●日本人及び白人大うつ病患者におけるmirtazapineとfluvoxamineの有効性及び安全性の比較
村崎光邦 J. H. Schoemaker 三宅和夫 J. Gailledreau A. J. Heukels H. P. Fennema J. M. A. Sitsen
日本人と白人大うつ病患者を対象として,mirtazapine(15~45mg/日)及びfluvoxamine(50~150mg/日)のフレキシブル投与による無作為化,二重盲検試験を実施し,ハミルトンうつ病評価尺度17項目(HAMD17)の合計点の変化量を指標に,mirtazapineのfluvoxamineの有効性に対する非劣性を,非劣性マージン2ポイントとして示すことを目的とした。Mirtazapine群は199例(日本人96例,白人103例),fluvoxamine群は203例(日本人98例,白人105例)であり,mirtazapine群とfluvoxamine群の両群でHAMD17合計点はベースラインから臨床的に有意に減少した(それぞれ-14.3,-13.6)。両群間のHAMD17合計点の変化量の差は-0.7であり非劣性が示唆された。Mirtazapine群とfluvoxamine群のHAMD17合計点の差に統計的有意差はなく,効果の発現はfluvoxamineに比べmirtazapineで早かった{7日目:-1.97(p<0.001),14日目:-1.86(p=0.001)}。両薬剤とも忍容性は良好であり,mirtazapine群では傾眠が日本人に,fluvoxamine群では嘔気が日本人と白人双方に多く発現した。両薬剤は日本人と白人大うつ病患者に対して同様に有効で,安全性プロファイルは異なるものの忍容性は良好であり,民族間で類似していた。
Key words :mirtazapine, fluvoxamine, major depressive disorder, Japanese, Caucasians