北アメリカでは、境界性パーソナリティ障害(BPD)を持つ人の家族は、2400万人に及ぶと言われている。BPDは、気分や対人関係が恒常的に不安定であるという特徴を持つ重篤な心の病である。当事者だけでなくその家族の苦悩は、きわめて大きい。今まであまり表に出てこなかった家族の関心事を社会の最前線に引き出してきたのがランディ・クリーガーである。
1988年、ランディ・クリーガーの著書 Stop Walking on Eggshells: Taking Your Life Back When Someone You Care About Has Borderline Personality Disorder が出版された(邦訳「境界性人格障害=BPD」 星和書店刊)。それ以来、7ヶ国語に翻訳され、発売部数は、現在までに50万部を突破している。本書は、治療者や読者から家族のためのバイブルであると賞賛されている。2002年、ランディ・クリーガーの2冊目の書 Stop Walking on Eggshells Workbook: Practical Strategies for Living with Someone who has Borderline Personality Disorder が出版された(邦訳「境界性人格障害=BPD実践ワークブック」星和書店刊)。この本も、同様の高い評価を得ている。
ランディ・クリーガーの運営するウェブサイトBPDCentral.comは、インターネット上のBPDに関する最大のサイトと言われている。そこには、BPDに関する基本的な情報、文献、治療者のリスト、当事者の報告、家族の報告、が満載である。
1995年、ランディ・クリーガーは、インターネット上のサポートグループ“Welcome to Oz”を設立した。世間で孤立している家族は、オンライン上でここに集まり、体験を共有する。また混乱し、強いストレス状況で圧倒されている親密な他人に精神的なサポートを与えている。現在では、16000人ほどの家族メンバーが、ここを自分の家庭のように感じて参加している。
非営利組織であるPDAN(Personality Disorders Awareness Network)も彼女の尽力によって作られた。
ランディ・クリーガーは、アメリカで多くの講演会やワークショップを行っている。2008年9月には、星和書店に招かれて日本で一般の人のための講演会や専門家のためのワークショップを行う予定である。
【上記以外のランディ・クリーガーの著書】
なお、最近書き上げた the Essential Family Member Guide to Borderline Personality Disorder: New Tools and Techniques to Stop Walking on Eggshells は、今年の秋(2008年秋) Hazelden Publishing から発売される予定である(邦訳は、星和書店から2009年中に発売の予定である)。