双極性障害の診かたと治しかた
科学的根拠に基づく入門書
双極性障害(躁うつ病)はうつ病との鑑別が難しく,うつ病と誤診されていることが少なくない。特に24歳以下のうつ病患者は,双極性障害の抑うつエピソードを示していることが多く,抗うつ薬を単独で投与すると賦活症候群や自殺関連事象の誘発,あるいは躁転を生じる可能性が高い。双極性障害をしっかりと診断して,治療のレールに乗せるにはどうしたらよいのか。気分安定薬の投与、また規則正しい生活環境の確立によって効果的に再発を予防するにはどうしたらよいか。双極性障害研究・臨床の第一人者である著者が,双極性障害の基礎知識と診断方法,治療戦略をわかりやすく解説。
寺尾岳 著
定価 1,980 円(本体1,800円 + 税) A5判 並製 104頁
ISBN978-4-7911-1037-7〔2019〕
Contents
第1章 双極性障害(躁うつ病)とは
躁うつ病(双極性障害)の歴史と概念
「躁うつ病」という言葉の始まり
躁うつ病と双極性障害
基底状態と気質
第2章 双極性障害の診断
躁病エピソードの診断基準
軽躁病エピソードの診断基準
躁病エピソードと軽躁病エピソードの違い
抑うつエピソードの診断基準
双極Ⅰ型障害の診断基準
双極Ⅱ型障害の診断基準
第3章 「双極スペクトラム」という概念
双極スペクトラム概念の意義
アキスカルの双極スペクトラム
ガミーの双極スペクトラム
双極スペクトラムの見つけ方
3 の法則 (rule of three)
うつ病に占める双極スペクトラムの割合
双極スペクトラムへの薬物療法
心的エネルギー水準と双極スペクトラム(私の仮説)
第4章 双極性障害の特徴
双極性障害の発症年齢
双極Ⅰ型障害患者の経過
回復するまでの時間
回復してから5年後の再発率
混合状態
「混合性の特徴を伴う(DSM-5)」という特定用語
双極性障害患者の10年経過
自殺の危険性
認知症との関連
双極性障害の特徴とは
第5章 双極性障害の治療
薬物療法
双極性障害における薬物療法の戦略
気分安定薬
気分安定薬の3兄弟と妹
リチウム
リチウム中毒
リチウムの濃度管理
リチウムと併用しない方が良い薬
バルプロ酸
カルバマゼピン
ラモトリギン
非定型抗精神病薬について知ろう
双極性障害患者の入院
第6章 日本うつ病学会の双極性障害治療ガイドラインと関連文献の紹介
躁病エピソードの治療
抑うつエピソードの治療
抗うつ薬併用の是非
維持療法の治療
維持療法を開始する時
維持療法の中止を考える時
リチウムの再発予防効果の予測因子
疫学研究
非定型抗精神病薬 vs. 気分安定薬:同じ土俵で直接比較した臨床研究
心理社会的療法
第7章 妊婦や妊娠可能な女性に適した気分安定薬
第8章 光調整療法
暗闇療法とサングラス療法
環境光と抗うつ効果
第9章 実存的アプローチ
関連書
双極うつ病
リフ・S・エル-マラーク/S・ナシア・ガミー 編 著、田島治 他訳