話せない、書けない──二度の脳梗塞によって言語脳を侵された著者は、小児神経学を専門とする医師として、患者として、自身の症状から、どのように脳の働きを解釈し、どう訓練し、何を思ったのか。これはいわゆる闘病記にとどまらない。言葉を失うこととは何なのか?
「私が何を失い、何を求めて彷徨ったかをあなたに知ってほしい。それは、どのように再獲得されるのか、それでもなお取り戻せないものは何だったのか、知ってほしい。そうすることで、あなたは、『自分は何も持っていない』と誤解している自身の知られざる能力を知ることになるだろう。」(「まえがき」より)