本欄「心に残る症例」は、文字通りこれまでの臨床において心に残った症例を、論文の形式にとらわれず随想風に語っていただく欄である。その中には、治療がうまくいかなかった、あるいは思ってもいなかった意外な展開を示した例もあろうし、また研究の発端となった興味惹かれた例、また精神科医としての自覚を促され、あるいはまたその醍醐味と喜びを感じ得た例など、さまざまなケースが含まれようかと思う。いずれにしても、いわゆるノイエスがあるわけではなく、また学術論文にするにはなじまないというような症例であっても、現在のご自身の臨床を背後で支えているような、心に残る症例や臨床体験をざっくばらんに語っていただこうというのが本欄の趣旨である。
硬い学術論文やフォーマルな知識の隙間を埋めるような臨床のヒントを与え、また日々の臨床の疲れを癒し、明日からの臨床への意欲を掻き立ててくれるような四方山話が集まってくれることを切に願うものである。
【注意事項】
本欄「精神科治療:私の小工夫」の趣旨は、「技」「知恵」「工夫」と名づけられるような類いの職人芸的な治療実践(医療はscienceとartから成り立つといわれるが、artの部分)を、それがいまだ個人ないし小グループ内に留まるものであっても(その点で「小」)、確かなものは拾い上げていこうというものである。 ‘精神科は外科に通じる’とは編集子の持論であるが、外科医のちょっとしたメス捌きのうまさが手術成績を大いに変えるように、精神科医のちょっとした治療的工夫が予後を大いに改善することもあるのではあるまいか、いやわれわれ精神科医はすでに実際そうしたちょっとした「技」「知恵」「工夫」で日々の臨床を乗り切っているのではないか、そうしたものを集約してみたいという思いが本連載の企画につながったのである。
日々の治療実践にちょっと役に立つということだけでなく、今の「小」がいつか「大」に化けることがある、そういう意味で今後の精神科治療に向けての問題発見的コーナーになればとも願っている。
本欄「オピニオン」を、「心に残る症例」および「精神科治療:私の小工夫」に続く第3の公募連載欄として設けることにしたが、そのきっかけはこれまでに先の2つの欄に投稿された論文や随想の中に、必ずしも欄の名称にピッタリとはそぐわないものの、しかしながら広く精神医学・精神医療への提言として意義深いと思われたものが散見されたからである。研究社『英和中辞典』によれば、opinion とは「物事に対する個人的判断や好み・感情に影響された結論に基づく意見」とのことであり、当編集委員会がこの欄のイメージとして描いたものを大方において表現していようかと思う。もちろんテーマは広く精神医学・精神医療に関してであるが、このテーマに沿うかぎりは内容・文体の硬軟を問わず、どしどし御自分のオピニオンを発表していただいきたいと願っている。
【注意事項】
薬物による有害事象はしばしば添付文書の改訂や雑誌への報告という形で精神科医全体の目に触れるが、前者では情報開示の程度に製薬メーカーなどの判断が入りやすい。後者では、本来、効果は薬剤との因果関係を可能な限り明確にして、有害事象は不明確であっても関係が疑われれば報告してほしいと思うが、これが逆になりやすい。薬物の影響が疑われ、予期しなかった事象は経験した医師自身の手で報告され、多くの精神科医が共有できる情報として開示されることが望ましいはずである。 本コーナーはこのような趣旨で設けた。薬剤の影響が疑われる有害事象のうち、添付文書に記載されていない、あるいは稀と思われる有害事象を、薬剤との因果関係が明確でなくても気軽に投稿していただきたい。ただし投稿者には因果関係をどの程度疑っているかの記載をお願いしたい。枚数は400字詰原稿用紙換算で5~7枚とするがこれより短くてもよいものとし、より詳細な症状記載や検討が可能な場合は研究報告、短報、臨床経験などの投稿ジャンルを利用してほしい。
*連載(1)(2)(3)はいずれも400字詰原稿用紙7~15枚程度、新連載(4)は5~7枚程度とします(図表・文献を含む)。抄録・キーワード・英語タイトルは不要です。その他、当ホームページ内「投稿規定」ページの投稿規定に準じますので、併せてご参照下さい。