愛着と精神療法
愛着研究によれば、乳児は他者とのかかわり方を言語獲得よりずっと早期から学んでおり、母親などとの間に安定した関係を結ぶことで安心感を得て成長・発達を遂げていくとされる。ゆえに本書では、患者はもっとも伝えたいことを言葉で語れないという前提に立ち、非言語的に伝達されるものの治療的取り扱いについてきめ細かく探求し、治療者との関係性の中で患者に変化をもたらす方法を、著者自らの育児体験や臨床経験を具体的に盛り込んで指し示している。精神科医だけでなく、メンタルヘルスに携わるあらゆる人の治療的指針となるであろう。フォナギー博士(メンタライゼーション提唱者)絶賛。
デイビッド・J・ウォーリン 著
津島豊美 訳
定価 6,380 円(本体5,800円 + 税) A5判 上製 588頁
ISBN978-4-7911-0794-0〔2011〕
Contents
愛着と変化
第一部 ボゥルビィを越えて
愛着理論の基礎/メアリー・メイン/フォナギー以後
第二部 愛着関係と自己の発達
自己の多重側面/愛着体験の多様性/愛着関係はどのように自己を形作るのか
第三部 愛着理論から臨床実践へ
非言語的体験と「未思考の知」/体験に対する自己のスタンス/愛着理論の臨床的側面を深める
第四部 精神療法と愛着型
発達の坩堝を構成する/愛着軽視型患者/とらわれ型患者/未解決型患者
第五部 臨床的焦点を鮮明にする
非言語領域 I/非言語領域 II/メンタライジングとマインドフルネス
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