季刊
精神科臨床サービス 第12巻02号
2012年4月
《今月の特集:これからの地域精神保健:大震災の経験から学ぶ》
東日本大震災を契機として,わが国では実態を失いつつあった心の健康を守るサービス,すなわち精神保健(メンタルヘルス)の重要性が改めて浮き彫りになりました。この特集で詳細に報告されている岩手,宮城,福島における地域精神保健復興の取り組みを特殊な状況下のこととせず,普遍的・本来的なサービスにしていかなくてはなりません。精神障害,ひきこもり,薬物依存,子どもや高齢者,社会的弱者,職場や学校における支援など,地域と生活に根ざしたこれからの精神保健活動のあり方を,当事者・ご家族の声と専門家の実践から学びます。
ISBN:978-4-7911-7146-9
【特集】 これからの地域精神保健:大震災の経験から学ぶ
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第1章 総論:住民の心の健康を支える地域精神保健
- 地域精神保健の歴史と現状
江畑敬介
- 地域精神保健のありかた
宇田英典
- 福祉の立場から望む地域精神保健
増田一世
- 欧米の最新の地域精神保健:若者への早期支援システムから見る地域精神保健のイノベーション
山崎修道,西田淳志,安藤俊太郎,小池進介
第2章 震災の経験から明らかになった精神保健のあり方
- 宮城県・東松島市の経験から
門脇裕美子
- 福島県・相双地区の経験から
須藤康宏
- 女川町地域保健再構築に向けた取り組み
平山史子,宮川暁子,粕谷祐子,横井純子,高橋文子,佐藤由理,木村るみ子,菅原諭子
- 岩手県・釜石市の経験から
高橋大輝
第3章 当事者・家族としての経験を踏まえてわかる地域精神保健の大切さ
- 被災という経験から
志賀元子
- 家族のリカバリーに必要なもの
斎藤裕子
- 病気に罪をきせられた薬物依存者への地域での支援
倉田めば
- これからの地域精神保健のあるべき姿:兄弟姉妹の立場から
野村義子
- 地域精神保健への望み
島本禎子
第4章 地域の特色を生かした精神保健の取り組み
- 千葉県東部における精神保健の取り組み:精神科多職種アウトリーチと中核地域生活支援センターとの連携
渡邉博幸,吉野智,高野則之,色川大輔,長谷川信也,青木勉
- 3.12長野県北部地震の経験を通して,新たな地域精神保健の構築を考える
小泉典章,上島真理子
- 保健所の統廃合:精神保健活動を阻害する現状と課題
高橋貴志子
- 長崎県早市におけるACTの実践で見えてきたもの
田島光浩
第5章 生活に根差した精神保健活動
- 職域メンタルヘルス
北村文彦,横山和仁
- 学校メンタルヘルス
小池進介,大島紀人,渡辺慶一郎,笠井清登
- 高齢者のメンタルヘルス
上野秀樹
- 子どものメンタルヘルス
本田秀夫
- 社会的弱者のメンタルヘルス
向谷地宣明
- 高齢および障害を持つ矯正施設退所者への支援
中西一郎
第6章地域精神保健を発展させる取り組み
- 自殺希少地域-徳島県旧海部町に見る,援助希求を促す環境づくり
岡 檀
- 人への思いが人を支える
桜井なおみ
- ケアする人をケアする取り組み
堀越栄子
- コミュニティメンタルヘルスと生活支援:精神保健福祉の実践活動を通して
酒井昭平