾崎紀夫
第2章 薬物療法で生活はどう変わる?:薬にできること・薬ができないこと
- 統合失調症:急性期
三澤史斉
- 統合失調症:リハビリテーション期
中込和幸
- 統合失調症:クロザピンに期待できることとその限界
中野英樹,中野和歌子,中村 純
- うつ病:抗うつ薬にできることとできないこと
田島 治
- 双極性障害
鷲塚伸介,加藤忠史
- 不安障害
越野好文
- 認知症における薬物の使い方
野本宗孝,小田原俊成,平安良雄
第3章 順調でない経過は薬のせい?
- 薬物療法における「治療抵抗性」をどう捉え,どう支援するか:多職種協働の視点から
西倉秀哉,岩田和彦
- 治療がうまくいかないとき,薬物療法をどうとらえ,どう突破口を開くか:医師の立場から
宮田量治
- 治療がうまくいかないとき,薬物療法をどうとらえ,どう突破口を開くか:薬剤師の立場から
齋藤百枝美
- 治療がうまくいかないとき,薬物療法をどうとらえ,どう突破口を開くか:看護師の立場から
富沢明美
- 薬物療法の効果を十分に発揮するために作業療法ができること
福島佐千恵,河埜康二郎,大西あゆみ,小林正義
- 治療がうまくいかないとき,薬物療法をどうとらえ,どう突破口を開くか:PSWの立場から
安西里実
- 治療がうまくいかないとき,薬物療法をどうとらえ,どう突破口を開くか:臨床心理士の立場から
齋藤夕季
第4章 薬でコントロールする/薬をコントロールする
- さまざまな剤型の有用性の比較
久住一郎,小山 司
- デポ剤をどう利用するか
藤井康男
- 服薬教室の実際
佐藤珠江
- 時間の限られた外来診療の中での工夫(アドヒアランス維持,目標共有の重要性)
趙岳人,岩田仲生
- 自立支援事業所でどのようなサポートができるか:エピソードをもとに服薬の自己管理の工夫を探る
八木原律子
- 住まいでの支援:薬との付き合い方
田尾有樹子
- 精神科訪問看護における「薬物療法への支援」
井上 新
第5章 薬についてのよくある疑問に答える
- 薬は診断閾値以下の症状にも効くのか?
大坪天平
- 薬は中止できるの?(抗精神病薬,抗うつ薬,抗不安薬)
櫻井 準,中川敦夫
- 妊娠・授乳中は薬をやめたほうがいい?
山中 学,貝谷久宣
- 薬で人格が変えられることはありますか?
林 直樹
- 薬についてのよくある誤解をエビデンスで解く:薬にできること・できないこと
八木剛平
- 薬は1つひとつの症状に対処するためにある?
坂元薫,宮坂亜希子
第6章 日々の暮らしと薬
- 当事者の親としての今
吉田けい子
- 当事者の自覚と医師の覚悟
大澤 悠
- 生活の中の薬の位置
宇田川健
連載
- 精神療法の中で治療者は何をするのか〈第1回〉治療者の役割と患者の役割を明確にする
成田善弘
- 精神科臨床サービスでEBP プログラム・EBP ツールキットを活用する〈第4回〉
IMR プログラムでEBP ツールキットを活用する:実践現場での実施方法,各施設での実施・普及
加藤大慈,横浜市大精神科リハビリテーション研究チーム