大作曲家の病跡学:ベートーヴェン,シューマン,マーラー
ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンの生涯は、波乱に満ちたものであった。劇的で暗雲にとり巻かれ、自殺の危機にもさらされ、穏やかな安息も許されていなかった。しかしベートーヴェンは、それらを克服しつつ音楽活動に邁進し、偉大な芸術を生み出していった。ロマン派の代表的な作曲家ロベルト・シューマンは、青年期から精神疾患に罹患しており、44歳でライン川に投身自殺を企図し、その2年後に精神病院で亡くなっている。マーラーは統合失調症発病の危機を作曲することによって免れたとも言われる。
本書は、楽曲を詳しく検討することによって、彼らの心の世界、苦悩、精神病理に鋭く迫る!
小松順一 著
定価 1,980 円(本体1,800円 + 税) 四六判 上製 96頁
ISBN978-4-7911-0968-5〔2017〕
Contents
孤高の求道者ベートーヴェン─「交響曲第九番ニ短調」─
1.人格についての検討
⑴ 人生に対する強い意志と完全欲
⑵ 努力を必要とした才能
⑶ 強迫性
⑷ 昇華
2.「第九」の演奏の一つのあり方
晩年のシューマンの病理性─「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」─
1.はじめに
2.生活史及び病歴の概要
3.生活史と病歴から見る病跡
4.ヴァイオリン協奏曲ニ短調
5.結論
6.まとめ
境界線の美学マーラー─「交響曲第一番ニ長調」─
1.はじめに
2.マーラーの生活史
3.マーラーに関する文献的展望
4.「交響曲第一番二長調」の検討
5.管弦楽法について
6.考察と結論
7.まとめ
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