《第27巻増刊号:気分障害の治療ガイドライン 新訂版》
本誌は10年前(2002年)に第17巻増刊号「気分障害の治療ガイドライン」を刊行した。当時は類書がなく画期的であったが、その後、精神科は、いわゆる「新型うつ病」への対応や、自殺対策の一環としてのうつ病治療に、より一層取り組むことが求められている。また新しい抗うつ薬も充実し、認知行動療法も保険適応となった。そのような状況を踏まえ、新訂版として新たに企画した本増刊号は、操作的診断基準だけでは対応し切れない、患者の個別性に配慮した項目立てになっており、従来診断のうち今日でも有用なものは積極的に取り上げていることが特徴である。執筆陣は、当時と大幅に入れ替わっており、現在、第一線で活躍している執筆陣を揃え、現時点における「気分障害」の治療ガイドラインとして最良・最高の内容を誇る。精神科医のみならず、心療内科医やプライマリー・ケア医、臨床心理士やコメディカルスタッフの方々にも役立つ。
編集:「精神科治療学」編集委員会 B5判 並製 396頁 通巻315号
JANコード:4910156081029
発刊にあたり | 古茶大樹 | |||
第1章 気分障害の概念について | ||||
気分障害の概念について | 古茶大樹 | |||
第2章 診断と検査 | ||||
1. | うつ状態の類型診断 | 中安信夫 | ||
2. | 伝統的慣用診断─躁うつ病,内因性うつ病,神経症性抑うつ,抑うつ反応─ | 玄 東和,張 賢徳 | ||
3. | DSM-Ⅳ-TRに基づく診断─DSM-5ドラフトを含む─ | 森本陽子 | ||
4. | 鑑別すべき状態像─アパシー,無為,低活動型せん妄など─ | 忽滑谷和孝,真鍋貴子,落合結介 | ||
5. | うつ病の症状評価─ハミルトンうつ病評価尺度を中心として─ | 中川敦夫 | ||
6. | 脳画像の臨床的応用と限界 | 高野晴成 | ||
7. | 生物学的マーカーの臨床的応用と限界 | 伊賀淳一,大森哲郎 | ||
8. | プライマリー・ケアでの対応 | 増井拓哉 | ||
第3章 治療の基本 | ||||
1. | 精神病症状を伴わない内因性うつ病の急性期治療(入院と外来) | 井上幸紀 | ||
2. | 内因性うつ病の慢性期(遷延化)の治療 | 徳永雄一郎 | ||
3. | 妄想性うつ病(退行期メランコリー) | 工藤耕太郎 | ||
4. | 躁うつ病ないし双極Ⅰ型障害─躁病相とうつ病相,薬物療法を中心に─ | 森信 繁 | ||
5. | 反応性うつ病 | 岩井圭司 | ||
6. | 神経症性抑うつないし気分変調症 | 三木和平 | ||
7. | 複雑性悲嘆(死別反応)─自死遺族ケア・支援の観点から─ | 白川教人,一青良太,大倉よしの 他 | ||
8. | 操作的診断に基づく治療アルゴリズムの使い方と注意点 | 塩入俊樹 | ||
第4章 各類型の治療 | ||||
1. | 双極 II 型障害とbipolar spectrum disorder | 齋藤慎之介,塩田勝利 | ||
2. | 混合状態 | 齋藤慎之介,小林聡幸 | ||
3. | 非定型うつ病 | 山田和夫 | ||
4. | ラピッド・サイクラー─薬物療法を中心に─ | 須田史朗 | ||
5. | 季節性感情障害 | 西多昌規 | ||
6. | 「ディスチミア親和型」の治療 | 松尾信一郎 | ||
7. | 未熟型うつ病 | 阿部隆明 | ||
8. | 職場結合性うつ病 | 岡崎 翼 | ||
第5章 治療法の解説 | ||||
1. | 薬物療法(1)抗うつ薬 | 二宮友梨子,天神朋美,三宅誕実 他 | ||
