●当事者の立場から見た持効性注射製剤治療のメリット・デメリット
肥田裕久
我が国では2015年3月現在,新規抗精神病薬としてはrisperidone持効性注射製剤およびpaliperidone持効性注射製剤の2種類のLAIが使用できる状況であり,またaripiprazole持続性注射製剤の上市が控えている。このような状況で当事者の感じているLAIのもつメリット,デメリットを考えていくことは意義あることだと思われる。LAIはフルアドヒアランスを確保できる有用な治療法だが,いまだ十分な拡がりをもつものではない。そこには懲罰的あるいは強制的な陰影が影響しているからかもしれない。今回,当事者の望む生活,LAIを継続していくうちに当事者の気持ちがどう変わるのか,などを考察した。また,自己決定を時間とともに変化するものと捉え,医療者が取るべき態度にも言及した。LAIのもつメリット,デメリットは当事者に聞くことが一番である。その声を些少ながら拾い集め,当事者の持つ夢や希望にLAIが寄与できることを述べた。
Key words : normalization, viewpoint of patients and their families, pros and cons of LAI treatment, self-descision, acceptance of disability