もう独りにしないで:解離を背景にもつ精神科医の摂食障害からの回復
食べては吐く、を繰り返す毎日。過食嘔吐の地獄のような日々をのり越えた精神科医。
幼少期に身体的虐待や性的虐待をうけて苛酷な状況下で育った少女が、医学生となり摂食障害を経験、それを克服して精神科医になる。本書は、その壮絶な人生を綴った実話であるが、小説のような語り口で読者を魅了する。複雑性PTSD、解離性障害および摂食障害を経験したことを通して、自身の主観的な視点と客観的な視点を時間的に並行して書くことで、これらの疾患の関連性とサバイバーのもつ特有の心のありかたを描き出す。巻末には、精神科医としての視点で、自身に起きた心の現象を追究する解説文を掲載。
まさきまほこ 著
定価 1,980 円(本体1,800円 + 税) 四六判 上製 216頁
ISBN978-4-7911-0860-2〔2013〕
Contents
1 夢と現実の混同
2 地獄の始まりと「まさき」
3 幸福な時間としのびよる影
4 呼ばれる夢とタワシ事件
5 自分の弱さ
6 小学校入学、家からの解放
7 独りの日々
8 かずえちゃん
9 拒食の始まり
10 拒食の恍惚と謎の血だまり
11 お笑いとの出会いと祖父の死
12 周囲との隔絶
13 遠い現実
14 過食へ
15 家での奴隷生活、バレーボールとの出会い
16 やすの帰国
17 中学校という好機
18 恐怖症と医師になることの狭間
19 自然の美しさ、遠のくやす
20 食べ物への依存症と周囲への無関心
21 友達とバレーボール
22 人間として生きることの決意と主体性
23 大切なわかちゃん、牛若丸そしてやすとの別れ
24 研修医としての門出と医師としての挫折
25 再統合への道
【解説】
第1章 複雑性PTSDについて
第2章 構造的解離
第3章 解離性障害と摂食障害
第4章 個人的体験としての解離と摂食障害を振り返って
第5章 「まほこ」が感じた疾患の世界と今
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