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■特集 強迫症の理解と治療の新たな展開 II
●現在における強迫症の一般的治療と長期予後―再発の問題を含めて―
松永 寿人  日下部 新  橋本 彩  宮内 雅弘
 強迫症(OCD)の第一選択的治療は,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と認知行動療法(CBT)である。しかし多くの場合,SSRI の効果は部分的改善に留まり,しばしば非定型抗精神病薬による増強療法を要する。またSSRI により強迫症状や切迫した不安が軽減しても,遷延した強迫行為や回避の修正は難しく,薬物療法と相補的なCBTの併用が望ましい。一方,現行治療による長期予後については,50% 以上が寛解に至るものの,その約半数は再発するとされる。再発は,OCD 患者のQOL を著しく低下させるなど影響は深刻で,その予防を図るためにもCBT が有効である。特に治療終結を目指す中でCBT を実施する場合,残遺症状に加え,回避など不安対処行動が習慣化・日常化し,見落とされやすいことに注意が必要である。さらには,できる限り未治療期間を短縮して発症早期にインテンシブな治療介入を行い,完全寛解に達することは,再発を防ぎ長期予後を好転させる上でも重要となる。
Key words:obsessive-compulsive disorder, remission, recurrence, pharmacotherapy, end of treatment

●強迫症の定型的治療に関する反応性の評価と臨床的予測因子について
林田 和久  前林 憲誠  松永 寿人
 強迫症の治療反応性の評価にはYale-Brown Obsessive-Compulsive Scale(Y-BOCS)が国際的にも広く用いられており,本邦でも信頼性が検証された邦訳版とインタビューマニュアルによって簡便に正確な重症度評価が可能となっている。このY-BOCS を用いた治療反応性の検討により,治療反応予測因子が多数報告されているが,治療内容,社会環境要因,強迫症状の経過・内容・重症度・洞察の程度,社会適応能力や機能レベル,コモビディティ,精神病理学的特性,発達的問題など,多種多様な要因が治療反応性に関与することが示唆されている。したがって,治療反応性を最大限に向上させるためには,これらの幅広い要因を考慮して,個々の患者に最適な治療介入プログラムを構築する必要があると考えられる。
Key words:obsessive-compulsive disorder (OCD), response-assessments, Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale( Y-BOCS), predictive factors, comorbidity

●強迫症/強迫性障害に対する抗精神病薬による増強療法
住谷さつき
 かつて薬では治らないとみなされていた強迫症/強迫性障害(obsessive-compulsive disorder:OCD)は,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)の登場により薬で治る疾患となった。しかし,SSRI に良好な反応を示すOCD 患者は約半数であり,残り半数の患者にはさらなる戦略が必要となる。抗精神病薬による増強療法は現在最も一般的な方法であり,SSRI を十分量,十分期間使用しても改善が見られないOCD 患者には,少量の非定型抗精神病薬を付加してみることが推奨される。Risperidone とaripiprazole の付加療法はメタアナリシスでもその効果が確認されており,特にaripiprazole の付加は効果が大きく副作用の少ない増強療法として有用である。SSRI単剤で治療可能な患者と抗精神病薬による増強療法が効果的な患者にはその臨床特徴や生物学的特徴に何らかの差異があることが推定され,その探索は治療の効率化につながると考えられる。
Key words:SSRI, antipsychotics, augumentation, aripiprazole, risperidone

●強迫症に対するグルタミン酸神経調整薬による増強療法
村山桂太郎
 強迫症(obsessive-compulsive disorder:OCD)に対する薬物療法は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)が第一選択となっているが,十分な有効性を示さない症例は40〜60%にのぼる。そのような治療状況のもとで,近年グルタミン酸神経調整薬によるSSRI の増強療法が注目されている。そこで本稿ではそれらの薬剤の臨床介入研究についての知見を報告した。現時点ではまだ知見が少なく,各研究デザインも大きな違いを認めるなど十分なエビデンスがあるとは言えないが,今後のOCD における新たな薬物治療戦略としてグルタミン酸神経調整薬が期待されることを述べた。
Key words:obsessive-compulsive disorder, pharmacotherapy, glutamatergic agents, NMDA receptor

