月刊
精神科治療学 第26巻04号
2011年04月
《今月の特集:統合失調症患者の回復と生き方》
DSM全盛の現在、統合失調症の診断治療は横断的対応に偏りがちで、長期経過や患者さんとじっくり付き合うという視点はおろそかになりがちである。しかし臨床では、すでに急性期から患者さんの生き方を見つめるという視点抜きには扱えない疾患であることも確かである。昨年秋に急逝された本誌編集顧問の永田俊彦先生の業績を紐解き、統合失調症者の生き方に関わる熟達の論考(寛解後疲弊病相、挿話性病理現象、砂丘現象、目覚めの体験など)に、気鋭の研究者が改めて光を当てた。永田の視点は今なお斬新で刺激的であり、実に活き活きとしており、今日の臨床にも有用な視点を提供している。
※精神科治療学は最寄りの書店様にご注文いただくか、弊社営業部(TEL 03-3329-0031)までお問い合わせください。
【特集】 統合失調症患者の回復と生き方
- 特集にあたって
新井平伊
- 永田俊彦の分裂病経過研究をめぐって
中井久夫
- 精神科臨床における眼力と眼差し―永田俊彦先生の業績をめぐって―
広沢正孝
- 「寛解後疲弊病相」(永田)とその転帰について―永田論文における“臨床の視線”の真正性(authenticity)―
岩井圭司
- 永田論文「分裂病性残遺状態における挿話性病理現象」について
市橋秀夫
- 寛解,再燃,砂丘現象(永田)―統合失調症の残遺,欠陥状態とは何か?―
津田 均
- 統合失調症患者の目覚めの体験と精神科リハビリテーション
広沢正孝
- 統合失調症圏の病態における放浪
宮田善文,加藤 敏
- 中年期・老年期と統合失調症―晩期寛解論(永田,1984)を中心に―
村上靖彦
- 統合失調症の内発的な回復傾向について―レジリアンスと日常生活の創造性―
小林聡幸
- 統合失調症の残遺状態と欠陥状態
松本雅彦
- 統合失調症の人々の生き方を許容する地域社会は可能か?
―永田・水嶋論文「東京下町の慢性分裂病者について―地域住民の分裂病者に対する許容性とその社会的背景―」(1978)によせて―
高木俊介
- 抑うつ症状と統合失調症
山科 満
- 〔特別寄稿〕統合失調症の顕在発症に抗する防御症状―症状布置を把握するための一視点―
中安信夫
臨床経験
- 入院下での認知行動療法的アプローチにより症状軽減が得られた気分変調性障害の1例
中津啓吾,朝倉岳彦,岡田 怜,他
- Milnacipran と mirtazapine の併用療法に反応した難治性うつ病の2例
宮澤泰輔,石田明史
連載
〔オピニオン〕
- 温故知新―古代岩倉村における精神医療の今日的意義―
品川秀夫
年間購読について
年間購読のお申込はショッピングカートではできません。カート内の会計を済ませた上、ご注文下さい。