精神疾患は誰の身にも起こりうる。病は日常の中で時にじわじわと、時に突発的に発症し、患者や家族は得体のしれない症状と不安に苛まれて絶望へと追い込まれてゆく。いかにして希望を見出し、歩んでゆけばよいのか。精神疾患とは、精神科医療とはどのようなものか?
本書は豊富な臨床経験を有する4名の精神科医が、自身の経験をもとに構築し書き下ろした短編集である。統合失調症、うつ病、アルコール依存症、認知症など様々な精神疾患の発症から受診、診断・治療、リハビリ、社会復帰に至る過程を14編の小説としてわかりやすく示した。本書はきっと “精神科”のハードルを下げる一助となり、受診の契機や回復への道程を照らす希望の灯となろう。
寺尾岳 編
井上幸紀、寺尾岳、松永寿人、吉村玲児 著