●強迫症/強迫性障害に対する消去学習を促進する薬物療法(d-cycloserine など)の可能性
松澤 大輔
 強迫症/強迫性障害(OCD)にきわめて効果的な曝露療法の効果をさらに増強する治療薬がcognitive enhancer である。その中の有力候補にNMDA 受容体部分アゴニストである,d-cycloserine(DCS)がある。曝露療法においては獲得した恐怖の想起に対する消去学習,そして再固定という現象が起こるが,DCS が望みうる曝露療法の増強効果を示すためにはいくつかの条件が必要となる。曝露療法による恐怖消去学習のメカニズムと,これまでのOCD を対象とした臨床試験を考えると,服薬のタイミング,服薬量,そして曝露療法そのものが成功することがDCS を増強薬として期待する際の鍵である。
Key words:cognitive enhancer, exposure therapy, NMDA receptor, d-cycloserine

●強迫症の認知行動療法─基本的手法と外来での使用法を中心に─
飯倉 康郎
 強迫症は認知行動療法やセロトニン再取り込み阻害薬の研究によって治癒しうる疾患となった。治療の中で特に基本的な治療技法は曝露反応妨害法である。これは,不適応的な不安反応を引き起こす刺激に持続的に直面し,同時に強迫行為を行わずに済ませることで不安を軽減する方法である。外来での曝露反応妨害法を効率よく進めるために留意すべき点としては,1 )ガイドブックやハンドアウトなどを用いた症状や治療の理解の促進と動機づけ, 2 )主観的不安評価尺度(SUD)や認知的内容も含めたセルフモニタリング,3 )診察室内で行う曝露反応妨害法の工夫, 4 )患者がひとりの状況における“治療場面”を意識しやすくするような曝露反応妨害法のホームワークの工夫,などがあげられる。本稿では,典型的な一症例を用いて説明した。
Key words:obsessive-compulsive disorder, cognitive-behavior therapy, exposure & response prevention, self-monitoring, homework

●新しいタイプの曝露反応妨害法─制止学習理論とアクセプタンスに基づいた曝露反応妨害法─
堀越 勝  小林 由季
 強迫症(obsessive-compulsive disorder:OCD)に対する有効な治療法として,薬物療法以外に曝露反応妨害法(exposure and response prevention:ERP)が挙げられる。従来のERP のベースとなる理論が感情処理理論であったのに対して,新しいタイプのERPとして,制止学習理論に基づいたERP と,アクセプタンスに基づいたERP が提唱されている。本稿では,それぞれのERP の理論的背景やERP の実践について紹介する。OCD 患者の病理・病態における多様性を考えれば,標準的なERP を基本として持ちながらも,制止学習理論やアクセプタンスに基づいたERP などを症例に応じて柔軟に活用する必要がある。そのような取り組みが治療効果や再発予防に寄与すると考えられ,OCD に対する新たな治療法の展開が期待される。
Key words:obsessive-compulsive disorder, exposure and response prevention, inhibitory learning, acceptance and commitment therapy

●強迫症に対する認知療法─その方法と効果─
石川亮太郎
 強迫症に対する認知療法(認知行動療法)は,強迫症を維持・悪化させている認知的解釈にアプローチすることで強迫症を改善させる精神療法である。その代表的な技法として,認知理論の心理教育,ノーマライズ,ケースフォーミュレーション,理論A と理論B の比較,行動実験を紹介する。これらの認知的アプローチと,曝露反応妨害法などの行動的アプローチを併用することで,強迫症に対してさらなる治療効果が期待できる。
Key words:cognitive therapy, theory A and theory B, behavioural experiments

