アディクション・ケースブック
─「物質関連障害および嗜癖性障害群」症例集─
他に類を見ないほど分かりやすく、具体的な嗜癖精神医学の入門書。本書には、DSM-5にある依存症・嗜癖関連障害の症例12例が提示され、診断と評価、治療の状況が描かれている。アルコール、カフェイン、大麻、幻覚薬、吸入薬、オピオイド、睡眠薬、抗不安薬、精神刺激薬、タバコ、ギャンブル、インターネットなど症例はバラエティに富む。わが国の「危険ドラッグ」に相当する物質の使用障害、覚せい剤(メタンフェタミン)使用と性的マイノリティとの関連、いまだ議論の多いカフェインをめぐる諸問題など日本では言及されていない問題に対しても分かりやすく記述されている。その意味で本書はアディクション問題の援助者にとっての必読書である。
ペトロス・ルヴォーニス、
アビゲイル・J・ヘロン 編
松本俊彦 訳
定価 2,970 円(本体2,700円 + 税) A5判 並製 304頁
ISBN978-4-7911-0915-9〔2015〕
Contents
《第1部 序論》
第1章 物質使用障害のDSM-5診断基準―修正案と理論的根拠―
《第2部 物質関連障害》
第2章 アルコール―併存障害という問題―
第3章 カフェイン―カフェインの表と裏―
第4章 大麻―自生のジレンマ―
第5章 幻覚薬―オズワルドの精神地帯:幻覚薬中毒患者の1例―
第6章 吸入剤―N2Oといおう―
第7章 オピオイド―オフスイッチを探る―
第8章 鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬―眠れない夜と魔法の薬―
第9章 精神刺激薬―セックスとドラッグとテクノ:ゲイ男性とクリスタルメス―
第10章 タバコ―標準行動から無作法へ―
第11章 他の(または不明の)物質 ―バスソルトの素晴らしき新世界、その他の合成ドラッグ―
《第3部 非物質関連障害》
第12章 ギャンブル―未来予想に疲れた女性―
《第4部 今後の研究のための病態》
第13章 インターネット―ドラッグ中毒者もインターネット使用者も「ユーザー」―
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