入院治療中のせん妄の発生は、患者さん、家族、病棟スタッフに多くの負担がかかり、全国の病院で大きな課題となっている。
せん妄は多種多様な状態像を示し、それが経時的に変化する。さらに原因・誘因も多岐にわたるため、せん妄に関するエビデンスの蓄積は不十分である。そのため、せん妄対策については大雑把な方向性は共有されているものの、現場レベルで病院ごとに試行錯誤しながら対策に取り組んでいる状況にある。
静岡がんセンターでも、せん妄対策について方針を明確化し、院内での普及に取り組んできた。それらの実践を通して、入院場面におけるせん妄の減少および軽症化が確実に進みつつあり、これまで“起きて当然”と思われていたせん妄の多くが予防可能もしくは軽症化できるようになった。
本書は、静岡がんセンターでの取り組みを詳細な実例とともに記し、せん妄にかかわる全国の病院スタッフが現場で活用できるよう、ノウハウやコツをわかりやすくまとめた実践書である。
松本晃明 編著
定価 2,970 円(本体2,700円 + 税) A5判 並製 220頁
ISBN978-4-7911-0962-3〔2017〕