■展望 ●精神科医療・研究における判断能力評価の意義と実際
北村俊則 北村總子
判断能力が備わっている患者が,判断能力が欠如していると看做されて,強制入院や強制治療が開始されることや,判断能力が欠如しているにもかかわらず判断能力があると看做されて,安易に得た同意に基づいて治療が開始されることがあってはならない。このような過ちを回避するために,患者の判断能力を評価することが求められる。「同意不同意の選択の明示」「実際的理解」「情報処理の合理性」「状況の特性の把握」が操作的基準として治療同意判断能力の構成要素であると考えられ,治療場面(代表的なものはStructured Interview for Competency and Incompetency Assessment Testing and Ranking Inventory)および研究場面(代表的なものはMacArthur Competence Assessment Tool for Clinical Research)に用いられる評価手法が数多く開発されている。判断能力あり・なしの区分点の設定,治療同意判断能力を評価する人材をどこに求めるかといった課題が残されている。
Key words : competency to give informed consent, assessment method, medical ethics