●強迫症の森田療法
舘野 歩
 強迫症に対する森田療法の適否の判断,森田療法による治療目標,外来森田療法の実際,入院森田療法の実際を示し,森田療法と認知行動療法との比較を論じた。認知行動療法は症状の軽減のみを治療目標に置いているのに対し,森田療法では症状の軽減のみに治療の目標を置かず強迫行為に対する指導と同時に生活全体を充実させていくよう指導していくところがポイントである。強迫症状は得てして取り除こうとすればますます悪化してしまう。森田療法には強迫症状を取り除こうとする患者のエネルギーをプラスの方向(建設的な行動)へ転換していく独自の観点がある。強迫症状を訴えてきた患者に対し,治療者が症状の軽減のみに「とらわれ」ず,患者の健康な欲求(生の欲望)を発揮するよう援助していく方向で粘り強く患者を支えていくことが森田療法の基本姿勢だということである。
Key words:obsessive-compulsive disorder, Morita therapy, fulfillment of life in general, cognitive behavioral therapy

●強迫症/強迫性障害に対する入院治療─外来治療がうまくいかない時にどうするか─
實松 寛晋
 強迫症/強迫性障害(obsessive-compulsive disorder:OCD)に対する治療は,コストパフォーマンス等を考えれば,可能な限り外来で行うことが望ましい。しかし,巻き込みが激しかったり,症状のため自立した生活ができなかったり,継続的な通院が困難であったりする患者の中には,入院環境でなければ治療が難しい患者も存在する。本稿では,入院治療を検討すべき状況についてまとめた上で,生活障害の著しかったOCD 患者の入院治療経過を詳細に報告し,入院治療の進め方やメリットについて検討した。入院治療を行った患者がすべてうまくいくわけではないが,外来治療が行き詰まった時に,入院治療を選択することは十分に意味のあることだと思われる。
Key words:obsessive-compulsive disorder, inpatient, hospitalization therapy, cognitive behavior therapy

●「巻き込み」から治療者を解放する─強迫症が家族と治療者に及ぼす影響とその対応─
小堀 修
 強迫症では,家族だけでなく,治療者も,その病理に巻き込まれる。本稿では,「巻き込み」という言葉の使用を一時的に停止し,再保証[ Reassurance] という観点から,強迫症が家族と治療者に及ぼす影響とその対応方法について,包括的に考察した。まず,再保証を求める行動の特徴について述べたあと,研究の知見をまとめることで,当事者は家族を巻き込まないように最大限の努力をしていること,家族は「手応えの小さい援助を献身的にやるしかない」体験をしていることが明らかとなった。さらに,治療に行けないときや治療を待っているとき,当事者からの要求に対して,家族はどのようなことができるかについて,提案されている方法を紹介した。最後に,治療者がどのように強迫症の影響を受けるのか,どのように対応できるかについて,実践例を報告した。
Key words:reassurance seeking, obsessive-compulsive disorder, cognitive behavioural model, family accommodation, cognitive behavioural therapy

●強迫症におけるアウトリーチ
岡嶋 美代  原井 宏明  平田 祐也
 強迫症ではその症状特異性により,予約通りに受診できない人や,自宅内に回避対象があり自分では対処できない人や,家族が症状を増強するよう巻き込まれていることもよく見られる。現場で行動観察と行動処方もできる自宅訪問は,重症例であっても成果が出やすく,強迫症の治療形態として今後ますます普及が望まれる。筆者らは約15年間にわたり強迫症にアウトリーチを行ってきた。主な目的はエクスポージャーと儀式妨害の習熟であるが,( 1 )訪問看護の枠組みを利用して心理士が同伴した症例,( 2 )医師と心理士で自宅訪問し家族療法も同時に行った症例,( 3 )心理士1 人で1 回訪問したのち,訪問介護ステーションへのコンサルテーションを行った症例,( 4 )患者の地元の精神科医をコンサルテーションしながら多職種のチームによるサポート体制を構築した症例,( 5 )心理士1 人で1 年以上毎週3 時間の訪問をした症例など,それぞれの工夫や問題点について述べた。
Key words:behavior therapy, outreach, exposure and ritual prevention, consultation, autism spectrum disorder

