精神疾患の薬物療法ガイド
この数年間にさまざまな向精神薬がわが国でも使用可能になり、欧米で提唱される精神科薬物療法アルゴリズムやガイドラインを参考にできる向精神薬のラインナップがようやく整いつつある状況である。本書は、最近の知見やエビデンスを集約し、代表的な精神疾患に対して、新薬を最大限に日常臨床に生かせるようにまとめた平易な薬物療法ガイドである。また、臨床精神薬理学研究を行う際に必要な知識となる向精神薬の等価換算と向精神薬の薬効評価に用いられる評価尺度についても紹介する。
稲田俊也〔編集・監修〕稲垣中、伊豫雅臣、尾崎紀夫〔監修〕
定価
3,080 円(本体2,800円 + 税) A5判 並製 216頁
ISBN978-4-7911-0652-3〔2008〕
Contents
第1章 向精神薬の分類
1 抗精神病薬
1)第一世代(定型)抗精神病薬
2)第二世代(非定型)抗精神病薬
3)持効性抗精神病薬(デポ剤)
2 抗パーキンソン薬
3 抗うつ薬
1)三環系抗うつ薬
2)四環系抗うつ薬
3)トリアゾロピリジン系抗うつ薬
4)選択的セロトニン再取り込み阻害薬
5)セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
4 気分安定薬
1)炭酸リチウム
2)カルバマゼピン
3)バルプロ酸ナトリウム
5 抗不安薬
1)ベンゾジアゼピン系抗不安薬
2)アザピロン誘導体
3)β-アドレナリン受容体遮断薬
6 睡眠薬
1)ベンゾジアゼピン系睡眠薬
2)非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
■ 参考文献
第2章 統合失調症の薬物療法
1 統合失調症治療の目的
2 統合失調症の3段階の治療ステージ
1)急性期
2)回復期
3)安定期
3 第二世代抗精神病薬の種類と薬理特性
1)従来型抗精神病薬の問題点と第二世代抗精神病薬の登場
2)第二世代抗精神病薬の種類
4 治療薬の選択と用量設定
1)第二世代薬の有効性からみた選択の目安
2)第二世代薬の有害作用からみた選択の目安
3)第二世代抗精神病薬の用量設定
4)どの第二世代薬を第一選択にするのか
5 治療効果が得られないときはどうするのか
1)治療効果とは
2)切り替え(スイッチング)の方法
3)切り替えの問題点・注意点
6 増強療法
7 終わりにかえて
■参考文献
第3章 うつ病の薬物療法
1 はじめに
2 大うつ病性障害の生物学的背景
3 急性期治療
1)抗うつ薬の選択
2)抗うつ薬の副作用
3)抗うつ薬の薬物学的相互作用
4)服薬に関する指導
5)効果判定
6)治療が十分に有効でないとき
4 抗うつ薬以外の薬剤の使用
1)抗不安薬
2)抗精神病薬
5 再燃・再発予防と長期予後
6 小児期および高齢者の大うつ病性障害の薬物療法
1)小児期の大うつ病性障害の薬物療法
2)高齢者の大うつ病性障害の薬物療法
7 各抗うつ薬の特色
1)選択的セロトニン再取り込み阻害薬
2)セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
3)三環系抗うつ薬
4)四環系抗うつ薬
5)トラゾドン
6)スルピリド
8 おわりに
■参考文献
第4章 双極性障害の薬物療法
1 はじめに
2 双極性障害の診断
3 躁病相,混合性病相の薬物療法
4 うつ病相の薬物療法
5 急速交代型の薬物療法
6 維持療法
7 おわりに
■参考文献
第5章 不安障害の薬物治療
1 不安障害とは
2 不安障害の治療に用いられる薬物
1)選択的セロトニン再取り込み阻害薬
2)ベンゾジアゼピン系抗不安薬
3)三環系抗うつ薬
4)セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
5)タンドスピロン
3 パニック障害
4 強迫性障害
5 社会不安障害
6 全般性不安障害
7 外傷後ストレス障害
■参考文献
第6章 睡眠障害の薬物療法
1 はじめに
2 不眠症
1)不眠症治療の際の睡眠衛生教育
2)睡眠薬の使い方
3 過眠症
1)過眠症治療の際の睡眠衛生教育
2)過眠症の身体的療法
ナルコレプシー
4 概日リズム睡眠障害
5 その他の睡眠障害
1)睡眠時無呼吸症候群
6 まとめ
■参考文献
第7章 ストレス関連障害・摂食障害の薬物療法
1 重度ストレス反応および適応障害
1)急性期の反応
2)外傷後ストレス障害
3)適応障害
2 摂食障害
1)神経性無食欲症
2)神経性大食症
■参考文献
第8章 児童思春期における精神科薬物療法
1 児童思春期における薬物療法の特徴
1)標的症状を定める
2)薬物療法の安全性
3)多くは適応外使用となる
2 注意欠陥/多動性障害
1)中枢刺激薬
2)三環系抗うつ薬
3)α作動薬
3 広汎性発達障害
1)抗精神病薬
2)選択的セロトニン再取り込み阻害薬
3)その他の薬剤
4 攻撃的行動
1)抗精神病薬
2)気分安定薬
3)その他
5 気分障害
1)うつ病
2)双極性障害
6 不安障害
1)強迫性障害
2)ほかの不安障害
■参考文献
第9章 老年期における精神科薬物療法
1 はじめに
2 老年期の精神障害
3 認知症
1)概念
2)認知症の原因疾患とその薬物治療
3)薬物療法
4 せん妄
1)概念
2)病態把握
3)薬物治療
5 老年期の抑うつ状態およびうつ病
1)概念
2)病態把握
3)薬物治療
6 老年期の幻覚妄想
1)概念
2)病態把握
3)薬物治療
7 老年期の睡眠障害
1)概念
2)病態把握
3)薬物治療
8 老年期にみられる神経症性障害
1)概念
2)病態把握
3)薬物治療
9 高齢者の薬物治療に関する注意点
■参考文献
第10章 妊娠期・授乳期の精神科薬物療法
1 はじめに
2 気分障害
1)うつ病
2)躁うつ病
3 精神病性障害(統合失調症および産後精神病)
4 不安障害
5 おわりに
■参考文献
第11章 向精神薬の等価換算
1 等価換算とは
2 抗精神病薬の等価換算
3 抗パーキンソン薬の等価換算
4 抗うつ薬の等価換算
5 抗不安薬/睡眠薬の等価換算
6 等価換算の使用上の留意点
■参考文献
第12章 向精神薬の薬効評価に用いられる評価尺度
1 統合失調症の薬効評価に用いられる評価尺度
1)Brief Psychiatric Rating Scale(BPRS)
2)Positive and Negative Syndrome Scale(PANSS)
3)Drug Induced Extra-Pyramidal Symptoms Scale(DIEPSS)
2 気分障害の薬効評価に用いられる評価尺度
1)Hamilton Depression Scale(HAM-D)
2)Montgomery-《berg Depression Rating Scale(MADRS)
3)Young Mania Rating Scale(YMRS)
3 不安障害の薬効評価に用いられる評価尺度
1)Hamilton Anxiety Scale(HAM-A)
2)リーボヴィッツ社会不安尺度(L-SAS)
3)パニック障害重症度評価尺度(PDSS)
4)Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale(Y-BOCS)
4 認知症の薬効評価に用いられる評価尺度
1)Behavioral Pathology in Alzheimerユs Disease(Behave-AD)
2)Mini Mental State Examination(MMSE)
3)改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
■参考文献
関連書