2. | 薬物療法(2)気分調整薬 | 加藤正樹 | ||
3. | 薬物療法(3)非定型(第2世代)抗精神病薬 | 仙波純一 | ||
4. | 電気けいれん療法(electroconvulsive therapy) | 山口雅靖,本橋伸高 | ||
5. | 高照度光療法 | 三島和夫 | ||
6. | 覚醒療法(断眠療法) | 鈴木正泰,内山 真 | ||
7. | 精神療法(1)気分障害の支持的精神療法と生活指導 | 熊﨑 努,大前 晋 | ||
8. | 精神療法(2)認知行動療法 | 堀越 勝,細越寛樹 | ||
9. | 精神療法(3)対人関係療法 | 水島広子 | ||
10. | 精神療法(4)精神力動的精神療法/心理療法 | 伊藤良子 | ||
第6章 身体疾患と抑うつ | ||||
1. | 血管性うつ病(vascular depression) | 木村真人 | ||
2. | パーキンソン病とレビー小体型認知症 | 笠貫浩史,井関栄三 | ||
3. | 認知症に伴う抑うつ─初期症状としての抑うつ─ | 前嶋 仁,新井平伊 | ||
4. | 全身性エリテマトーデス | 天野直二 | ||
5. | 甲状腺機能障害 | 千葉悠平,勝瀬大海,都甲 崇 | ||
6. | 症状性精神病としての抑うつ,心疾患の予後に対する影響 | 松原桃代,鈴木孝彦,松原徹夫 他 | ||
7. | 治療薬による気分障害─ステロイドとインターフェロン─ | 前川和範 | ||
8. | 緩和ケアと抑うつ─がん患者の抑うつの評価と治療─ | 明智龍男 | ||
第7章 女性の抑うつ | ||||
1. | 周産期の気分障害 | 岡野禎治 | ||
2. | 性周期との関連 | 平島奈津子 | ||
3. | 働き盛りの夫との死別 | 渡辺俊之 | ||
第8章 ライフ・ステージからみた抑うつ | ||||
1. | 児童期の抑うつ─臨床的特徴と治療ガイドライン─ | 傳田健三,大澤茉梨恵,大宮秀淑 他 | ||
2. | 思春期 | 小石誠二 | ||
3. | 老年期のうつ状態 | 中野祥行,新井平伊 | ||
第9章 職場のメンタルヘルスにみる抑うつ | ||||
1. | 職場のメンタルヘルスにみる内因性うつ病と非内因性抑うつの診分けと対応 | 加藤 敏 | ||
2. | 休職の判断と期間,休養期間の指導─リワークプログラムの経験からのヒント─ | 五十嵐良雄 | ||
3. | 復職に向けて─異動の必要な状況,リワーク・プログラムを含む─ | 増茂尚志 | ||
第10章 自傷・自殺とその予防 | ||||
1. | 自傷・自殺の危険性が高い状況について | 松本俊彦 | ||
2. | 入院治療の判断 | 杉山直也 | ||
3. | 自殺予防対策 | 河西千秋 | ||
第11章 うつ病患者を抱える家族の心理 | ||||
うつ病患者を抱える家族の心理 | 中村尚史,青木省三 | |||
第12章 いくつかの特殊な問題 | ||||
1. | 発達障害を背景とする気分障害 | 大澤多美子,岡田隆介 | ||
2. | 境界性パーソナリティ障害と気分障害─特に双極スペクトラムとの関連─ | 木村宏之,尾崎紀夫 | ||
3. | 気分障害が隠れている薬物依存・アルコール依存症 | 小林桜児 | ||
4. | 睡眠障害との関連 | 北島剛司 | ||
5. | 摂食障害と抑うつ | 西園マーハ文 | ||
6. | 自らが「うつ病」ではないかと自己申告するケースへの対応 | 古茶大樹 | ||
事項索引 |