人はなぜ依存症になるのか
自己治療としてのアディクション
依存症は、自らの苦痛を「自己治療」するための究極の選択なのか
今日最も関心を寄せられている障害のひとつ、依存症。その発症と一連の経過を説明する理論のなかで、特に注目すべきが本書の主題・自己治療仮説である。依存症者は、おそらく無意識のうちに自分たちの抱える困難や苦痛を一時的に緩和するのに役立つ物質を選択し、その結果、依存症に陥るという。生得的な脆弱性、心理的苦悩、ライフイベントを発達論的視点から統合的に捉えているこの理論的アプローチを知ることは、依存症者と依存症が果たしている役割を理解するうえで非常に有用である。
エドワード・J・カンツィアン、
マーク・J・アルバニーズ 著
松本俊彦 訳
定価 2,640 円(本体2,400円 + 税) A5判 上製 232頁
ISBN978-4-7911-0843-5〔2013〕
Contents
第1章 なぜいま自己治療仮説なのか?
第2章 依存症―病気なのか、障害なのか
第3章 自己治療仮説と自己調節の問題としての依存症
第4章 自己治療仮説に関する実証的研究 感情調節と薬物選択の関係
第5章 依存症理解のための背景とモデルに関する概説
第6章 苦痛と自己治療
第7章 自己治療、精神障害、および感情的苦痛
第8章 トラウマと自己治療仮説
第9章 依存症と果てしなく続く苦悩
第10章 ニコチンとマリファナにおける自己治療仮説
第11章 嗜癖行動にも自己治療仮説は適用可能か?
第12章 依存症の神経生物学と自己治療仮説
第13章 自己治療仮説に基づいた治療と回復の指針
第14章 結論
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