季刊
精神科臨床サービス 第16巻04号
2016年11月
《今月の特集:アルコールの問題を抱える人たちのために》
アルコール依存症をもつ人を精神科外来で受け入れるために──。
日本にはアルコール依存症の専門治療機関が少ないため、精神科の外来やクリニックに患者さんが来院することも多い。しかし、精神科医にアルコール依存症の治療を行った経験がないと、“自分は専門ではないから”と断ってしまう場合が多いという。対応困難な重症事例が少なくないものの、実際には精神科外来でも対応可能な例も多い。そこで今号では、アルコール依存症治療の現状と課題を討論した座談会を始め、初回面接の方法や再診の介入法、精神科訪問看護、自助グループなど、様々な視点からアルコール依存症を診るためのアプローチを紹介し、アルコールの問題を抱える患者さんを支えるための方策を考察する。
ISBN:978-4-7911-7164-4
第1章 座談会
- 我が国のアルコール依存症治療の現状と課題
横山 顕,松本俊彦,世良守行,窪田 彰
第2章 総論
- 一般精神科医もアルコール依存症をみよう
奈良圭之輔
- アルコール依存症の疫学・転帰
上野文彦,木村 充
- アルコール依存症の科学・メカニズムと推奨される治療
合川勇三
- 社会の中でのアルコール依存症の治療モデル
木村武登
- 「困難事例の治療法」について
後藤 恵
第3章 アルコールの問題を抱える患者さんをあなたが支える
- 初診におけるアルコール歴の聞き方,初回面接
米沢 宏
- 再診において何をすべきか?:中核病理としての両価性に焦点を当てた断酒・節酒にこだわらない介入法
河本泰信
- アルコール使用障害の治療ステップ①:酩酊状態から離脱症状の管理
堀 達
- アルコール使用障害の治療ステップ②:社会参加
沼口亮一
- クリニックにできること:都心に位置するアルコール依存症専門クリニックの仕事
倉持 穣
- アルコール依存症と精神科訪問看護
佐藤栄児
- 保健師の視点からアルコール対策を考える
土器悦子
- 自助グループでできること
渡 功
- アルコール依存症の入院治療と地域連携
置塩紀章
- アルコール健康障害対策基本法と長野県精神保健福祉センターのアルコール依存症対策について
小泉典章
- 被災地のアルコール関連問題への支援活動について
奥平富貴子
- アルコールと企業経済活動:その「社会的責任性」をめぐって
清水新二,小野田美都江
- 一臨床医からみたアルコール依存症からの回復に関する10の覚書
中田千尋
■今さら聞けないこの言葉
■連載
- のぞえ便り⑦「力動的チーム医療」と住居プログラム(その2):地域生活を目指すベースキャンプとなるために
堀川公平
- ピアサポーターの仕事録 Since2005 第2回 ピアサポーターになりたい!:ピアサポーター前夜②
増川ねてる