脳卒中における臨床神経精神医学 第2版
脳血管障害後の認知・行動・情動の障害
脳卒中による死亡率は、近年の急性期治療の進歩により減少したが、後遺症を抱える脳卒中患者の有病率はいまだ増加を示している。脳卒中患者には、うつ病をはじめとするいくつかの精神障害が高頻度で併発する。脳卒中後うつ病に罹患すると、認知機能がより障害され、運動機能の回復が遅れ、死亡率が増加するが、適切な抗うつ薬治療により認知機能や運動機能さらには生存率までもが改善する。したがってその診断と治療は非常に重要である。本書第2版は、初版以降の広範な新しいデータを基に改訂したものである。早期からの治療的介入が、うつや不安などの併発症を予防し生存率を高めるという新たな知見が示されている。脳卒中患者をケアする全ての人に!
ロバート・G・ロビンソン 著
木村真人 監訳
定価 6,380 円(本体5,800円 + 税) A5判 並製 512頁
ISBN978-4-7911-0851-0〔2013〕
Contents
第I部 序章
第 1 章 最近の脳卒中疫学の動向
第 2 章 歴史的視点
第 3 章 脳組織と情動における脳の基礎
第 4 章 脳血管の解剖学的構造と脳卒中の分類
第II部 脳卒中後うつ病
第 5 章 うつ病の診断
第 6 章 うつ病性障害の有病率
第 7 章 抑うつ症状の現象学と特異性
第 8 章 うつ病の自然経過
第 9 章 遅発性うつ病
第10 章 病変部位との関連
第11 章 うつ病と大脳半球の優位性および非対称性との関連
第12 章 うつ病と両側半球脳損傷との関連
第13 章 脳卒中後うつ病と身体障害との関連
第14 章 認知障害との関連と治療
第15 章 失語症とうつ病との関連
第16 章 社会的機能とうつ病との関係
第17 章 脳卒中後うつ病と病前危険因子
第18 章 脳卒中後の死亡率と治療
第19 章 自殺念慮
第20 章 生物学的な指標
第21 章 脳卒中後うつ病のメカニズム
第22 章 脳卒中後うつ病の治療
第23 章 脳卒中後うつ病の予防
第III部 脳卒中後躁病
第24 章 有病率と臨床症状
第25 章 脳卒中後躁病の臨床と病変の関連
第26 章 脳卒中後の双極性障害
第27 章 脳卒中後躁病のメカニズム
第28 章 脳卒中後躁病の治療
第IV部 脳卒中後不安障害
第29 章 有病率と臨床症状の特異性
第30 章 病変部位と臨床的関連
第31 章 縦断的経過
第32 章 不安障害と予後との関係
第33 章 脳卒中後不安障害のメカニズムと治療
第V部 脳卒中後のその他の障害
第34 章 精神病
第35 章 病態失認と疾病否認
第36 章 破局反応
第37 章 アパシー
第38 章 プロソディ障害
第39 章 易刺激性と暴力
第40 章 病的泣き笑い
第41 章 結論と将来への方向