ドクトル外交官 世界を診る
スーダン、フランス、セネガル、中華人民共和国…と、外務大臣名の辞令で命じられるまま、そんな4カ国に居を定め、外務省医務官として勤め上げてきた一人の精神科医が、生活者の視点で、それらの国々の現実を紹介する。外務省医務官は、求められるまま地球をまたに駆けていく。日本の現実とはかけはなれた危険極まりない国にも、赴任する。初めてみる光景、生々しい現実、が強烈に飛び込んでくる。まさに戦争がおこっているという日本とはかけ離れた国にも、辞令はやってくる。日本にいると想像も出来ないことを、著者の絶妙な筆運びによって、読者は自らのことのように体験することができる。
勝田吉彰 著
定価 2,090 円(本体1,900円 + 税) 四六判 上製 236頁
ISBN978-4-7911-0673-8〔2008〕
Contents
第 I 章 グルメの国からアフリカを行き来した日々
一枚の辞令から/ストライキ/医務官会議/ミッテラン没す
赤道をまたぐ国/フランス私立精神科病院の現状
アルコール依存症のフォローはどこでするか/ザイール共和国(当時)の精神科医療/心的外傷へのサポート
カメルーン共和国の精神科医療/心理職の新しい使い途—エール
日本・フランスの「弱者(身体障害者・乳児)への優しさ比較」 …ほか
第 II 章 アフリカ最西端の国で人々の生業を見つめた日々
アフリカの水を飲んだ者はアフリカに還る/ニッポン留学候補生/フランス製アフリカ向け教科書
インフォーマルセクター/医療の階級化
ダカールの総合病院精神科/将来なりたいもの …ほか
第III章 「四千年の国」でおくった激動の日々
SARSの心理的影響/SARSと精神科医療の現場
ワクチン大作戦/日本人学校運動会/アカシアの街
中国の自殺予防/SARS不安/重慶第三人民医院
中国の精神科リハビリテーション/農村住民と都市住民/日本住血吸虫 …ほか