自傷は、苛酷な状況を生き延びるための行動であるが、皮肉にも、繰り返されるたびに少しずつ死をたぐり寄せてしまう。著者は、自傷に関する豊富な臨床経験と研究知見にもとづいて、従来、演技的・操作的行動とされてきた自傷概念を否定し、「アディクションとしての自傷」という新しい作業仮説を提唱し、自傷に対して積極的に介入することの重要性を主張してきた。本書は、多くの援助者に自傷と向き合う勇気を与えてくれるであろう。
松本俊彦 著
データ形式:フィックス
(画像形式)
定価
2,860 円(本体2,600円 + 税)
Contents
第1章 自傷とは何か
第2章 自傷の概念とその歴史的変遷
第3章 自傷のアセスメント
第4章 自傷と衝動─「切ること」と「キレること」
第5章 嗜癖としての自傷
第6章 自傷と自殺─リストカッターたちの自殺予防のために
第7章 解離と自傷
第8章 いじめと自傷
第9章 自傷とボディ・モディフィケーション
第10章 思春期・青年期のうつと破壊的行動─不快感情の自己治療の試み
第11章 トラウマ、自傷、反社会的行動
─少年施設男子入所者の性被害体験に注目して
第12章 解離と反社会的行動
第13章 自傷の嗜癖性に関する研究
第14章 教育現場における自傷
─養護教諭研修会におけるアンケート調査から
第15章 思春期における「故意に自分の健康を害する」行動と
「消えたい」および「死にたい」との関係
第16章 非行少年における自殺念慮のリスク要因に関する研究
第17章 若年男性の自傷に関する研究
─少年鑑別所における自記式質問票調査