こころをとらえるナーシング

看護スタッフがかつて学んだ精神医学・心理学は、なんとも難解だったのではないだろうか。本書は、とくに卒後教育として、一般の看護スタッフが「精神症状の早期発見」と「支持的精神療法」をごく自然に行えることを目的に書かれたものである。メンタル・ケアの重要性に気づいていながらその手がかりをつかめないでいる多くの看護スタッフにとってすぐに役立つ一冊となるであろう。

保坂隆著

定価 2,090 円（本体1,900円 + 税）　四六判　並製　168頁
ISBN978-4-7911-0474-1〔2002〕

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I 力動精神医学 ―看護への応用―

■ 精神の動きやメカニズムの解明―力動精神医学の定義と歴史

1. 力動精神医学と精神分析
2. 力動精神医学の基本的な考え方
   (1)力動論的観点
   (2)局所論的観点
   (3)発生論的観点
   (4)経済論的観点
   (5)構造論的観点
   (6)適応論的観点
   (7)対象関係論的観点
3. 力動精神医学と看護

■ 心理的防衛機制と対象喪失

1. 心理的防衛機制
2. 対象喪失

■ 悲哀の仕事と危機モデル

1. 悲哀の仕事
2. 危機モデル
3. 悲哀のケア

■ チーム医療

1. チーム医療の必要性
2. チームの構造
3. がん医療におけるチーム医療
   《サイドメモ》酔o症
   《事例検討(1).》演技的で、感情的で、気まぐれな反応
   《事例検討(2).》情緒不安定で、孤独への耐性を欠いた反応
   《事例検討(3).》不安で臆病な反応

■ 心気的な患者へのアプローチ

1. 不定愁訴症候群とは
2. 精翠ﾈ的なとらえ方
3. 心気的な患者への対応
   《サイドメモ》受診援助

■ トラブルメーカー・問題患者

1. 問題となる患者の態度や行動
2. トラブルメーカー・問題患者の背景
   (1)患者側の要因
   (2)医療者側の要因
3. 代表的なトラブルメーカーあるいは問題患者
   (1)医師の指示を守らない患者
   (2)依存的な態度、反抗的な態度の患者
   (3)医療に対する不信感を抱く患者
   (4)執拗に検査を要求する患者
   (5)病棟を混乱させる患者

■ 自殺企図患者へのアプローチ

1. 自殺企図の背景
2. 自殺の再企図の背景
3. 再自殺企図の予防
4. 一般病棟での対応
   《サイドメモ》希死念慮を抱く者への理解
   《サイドメモ》希死念慮を抱く者への対応

■ 看護スタッフのポジショニング

1. 看護スタッフの中間性
   【症例1】
   【症例2】
2. 看護スタッフのポジショニング
   《サイドメモ》逆転移と看護

■ 障害の受容への援助

【症例－前半－】
【解説－前半－】
(1)障害を喪失体験としてとらえる場合
(2)障害を危機としてとらえる場合
【症例－後半－】
【解説－後半－】
《サイドメモ》薬と病気
《事例検討(4).》治療の意欲低下の背景

■ 燃えつき症候群(Burnout syndrome)

1. 日常用語としての燃えつき症候群
2. 救命センター勤務のＸさんの場合
3. 神経衰弱
4. 熱傷センター勤務のＹさんの場合
5. 燃えつき症候群
   《サイドメモ》ストレスを緩和させる

■ 家族への援助

1. 医療における家族の役割
2. 患者としての家族への精神療法
3. 治療者としての家族への精神療法
4. グリーフ・ワーク

II 看護スタッフによる精神療法

■ 精神療法

1. 支持的精神療法
   (1)支持的精神療法の要素
   (2)支持的精神療法のテクニック
   《サイドメモ》カタルシス
   《サイドメモ》「私はもうダメ？」に対して
   《サイドメモ》暗示の用い方
2. 洞察療法
   《サイドメモ》洞察療法と支持的精神療法
3. カウンセリング
4. 認知療法

■ 行動療法

(1)古典的条件づけ
(2)オペラント条件づけ

■リラクセーション

(1)バイオフィードバック
(2)自律訓練
(3)漸進性筋弛緩法