触法精神障害者への心理的アプローチ
本書は、触法精神障害者の治療に関わる心理職、矯正施設等で他害行為の防止のための治療教育に関わる心理職にとって、その関わりのヒントとなる一冊。触法精神障害者の治療は、本人が望まなくても制度や周囲の側にニーズがあり、外側のニーズに沿った介入が求められる点に困難さがある。本人のニーズから始まる外来個別面接とは異なる法的枠組み、チームアプローチの枠組みから、新たな心理的アプローチや多職種間の調整力が心理職には求められる。触法精神障害者の心理的アプローチについて、その課題ごとに事例を通じて詳しく述べた。リスクアセスメント、多職種チーム医療の役割分担、他害行為の振り返りと罪悪感にまつわるテーマ、認知行動療法の技法を用いたアプローチ、医療観察法指定入院医療機関での臨床心理士の関わりなど、臨床心理学的援助について考察する。巻末付録の「おだやかブック」と「発見プログラム」は実践の具体的なヒントになるだろう。
壁屋康洋 著
定価 3,080 円(本体2,800円 + 税) A5判 並製 232頁
ISBN978-4-7911-0830-5〔2012〕
Contents
第1章 医療観察法医療における触法精神障害者への心理的アプローチ
第2章 暴力のリスクアセスメント研究の流れ
第3章 多職種チームの連携と構造化
第4章 対象行為の振り返りのためのプログラム
第5章 罪悪感の扱い方によって生じる展開と行き詰まり─二事例のセッションの比較から─
第6章 罪悪感についての一考察
第7章 アンガーマネージメントとその理論
第8章 アンガーマネージメントの実践
第9章 衝動性に対するプログラム “問題解決練習帳”の開発
第10章 退院までの一連の実践
付録
付録1 「おだやかブック」解説
おだやかブック
付録2 「発見プログラム」解説
発見プログラム
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