うつ病が治らず長引くことがある。なぜなのか?
見逃されていた診断「双極うつ病」について、臨床家が知りたい情報をコンパクトに提供する。
本書は、わが国でも注目を集めている米国の若手精神科医ナシア・ガミーの編集により、現在世界の主流となりつつある主張を、それぞれ最適な研究者がバランスよく紹介している。様々な抗うつ薬の投与によっても回復に至らない患者にどう対応するのかが大きな課題となっている。難治の慢性化例では、うつ状態の後に軽い気分の高揚や軽躁状態を呈し、それを繰り返すことも多い。このような症例を患者の示す気分のスイッチや反復性などの縦断的経過の特徴とともに、遺伝負因や気質などの素因、横断病像の特徴という視点から、広い意味での双極性障害ととらえたガミーの双極スペクトラム障害の概念は、臨床的にも有用である。本書は、双極うつ病という視点から、診断、疫学、遺伝研究、薬物療法、心理社会的な治療アプローチ、今後の課題までを分かりやすく解説する。10年、20年と治らないうつ病患者が急増している今日、いわゆる新型うつ病をめぐる議論とは異なり、医学モデルでの対応が中心となる双極うつ病を理解することは、第一線で苦労している臨床家にとって、極めて重要である。
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