月刊
精神科治療学 第38巻03号
2023年03月
《今月の特集:中井久夫の臨床と理論》
昨年、中井久夫氏(神戸大学名誉教授)がこの世を去った。統合失調症の急性期や病態にばかり注目されていた時代の臨床に驚きをもって迎えられた寛解過程論、わが国の芸術療法の黎明期にその方向性を決定づけた風景構成法の開発と普及・発展等、わが国の精神医学・医療に残した功績は計り知れない。さらには現代ギリシャ詩の翻訳や味わい深いエッセイ等でも知られるなど、日本を代表する文化人でもあり、まさに「知の巨人」。本特集は、中井久夫氏と直接・間接に関わりのあった様々な方々が、それぞれの角度から中井久夫像を描出する。そこから浮かび上がる中井久夫氏の臨床姿勢に新たな学びを得られる特集。
JANコード:4910156070337
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【特集】中井久夫の臨床と理論
- 特集にあたって
岩井圭司
- 中井久夫先生から学んだ臨床姿勢
青木省三
- 私にとって
阿部大樹
- 中井久夫先生の思い出
市橋秀夫
- 中井久夫の精神療法思想─抵抗的医師とは何だったのか?─
井原 裕
- 文化精神医学者,中井久夫─『治療文化論』を再読する─
江口重幸
- 震災,トラウマ,こころのケア─中井久夫の着想と実践─
加藤 寛
- 中井久夫の教え─とくに抗精神病薬治療について─
黒木俊秀
- 中井久夫と「ケアの倫理」
斎藤 環
- 相手を芸術家に追いやる努力─風景構成法,スクイグル,ニコイチアート─
塩飽耕規
- 中井久夫外来診察見学記
杉林 稔
- 精神医療改革運動の中井久夫
高木俊介
- 中井久夫とヴァレリー
滝川一廣
- ボクが中井先生から教わったこと
田中 究
- 統合失調症の経過と患者の内的世界の変遷─中井の「経過論」がわれわれに教えてくれること─
広沢正孝
- 精神科治療の「類的なコツ」
松本卓也
- 中井久夫大喜利大会と生類憐れみの令について
三脇康生
- 中井久夫と精神の免疫学─結核,ウイルス,自己システム─
村澤和多里
- 地上の世界へしばし遣わされた人
村瀬嘉代子
- 風景構成法の濫觴と発展
山中康裕
〔特別寄稿〕「臨界期」から「風景構成法」を駆け抜けて
伊集院清一
研究報告
- Posterior cortical atrophy患者に対する残存機能を活かした生活環境の工夫─リハビリテーション介入の一例─
石丸大貴,鈴木麻希,堀田 牧 他
臨床経験
- 軽躁あるいは躁状態の既往がなかったが,双極スペクトラム障害として治療し寛解を得た産後うつの一例
小泉友紀暁
資 料
- ネット依存・ゲーム症のアセスメントと治療
館農 勝,白坂知彦,常田深雪 他
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