こころのライブラリー (08)
ひきこもる思春期
ひきこもり問題にどう対処すればよいのか。本書では、犯罪行動との関わり、不登校の問題、訪問活動、全国調査のデータなどを取り上げ、現在考えられる限りの対応法を探る。編者らによる座談会では、ヴァレリーのひきこもり体験や、ひきこもりとPTSDとの関連など、ひきこもり問題に一石を投じるたいへんユニークな論を展開。
斎藤環編
定価
1,870 円(本体1,700円 + 税) 四六判 並製 232頁
ISBN978-4-7911-0475-8〔2002〕
Contents
「ひきこもり」の現在形 斎藤 環
- 著者の立場
- 「ひきこもり」の現状
- 病理とその対応
ひきこもりをめぐって(座談会) 斎藤 環 中井久夫 青木省三
- ――思春期心性のトポス――
ひきこもりの体験
たまり場と待合室
ひきこもりの歴史
国際比較
ひきこもりと成長
ヴァレリーのひきこもり体験
ひきこもりと訪問活動
いじめのPTSD
家庭内暴力について
社会とのつながり
スチューデント・アパシーと社会的ひきこもり 笠原 嘉
- 大学生の無気力症
- 家族相談
- 優秀社員の退却症
- 対策として考えること
- 社会とは
ひきこもりと犯罪行動 小畠秀悟 佐藤親次
- ひきこもりと犯罪に関する最近の知見
- 事例と考察
- まとめ
広汎性発達障害とひきこもり 杉山登志郎
- 知的障害を伴う広汎性発達障害に見られるひきこもり
- 高機能広汎性発達障害と不登校
- 高機能広汎性発達障害と青年期のひきこもり
不登校とひきこもり 木村義則
- 症例から
三、考察
四、おわりに
家に行くまで 塚本千秋
- はじめに――ひきこもる青年の変化と対応の変化
- 同世代青年への訪問の依頼
- 精神科医による訪問
- おわりに――面接室の自由と訪問の自由
ひきこもり」の症状形成と時代精神 衣笠隆幸
――戦後五〇年の神経症症状の変遷の中で――
- 「ひきこもり」の定義
- 現代と「ひきこもり」
- 時代精神の変遷と神経症症状の変化
- 多彩な症状選択の背後にある無意識的葛藤
- おわりに――ひきこもりの臨床の特徴
「ひきこもり」問題とネットワークの課題 長谷川俊雄
――連携・協働の意義と可能性――
- 「ひきこもり」状態と「ひきこもり」問題
- ネットワークの現状と課題
- ネットワークへの期待――家族・地域の新たな創造へ向けて
「ひきこもり」の社会史 小俣和一郎
- 引きこもる「場所」
- 物理的な場所から見た「ひきこもり」
- 「ひきこもり」関連様態と「甘え」
- 「ひきこもり」の臨床的意味合い
「ひきこもり」についての疑問 高岡 健
- 「ひきこもり」をめぐる疑問
ひきこもりの現状と展望 倉本英彦
――全国の保健所・精神保健福祉センターへの調査から――
- 対象と方法
- ひきこもりの実態
- ひきこもりへの取り組み
二症例の引きこもり 西丸四方
「ひきこもり」について想う 秋元波留夫
「借り」を返したい 中塚尚子
- ―「ひきこもり」のささやかな治療論―
関連書