●強迫症に対する遠隔で行う曝露反応妨害法の選択的レビュー
垂水 沙梨  山田 成志  岸本泰士郎
 強迫症に対する曝露反応妨害法(exposure and response prevention:ERP)の有効性は確立されているが,治療者が不足している,強迫症状から外出が困難であるなどの理由から十分に普及していない。インターネット回線を用いたテレビ電話が広く普及しているが,それを用いてERP を行うことで,これらの問題を解消できる可能性がある。本論文では,このように遠隔で行うERP に関する報告をレビューした。電話で施行する遠隔治療では対面での治療とほぼ同等の効果が得られており,患者の受け入れも良好であった。テレビ電話を用いた遠隔治療の研究においても,その有用性が示されているが,まだ対面で行う通常のERP とのランダム化比較試験は報告されていない。遠隔医療が精神科医療の発展にもたらす恩恵は大きく,今後,類似の研究を通じてわが国における遠隔医療の経験・知見を蓄積していくことが肝要である。
Key words:obsessive compulsive disorder, exposure and response prevention, telemedicine, web conference system, selective review

●強迫症/強迫性障害における自助グループの役割
有園 正俊
 強迫症/強迫性障害(obsessive-compulsive disorder:OCD)によって困っている当事者(患者,家族)が,改善のきっかけを求めて参加するのが自助グループである。OCDは,重症化するほど精神的な苦痛が増し,症状に時間を奪われ,就学,就労,家事が困難となる。しかし,重度であっても,適切な診療によって症状が改善し,社会参加にそれほど問題がなくなる者がある程度の割合でいる。そのような情報を,当事者はインターネットや書籍で知ることができるが,実際には自らに合った診療になかなか出合えずに困っている者が多い。自助グループは,そのような問題を一人で抱えず,お互いの体験談を分かち合うことで,OCD を取り巻く現状や参考になる情報を知るなどの目的で活動している。主に東京で活動しているOCD お話会での活動内容や調査から,当事者の抱える状況を紹介し,自助グループに求められる役割を検討した。
Key words:obsessive-compulsive disorder, self-help group, cognitive behavioral therapy, access

●強迫症/強迫性障害に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)
松田 勇紀  鬼頭 伸輔
 強迫症/強迫性障害(OCD)は若年で発症し,再発率は高く慢性化する患者が多い。また,OCD の治療は薬物療法や認知行動療法が行われているが,治療反応性に乏しく難治化しやすい。近年,治療抵抗性OCD 患者に対して反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)による治療が注目されている。OCD 患者に対し,神経画像検査の知見から得られた病態仮説に基づき,右または左側の背外側前頭前野(DLPFC)に対して高頻度または低頻度刺激,前頭眼窩野(OFC)や補足運動野(SMA)に対して低頻度刺激が行われている。右または左側のDLPFC に対する高頻度または低頻度刺激を行った臨床研究は多く報告されているが,それらの結果は必ずしも一致せず,各研究間での異質性は大きかった。また,OFC に対する低頻度刺激は臨床研究が少なく,SMA に対する低頻度刺激は最近の臨床研究で結果は一致しなかった。よって,現時点では治療抵抗性OCD に対するrTMS の最適な刺激条件は明らかではないため,さらなる臨床研究が待たれる。
Key words:obsessive-compulsive disorder (OCD), repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS), neuromodulation

