ポリヴェーガル理論への誘い
現在、精神医療・心理臨床、神経科学や社会学などの多くの領域でますます有用性を増し、影響を及ぼし続けるポリヴェーガル理論。本書は、わが国の第一人者である著者が、大好評の前著に続き、軽快な筆致でわかりやすく書き下ろすポリヴェーガル・ワールドのエッセンス。生物が社会性を備えるにいたる過程を、私たちの身体に刻みこまれた神経と器官の億年単位の歴史からひもとく。他に例をみないほどの精確な叙述ながらも、読者は知らず知らず心身相関の問題を超えて、現代におけるトラウマ臨床の課題へと導かれていく。新たな自律神経システム論から導き出された著者ならではの洞察は、新たな臨床アプローチや研究課題を求める専門家ばかりでなく、当事者や多くの人に「トラウマの時代」を生き抜く知恵を与えてくれる。
津田真人 著
定価 2,640 円(本体2,400円 + 税) 四六判 並製 300頁
ISBN978-4-7911-1093-3〔2022〕
Contents
第1章 からだとこころをつなぐ~誕生までの前史~
第2章 2種類の迷走神経~「ポリヴェーガル」の発見~
第3章 背側迷走神経複合体と腹側迷走神経複合体
第4章 哺乳類革命~統合された社会的関与システム~
第5章 交感神経/副交感神経~自律神経系とは何か~
第6章 自律神経の3段階論~「ポリヴェーガル」のダイナミズム~
第7章 ニューロセプション~神経系による無意識の検出~
第8章 「すくみ」、「凍りつき」、「虚脱」~防衛カスケード~
第9章 愛と親密性(安全な不動化)~オキシトシン・マジック~
第10章 あそび(自由な可動化)~安全から自由へ~
第11章 トラウマ臨床への視座~安全と自由の共同育成~
関連書
トラウマと身体
パット・オグデン、ケクニ・ミントン、クレア・ペイン 著、太田茂行 監訳