統合失調症回復への糸口
大樹の健康状態を知ろうとするとき、大きな幹ではなく、端っこの枝ぶりや葉の色合いの微妙な変化に着目するように、臨床現場でも、一見枝葉にみえるような些細なことへの気づきが、その後の治療展開に大きくつながることも稀ではない。枝葉末節の状態は、実は地下に隠れて大樹を支え続ける根の様子を伝えるものである。カルテ記載、収集癖、草野球…、素朴な疑問や気づきを丹念に検討することによって、一人ひとりにきめ細かに支援し、回復につなげていくための小さなヒント集。
菊池慎一 著
定価 3,080 円(本体2,800円 + 税) 四六判 上製 288頁
ISBN978-4-7911-0738-4〔2010〕
Contents
まえがき
スモーキン・ブルース
治療技法としてのカルテ記載について
超音波検査室で精神科医が思ったこと
軽躁患者との「共生生活」を契機に荒廃像の改善がみられた慢性統合失調症の2症例
語らない破瓜病者が書いたもの—その精神病理的特徴と治療的関与について—
「射精恐怖」に悩み続ける統合失調症の一例
被害妄想を呈したジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群の一例—症状の変遷についての精神病理的一考察—
精神病後抑うつとモーニングの過程
臨床経過中にみられた患者の「カウンセリング」希望について
収集癖について
草野球と統合失調症臨床
あとがき
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