●強迫症に対する脳深部刺激療法(DBS)・脳神経外科治療の可能性
中前 貴
 薬物療法や認知行動療法といった既存の治療に反応しない,重症かつ難治性の強迫症(obsessive-compulsive disorder:OCD)患者に対して,諸外国では脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS)や定位脳手術が行われ一定の成果を上げている。DBS は脳への影響が可逆的であることが利点であり,難治性OCD に対するDBS は,内包前脚,腹側線条体,分界条床核,側坐核,視床下核など,皮質─線条体─視床─皮質回路に影響を与える脳領域がターゲットとなっており,おおむね50〜60% の症例に有効である。DBS が無効の場合には,定位脳手術が行われることもあるが,近年,MR ガイド下集束超音波治療と呼ばれる,超音波を用いて脳組織を非侵襲的に焼灼する技術が開発され,すでにOCDの治療に試験的に導入されている。こうした脳神経外科治療の日本への導入について議論を深める必要があると思われる。
Key words:obsessive-compulsive disorder, deep brain stimulation, neurosurgery for psychiatric disorders, magnetic resonance-guided focused ultrasound

■研究報告
●ひきこもりの社会参加に繋げる集団支援の方法─サカイ式すべらないグループワークの実践と転帰分析─
岩田 光宏  真志田直希  金谷 尚佳  遠藤 晃治  木内 邦明
 ひきこもりの集団支援は,個別相談から導入しやすく,利用者が社会参加に繋がりやすい支援であることが求められ,さらに多様なひきこもり事例が利用できることが望まれる。これまでに筆者らは,独自の集団支援方式(サカイ式すべらないグループワーク:SSG)が,多様なひきこもり事例に対する個別相談から導入しやすい集団支援であることを示している。本研究ではこの方式(SSG)によって,集団支援の利用者がどの程度社会参加に繋がっているかを調べるため,利用者の転帰を分析した。3 年間の利用者62名のうち45名(72.6%)が社会参加しており,SSG が多様なひきこもり事例を対象として高い社会参加率を示す集団支援方式であることが示された。
Key words:Hikikomori (social withdrawal), group work, social participation, outcome analysis, Stay indoors ; local support center

■臨床経験
●月経前不快気分障害(PMDD)にescitalopram による“黄体期追加療法”が有効であった2 症例
大竹 民子  松田 明子
 黄体期に激しい精神症状を呈する月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)を有す患者にescitalopram を月経周期と関係なく継続して服用する“持続療法”を行い,なお残遺した精神症状に対して,黄体期にのみescitalopram を追加して服用する“黄体期追加療法”にて残遺した症状も軽快した2 症例を報告した。PMDD のコントロールが良好となったことで復職や就職が可能となり,PMDD による仕事や生活の支障の大きさを痛感する2 症例であった。
Key words:premenstrual dysphoric disorder(PMDD), escitalopram, luteal phase additional therapy

■資料
●精神疾患を生じた医師の受療行動と適切な診療
茅野 分  藤井 千代  村上 雅昭  水野 雅文
 背景:アメリカでは毎年約300人の医師が自殺で死亡している。日本の医師の自殺は詳細不明である。日本医師会よると会員医師4,055人の53%は自分の健康について相談していなかった。そこで,本稿は医師の受療行動の一端を,匿名性に厳重な配慮をして報告する。対象と方法:東京都中央区の精神科診療所を10年間に受診した32人の医師の診療内容を検証した。結果と結論:精神疾患を生じた医師の多くが受診前から自己治療としてベンゾジアゼピンを服用していた。中等症以上に相当する症例は精神科医が診療すべきである。否認や抵抗,さらにセルフスティグマを生じる可能性があるため,丁寧な精神療法を行う必要がある。これら診療内容は秘匿情報に相当するため,自施設とは関連のない施設において,プライバシーに十分配慮して施す。若手,中堅,女性医師など世代や性別に応じた診療が求められる。そして,精神科医自身も高率に患者になる可能性を認識すべきである。
Key words:mental illness of physician, privacy, self-stigma, help seeking behavior


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