分裂病治癒者のカルテ
分裂病は治癒するのか?これを検証すべく、さまざまな試みをしながら日常臨床と臨床研究を長年おこなってきた著者。その治療努力と成果が、本書の第1部に示される16症例の治療過程に凝縮されている。 そして、 第2部では、 分裂病とはどのような病気で治癒とは何を意味するのか、 治癒に導く治療方法はどのようなものか、 経験に裏打ちされた治癒への独自のストラテジーが紹介される。 分裂病はここまで治る!
西川正著
定価
3,630 円(本体3,300円 + 税) A5判 上製 176頁
ISBN978-4-7911-0480-2〔2002〕
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Contents
【第 I 部】症例
1章 初回エピソード分裂病者の治癒
K子 治療開始13カ月で断薬。治癒期間15年
A子 治療開始1年9カ月で断薬。治癒期間5年
K男 治療開始2年で断薬。治癒期間5年
2章 再発例の治癒
S子 3回入院したが,2年7カ月で断薬。治癒期間5年
U男 各地の病院を転々。治療開始8年で断薬。治癒期間2年
B男 不登校から発症。外来通院4年で断薬。治癒期間3年
R男 分裂病欠陥状態で他院から転入院。遅発性アカシジアの治療により3年2カ月で断薬。治癒期間5年
3章 慢性分裂病者の断薬
1 断薬プログラムの成功例
Y男 2回入院。治療開始33年で断薬。治癒期間7年
N男 2回入院。治療開始9年で断薬。治癒期間2年,その後不眠で服薬再開
2 断薬不能例
T子 4回断薬したが,プロペリシアジンmg以下には減薬不能
M男 8回断薬したが,スルピリドmg以下には減薬不能
4章 難治性分裂病者の治療
1 SSTを通じて就労可能となった症例
M男 家族を交えた1回のSSTで親子関係が劇的に変化
T男 被害妄想に基づく暴力行為により入退院を繰り返したが,SSTや家族療法などで寛解
2 他院紹介よりの難治例
M子 留学中に発病。多彩な妄想が持続していたが,翻訳の仕事を獲得し寛解
H男 頑固な心気妄想が薬物調整や治療環境の相互作用で消失
Y男 興奮激しく,大量多剤併用投与,長期隔離された。薬物調整と治療ゴールの設定で寛解
【第II部】 分裂病治癒への治療の実際
1章 分裂病仮説について
1 分裂病仮説
2 思考障害とドパミン神経系フィルター仮説
3 適応障害とドパミン神経系
4 ラットの隔離飼育実験と精神分裂病の動物モデル
5 刺激-反応曲線(S-R curve)と分裂病の脆弱性
6 分裂病の治癒と分裂病仮説
2章 分裂病の治癒とは
1 クレッペリンの治癒観
2 分裂病の治癒とストレス脆弱性
3 分裂病の治癒基準
3章 薬物療法
1 急性期の導入治療
2 回復期の治療
3 減薬から退薬へ
4 難治例への対応
5 抗精神病薬の副作用とその対策
4章 治療環境とリハビリテーション
1 治療環境
2 リハビリテーション
5章 分裂病治癒のストラテジー
本書の引用文献
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