季刊
精神科臨床サービス 第12巻03号
2012年7月
《今月の特集:孤独と死に向き合う:臨床における受け止め方,伝え方,支え方》
支援者は当事者の回復に寄り添う一方で,死に至るさまざまなプロセスや「無縁社会」といわれる孤立・孤独に日頃から向き合い,適切に対処できる心構えと技術を持たなければなりません。本特集では,病棟や訪問,地域生活支援などの現場で遭遇する死や孤独をどう受け止め,支えればよいかを,ご遺族や支援者の貴重な実体験から学びます。あまり語られてこなかった,しかし誰もが避けては通れない「もうひとつの精神科臨床サービス」。
ISBN:978-4-7911-7147-7
【特集】 孤独と死に向き合う:臨床における受け止め方,伝え方,支え方
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第1章 総論:支援者として「孤独と死」に向き合うために心得ておきたいこと
- 死が残された人々にもたらすもの
柏木哲夫
- 地域での孤立・孤独と死
鶴見隆彦
- 孤独や死を私たち現代日本人はどのようにとらえているか
島薗 進
第2章 本人・家族は死をどう受け止め,どのような支援を望んでいるか
- 悲歎の作業――伴侶との死別の場合
長田光展
- 自死で家族を亡くした経験から伝えたいこと
南部節子
- 不慮の事故
大津秀一
- 原発事故に直面して
大谷 廉
- 孤独や無縁を感じたとき,どんな支援が必要とされるか
森川すいめい
- 専門職としての成長の中で,死をどう受け止めてきたか
楜澤直美
第3章 専門職として臨床の中で死をどう受け止め,どう伝え,どう支えるか
- 急性期開放病棟における「緊急ミーティング」
天笠 崇
- 医療観察法下で:対象者の自殺から,支援者の姿勢について考える
棟近展行
- デイケアで
長谷川直実
- 地域支援の場で立ちあった死について
根本加根子,今村剛久
- 地域生活支援の立場から
岩崎 香
- 人生における最後の生を支援する生活支援:空間・時間・仲間という3つの「間」が醸し出す癒しの力
栄セツコ
- 面会の少ない離れた家族へ
石井利樹
- 受け持ちスタッフへの支援
小山徹平
- 自殺未遂者の家族とスタッフのケア
高橋聡美
第4章 孤独・無縁死を理解する,防ぐ
- 孤立をなくす取り組み:よりそいホットライン
遠藤智子
- 当別式共生型のまちづくりと,新たな高齢者の地域生活支援の在り方について
大原裕介
- ホームレスを経験された方へのケア
諸井一郎
- 地域における自殺予防対策の実際
直嶋京子
- いのちの電話
田村 毅
- 自死遺族の集い「わかちあいの会」
高津奈緒美
- がん患者をもつ家族へのサポート
當間実名雄,武士清昭,水野雅文
- 向老意識の成熟
新村秀人
連載
- 精神療法の中で治療者は何をするのか〈第3回〉傾聴し理解する
成田善弘