惜しくも早世した若き精神科医、安克昌と樽味伸。著者は二人の面影を追い続ける。震災以降、外傷性精神障害の治療にのめり込んだ安の「魂のふるえ」。素朴で平易な言葉を慈しむように使った樽味の深い優しさ。さらに中井久夫、神田橋條治、宮沢賢治にまで射程を広げ、臨床家の生と死、臨床の言葉についての思慮深い考察が、柔らかい感性によって綴られる。野心的仕掛けによって芳醇な臨床世界を開示することに成功した好著。
杉林稔 著
データ形式:フィックス
(画像形式)
定価
3,960 円(本体3,600円 + 税)
Contents
一 はじめに ──臨床家の死
二 安克昌の臨床
三 樽味伸の臨床
四 中井久夫という時間
五 神田橋條治という時間
六 臨床家としての宮沢賢治
七 精神のダイアモンドと福なる時間