多くの読者の支持を得ていたバイポーラーワークブック第1版が大幅に改訂され、第2版が2015年に出版された。本書は、この第2版の全訳である。
以前は躁うつ病と呼ばれていたバイポーラーディスオーダー(双極性障害)は、気分がハイになる躁状態と、気分が落ち込んでしまううつ状態を繰り返す障害であり、薬物療法などの脳科学的なアプローチだけで対処できるものではない。ストレスに対する対処法、考え方のくせの修正、対人関係や生活全体を見直してみるなど、まさに心へのアプローチこそが治療の重要なポイントである。
では、それをどのように行えばよいのだろうか? 患者さんやそのご家族、専門家、さらに一般の人にも分かりやすい形で明確に示してくれるのが本書である。
双極性障害と明確に診断された人だけでなく、ときどき「双極的な気分」になるという人、正常とされる範囲内で気分にむらがあり、ストレスにうまく対処できなくなる、といった人たちに対しても「気分の波」に対応できるように練習問題の内容が刷新されている。
本書は、気分の変動を自らコントロールしていくための明快な実践ガイドブックである。
モニカ・ラミレツ・バスコ 著
野村総一郎 訳
定価 3,080 円(本体2,800円 + 税) A5判 並製 352頁
ISBN978-4-7911-0936-4〔2016〕