統合失調症の生物学的本体は何か? この答えとして近年、海外ではノルアドレナリン説が注目され始めている。本書はこのノルアドレナリン説の我が国のパイオニアによる、平易な解説書である。ノルアドレナリン系の活動が過剰な場合、過覚醒と呼ばれ、軽度な場合、不眠、不安、過敏、対人恐怖などですむが、激しくなった場合、猜疑的、被害的となり、思路も滅裂となる。逆に低下すると鈍感になり、活動性も低下する。この軽、中程度の異常は様々な精神障害で見られるが、統合失調症の陽性症状、陰性症状はその最も激しい形といえる。本書では、こうした思想が、著者の臨床と脳科学の両面にわたる過去半世紀の研究史に沿って分かりやすく語られる。
山本健一 著
データ形式:フィックス
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定価
3,960 円(本体3,600円 + 税)
Contents
第一章 謎の病気・統合失調症との出会い
第二章 「心」の生物学的基盤としての脳
第三章 統合失調症の脳科学を求めて
第四章 脳内ノルアドレナリン系の機能
第五章 重度ノルアドレナリン症候群としての統合失調症
第六章 ノルアドレナリン症候群の広がり
第七章 ストレスとノルアドレナリン症候群
第八章 精神医学の来し方と行方